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防衛費増額について考える-日本は危機にあるのか-

はじめに 

 何かと話題となったこの夏の参院選。教育政策や社会保障と同様に注目されたのが日本の防衛費に関する問題だ。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、周辺国からの攻撃に対する現実味が増し、今まで以上に多くの人が国防の重要性を感じたためだろう。 
 政府の発言では防衛費をNATO加盟国並みのGDP比2%を目標とすることが暗示され、現状の約1%から倍増する必要があるか否かについて多くの議論が交わされた。 
 この記事では、日本の防衛費をめぐる状況について整理するとともに、増額するべきか否か、どう考えていけばいいかを整理する。 
 
 

そもそも防衛費って何? 

 一口に防衛費といっても、それが何を指すか具体的に理解している人は少ないだろう。2022年度予算によると、防衛費として計上されたのは5.4兆円であり、これはGDPの約0.96%にあたる。その内訳は、人件費が 42.8%、維持費が22.7%、装備品等購入費が17.9%、その他が16.6%となっている。意外にも人件費がこの中で一番大きな割合を占めているのである。次に大きな割合を占めている維持費とは、官舎の維持・修理のための費用である。現在使用されている駐屯地の建物は、古くから使用されているものも多く、修繕が必要とされている。災害大国である日本において、有事の際の自衛隊による活動を保障するためにこの維持費は必要不可欠なのである。 
 
 

防衛費増額論の背景 

 防衛費増額の議論が起こったのは、もちろん参議院選挙が直接的な要因だろう。しかし、最大の理由は人々の心の中の漠然とした恐怖心だと考えられる。毎日のようにニュースで流れてくるウクライナ侵攻の映像は人々の心に大きな衝撃を与えた。この映像を目にすることで、人々にとってかつてないほどに戦争がリアルなものになっただろう。さらに、北朝鮮は毎月のようにミサイルを発射している。隣国からミサイルが発射されているというのは正常な状況ではない。そして、中国とも尖閣諸島を巡った対立という問題を抱えている。 
 このように日本は、近隣諸国との間に常に緊張関係があり、周囲に気を配らなければいけない状況にある。この状況はつい最近生じたものではないが、今回のウクライナ侵攻で侵攻に対する恐怖心が煽られ、日本も防衛を強化すべきという意見を持った人が多いようだ。 
 
 
 

2%への増額は妥当か 

 私は、防衛費の増額は必要だと考える。ただし、2%という数字ありきの増額には疑念を抱いている。ひとくちに防衛費の増額といっても、何をどのくらい増額するかが問題だ。 
 私は、維持費と装備品等購入費を妥当な割合で増額することが必要だと思う。国防を担う自衛隊が、今にも崩壊しそうなほど老朽化した官舎を利用するのは適切でない。また今回のウクライナ侵攻によって、有事の際に国際支援が届くまで自国を防衛できるだけの装備品を保有する必要があることが明らかになった。よってこれらの点において防衛費を増額することは妥当であると考える。2%という数字に縛られることなく、本当に必要な費用を集計し、その分増額することが妥当であろう。 
 

終わりに 

 憲法改正論も相まって、自衛隊や日本の防衛に対する関心が高まってきている。メディアによりいたずらに恐怖心を煽られるだけでなく、日本の現状を自ら調べ、知ることで冷静な判断ができるよう心がけたい。 

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