『サーカスナイト』読了

『サーカスナイト』 よしもとばなな

何か大きな事件が起きるのでもなく、先の読めない物語が進むのでもなく。

不治の病をもつ友人、悟の子供を産み育てることを決めた主人公さやかとその家族や関わりのある人々のそんなに特別でもない日々、時間がゆっくり流れる。交わされる会話や、さやかの考えを語る言葉に頁をめくる手が度々とまる。咀嚼のための小休止。

「いやなやりなおしもたくさんあるし、ここがもうどんずまりってところも何回もあるけど、じわじわっとねばっているうちに勝手に時間が流れて、またなんだか風通しのいいところに出ることがあるのが、自然の中に生きてる全部の生き物にある可能性だよね。まあ、それでだめなときは力つきるしかないんだけれど。」

これは、さやかの義母のセリフ。こういう言葉に出会うと、知らずしらずのうちに出来ている自分のちょっとしたわだかまり、詰まりが流れていく様に思う。気持をととのえるように、少し広い目線にたてるように。私のいつもの、よしもとばななの、読み方。

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