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NISA・ iDeCoは日本国民に広がるのか:資産所得倍増計画を受けて

はじめに 

 
 終わりの見えない円安、物価の上昇。老後2000万円問題。超低金利。 
 経済の先行きが不透明な中で、岸田首相の提示した「資産所得倍増計画」に注目が集まっている。これは、2000兆円とも言われる家計金融資産を投資にシフトさせ、経済の活性化を図る計画である。そのための手段として岸田首相はNISAやIDeCOの拡充を掲げている。 
 近年、これらの長期的な投資に注目が集まり、若者の間で浸透し始めている。日本経済新聞によると、20代のつみたてNISAを利用率は6割を超えるという。 
 岸田総理の資産所得倍増計画を実行するには、NISA・iDeCo等のサービスの利用者を増やす必要がある。若者の利用者を増やすとともに、利用者層も広げていかなければならない。この記事では、そもそも日本において投資を広めるにあたり、どのような障壁があるかを見ていく。 
 
 
 

消えない感情:株って危険資産でしょ? 

 
 日本人の多くが、物心ついた頃から株という言葉を聞いたことがある。しかし、その実態を学生時代からしっかりと理解していた人はどの程度いるだろうか。日本では、親世代の大多数が利用する現金・銀行とは異なり、株式や投資という概念を学ぶ機会は少ない。そのため、ゲームやドラマで扱われる「危険資産」という印象が株式投資に付いて回っている。それが多くの人を投資から遠ざけている原因の一つと考えられる。 
 一度植えつけられた固定概念は、かなり入念に学び直す機会がない限り払拭することが難しい。一定の年代以降の利用者増を図るには、そのような機会を設定することが必要である。信頼できる動画コンテンツやセミナーなどがその役割を担うだろう。 
 しかし、そのような機会があっても等の本人が学ぶ気を起こさない限り状況は改善しない。政府は、より入念かつ分かりやすい将来の見積もりを提示し、若手世代が株式投資の勉強の必要性を認識するきっかけを作らなければならない。 
 
 
 

見積もりだけでは得られない納得感 

 
 NISAやiDeCoを普及させる上でもう一つの大きな課題となるのが、その効用をいかにして提示するかという点である。 
 これらの仕組みは比較的新しいものであり、かつ効用が出るまでには10年~20年という長期間が必要である。そのため、HP上でいくら資産が増える見積もりを示したところで誰かの体験談ではなく、あくまで見積もりにとどまってしまう。結果として信憑性がどうしても低くなってしまうのだ。 
 この問題に対しては、なぜ資産が増える可能性があるのかという根本的な仕組みを利用者が理解する必要がある。その仕組みを理解し、納得することで NISAやiDeCoを利用する決断ができるようになるだろう。 
 
 

金融機関としてできること 

 
 最後に、サービスを提供する側である金融機関ができることは何か。 
 それは利用の簡易化である。すでに登録された情報を利用できる口座情報共有サービスや、一定額の引き落としサービスなど、利用者に手間をかけさせない工夫が必要になってくるだろう。 
 心理的ハードルを下げるとともに、業務負荷も下げることでより一層の利用者増を狙っていくことができる。 
 
 

終わりに 

 
 縮小し続ける日本経済の中、私たちが生き残るためには自衛策を講じていかなければならない。それが、副業による収入増なのか、投資による資産増なのか、はたまた出費削減よる節約効果なのか… 
 岸田総理の目指す資産所得倍増計画を実行するためには、今一度その制度浸透を図る必要があるだろう。 

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