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感情論で話す人の理由:単なるバカではない、責任感の欠如

全てにおいて、自分の感情や好みを基準に判断する人がいます。これらの人々は、一般には論理や他人の状況を理解できないと見なされがちです。

ただし、このタイプの人たちが単純に「頭が悪い」という理由だけではないと気づいたので、その点について考察します。

このような「感情論」を優先する人たちの行動には、"責任のある立場で仕事をしたことがない"という共通点があります。

人々がコミュニケーションを取る目的は様々ですが、議論が行われる場合、その目的は通常、何らかの問題の解決方法や原因を探ることです。

特定のテーマに対する議論では、参加者それぞれが異なる立場や考え方を持っています。そのため、意見が食い違うことは当然です。この食い違いを解消するためには、議論を通じて多角的な条件や環境を考慮し、最終的に意見を調整する必要があります。

この過程で、論理が通じない、または他人の状況を理解できない感情論型の人が相手だと、議論は難航します。このような人々が論理や他人の状況を考慮できない理由の一つは、「責任のある立場で仕事をしたことがない」からだと考えられます。つまり、自分の判断や決定に対して責任を取った経験がないのです。

では、責任感がどのように行動に影響するのかについて説明します。

会社の経営者や社長など、責任のある立場にいる人は、自分の決定や判断に対して必ず責任を負います。もし、自分の決定が失敗すると、それは会社の利益に影響を与え、経営者としての立場が危うくなる可能性もあります。失敗の規模によっては、会社が倒産するようなリスクも考慮に入れて、問題解決や決定を行います。

このように、自分の判断や決定に対する責任とリスクが高い状況で働いている人は、感情論で物事を決めるわけにはいかないという常識があります。その理由は、自分の感情や好みよりも、結果が最も重要であるからです。

対照的に、責任やリスクがほとんど与えられていない下級社員やアルバイトのような立場の人々は、自分の判断や行動に対して責任を負わなくても基本的には問題ありません。例えば、100万円の予算でプロジェクトを遂行したとして、そのプロジェクトが失敗した場合、100万円を会社に返金するような状況にはなりません。

より具体的には、日常業務において、1人1人が担当するタスクや役割が割り振られています。その中で何かが上手くいかなかったとしても、最悪の場合、上司に叱られる程度です。この場合も、人件費を返金するといった責任を負うことはありません。つまり、仕事が遅いために生じた損失を補填するような状況にはならないのです。

このような違いから、責任を持った経験がある人とない人では、問題解決のアプローチにおいて感情論の優先度が変わります。例えば、経営者や責任のある立場の人は、好き嫌いや個人的な感情も考慮に入れつつ、それを実現するためのコスト、期待できるリターン、成功・失敗時のリスクまで総合的に考えて判断を下します。

一方で、責任を取った経験がない人は、自分がやりたいかやりたくないかだけを基準に行動する傾向があります。コストやリターン、リスクについての考慮が不足しているため、論理的に思考できる人から見れば非合理的な判断を下していると感じられます。これは、そのような人が自分の行動や発言に責任を持つ意識が欠けているからです。

確かに、自分一人が関わる場合、感情論に基づいて行動するのは個人の自由であり、批判されるべきではありません。しかし、コミュニケーションや議論においては他人も関わるため、自分の感情だけを優先して合理性を欠いた決定をするのは問題です。第三者が関与する状況で、自分の感情だけで決定を下す行為は、その責任やリスクを他人に無理に押し付けるものとなります。

そのような人は、自分の発言や行動に責任を持つ意志が欠けていると明確に指摘されるべきです。この行動は、他人に対する不誠実な態度と見なされ、その人の信頼性を大きく損ねる可能性があります。

もちろん、ワンマン社長のように自分の意見を通す代わりに全ての責任を自分で負う立場なら、それは許されます。しかし、多くの場合、他人の時間、労働力、人件費などを投入するにも関わらず、その結果に責任を持つ意志がない人が多いです。このような人々は、自分が決断に責任を持つべき状況に置かれた経験がなく、また、そのような状況に置かれる能力もないため、責任感が欠如しています。

そういった人々は、自分の発言や決断に対する責任を感じるという認識がありません。つまり、責任を感じるべき状況にも関わらず、その必要性に気づいていないのです。その結果、自分の意見や感情を優先させることで、他人に不都合や無駄なコストを押し付けることになります。これが自覚されていない場合、その人は単に無責任と言えるでしょう。

まとめると、感情論で議論するタイプの人々は、単に論理的に思考できないというだけでなく、責任ある立場での仕事経験がないために、そのような行動に走ることが多いと言えるでしょう。

そして、将来責任ある大人になりたいと考える人は、10代や20代のうちから、自分の判断に対する責任が自分自身に返ってくるような状況を積極的に経験しておくと良いと思います。


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