ニンジャスレイヤーTRPG:ソロアドベンチャーリプレイ【ザ・ハード・パスト・アンド・ルード・フィスト】
先日、ニンジャスレイヤーのTwitter公式アカウントで、お正月特別プログラムの一環として「ニンジャスレイヤーTRPG」のシステムを用いた簡易版とも言えるソロプレイが行われ、自分もそれに参加させていただきました。
詳しくはこちらの記事を参照のこと。
自分はTRPGはどういうものかはある程度知っているものの、実際にやったことはなく、最近になってこのニンジャスレイヤーTRPGを通じて急激に興味が出てきた人間です。
そんなこともあって、この公式サイドからのソロアドベンチャーの提案はとてもありがたいイベントでした。
実際に自分でダイスを振って多少なりとも肌で感じ、階段を少し上れたような感覚にもなれました。
リアルタイムで参加し、ショートストーリーめいたリプレイをツイートしたりもしてたのですが、せっかくなのでまた一から新しくやってみました。
今回ダイスで作成したニンジャがこちら。
◆ニンジャ名:ブーストナックル
カラテ :6
ニューロン:4
ワザマエ :4
ジツ :0
体力 :6/6
精神力 :4/4
脚力 :3
DKK :0
万札 :0
その他 :家族の写真・クロームハート(今回のゲーム内容には影響しません)
カラテが最大値の6。それ以外の能力値も結構高水準です。
これは無敵なのでは? このカラテさえあれば自分がトップに立つことも不可能ではない!とか思ってしまいそうになりますが落ち着きましょう。
なにせこのゲームのサンプルデータに収録されているニンジャスレイヤーのカラテ値はなんと13です。出逢ったが最後戦慄するしかないモンスターです。
キャラメイクのシステム上、どんなに強くてもそれはあくまでサンシタニンジャの枠内の中での強さと言うこと。
むしろいい数字が出て調子に乗ってしまう部分にこそ、まさにニンジャスレイヤーにおけるサンシタニンジャの心理を極めて自然に体験させてくれるという仕掛けの妙がうかがえます。
それでは作成したニンジャを使ってソロアドベンチャーパートへと突入しましょう。
陰鬱極まりし夜のネオサイタマ。その一角に存在するお目当ての場所を前に、ブーストナックルはZBRガムを吐き捨てる。フリーランスのニンジャである彼が非合法ミッションを仲介するブローカーから請けた仕事は、とあるヤクザクランのデータセンター事務所に押し入り未公開株を強奪することである。ケチな内容だが、それ故に堅い仕事でもあった。ニヤリと口端を歪め、指関節をバキバキと鳴らす。
警備のクローンヤクザの存在を確認する。数こそ1体と少ないがショットガン持ちか。ブーストナックルは己のカラテに強大な自信を持つニンジャだが、正面からあのような銃火器とやり合うことを選ぶようなイディオットではなかった。ニンジャといえど、散弾の雨をまともに受ければ致命傷ないし重症は免れぬ。
「ここは……コイツだ」ブーストナックルの右手にきらめく十字の星! それはまさしくスリケンである!「イヤーッ!」クローンヤクザめがけ投擲!
ダイス判定:4D6=5,6,1,1…成功!
「アバーッ!」ブーストナックルの手から放たれたスリケンは見張りのクローンヤクザに命中し、危なげなく即死せしめた。「チョロいもんだ」彼はくっくっと笑ってみせた。やはりこの程度のミッション、自分にとってどうということはない。これならば先日ブローカーの勧めでサイバネ置換した心臓のローンも労せず払い終えるというものだ。速やかに邪魔者が排除された玄関ドアへと向かう。
しかしドアは抜け目なく施錠されていた。ならばどう破るか? 考え込んでいる時間などない。タイムイズマネーである。彼が選ぶ選択肢は一つだ。「カラテだ。カラテあるのみ!イヤーッ!」
ダイス判定:6D6=1,5,6,5,4,1…成功!
「マイッタカ!」ブーストナックルは見事にドアノブをねじ伏せることに成功し、己のカラテへの自信をより強固なものとした。最早ノレン同然となったドアを悠々と叩き開け、データセンター事務所内へのエントリーを果たす!
そこに侵入者の気配に気付いたクローンヤクザがブーストナックルめがけドスダガー突撃を試みる! しかし動じずカラテで迎え撃つブーストナックル!「イヤーッ!!」
ダイス判定:6D6=1,2,6,1,2,5…成功!
「アバーッ!」ブーストナックルは即座の鋭い踏み込みによりドスダガーの軌道をかわしつつ、クローンヤクザの顔面へと強烈なカラテパンチを叩き込む! 頭部がトーフめいて粉砕!「ハーッハッハッハ!」アワレな死体となったクローンヤクザを前に、ブーストナックルはますます自信を漲らせる。さらにクローンヤクザの懐からこぼれ落ちたと思しき黒サイフにはボーナスめいた万札が入っているではないか。死の危険すらあるミッションに対してこの程度の役得はあって然るべきだと、彼は万札を懐にしまい、最後のターゲットへと目を向けた。
【万札】0→1
目的のUNIXを前にしたブーストナックルの脳裏にある考えがよぎる。ブローカーから提示された内容は未公開株券の強奪だ。……しかし、それ以外のものを狙うななとどは言われていない。ここはヤクザクランのデータセンターであり……当該ヤクザクランの銀行口座に最も容易にアクセスできる可能性がある場所ということになる。これは千載一遇のチャンスだ。普通に仕事をこなしたところで、その収入はたかが知れている。「そうだ……オレならやれる。オレは力任せのカラテしか能のないサンシタ連中とは違う。ハッキングの心得も……そこそこはある!」
ブーストナックルは懐に忍ばせている写真に写った、死んだ父親の顔を思い出していた。「オレはお前みたいにはならんぞ……絶対に!」記憶にあるのはいつも情けないばかりの親父だった。他人には頭を下げるばかり、ドゲザをしケジメをし……最後には自殺した父親。ニンジャとなった彼は常に戒めとして父親の在りし日の写真を持ち歩いている。そう、戒めのためだ……他に何の理由があろうはずもなし……。
UNIXデスクに座ったブーストナックルは余計な思考を振り払い、タイピングに臨む!「イヤーッ!」
ダイス判定:4D6=2,4,5,6…成功!
キャバァーン! UNIXモニタに表示される「振込完了な」の文字!「ハァーッ……ハァーッ……! み、見たか……オレはやったんだ!」
ブローカーからのミッション、そしてさらなる裏ミッションをやり遂げ息を荒げるブーストナックル。決してハッキングに慣れているとは言えぬ彼にとって、この行為は素手のカラテ以上のプレッシャーをもたらすものだった。サイバネ化された心臓からZBRが自動投与され、すぐさまその精神を安定させる。
【万札】1→21
しかし勝利の余韻に浸っている暇などなかった。ブーストナックルの強盗行為を察知した周辺住人による通報が行われたのだ。大量のマッポとやり合うのはさすがに分が悪い。これ以上ここに留まっても得られるものは何もなしと、ブーストナックルは速やかに状況判断し、事務所を後にした。
ブローカーへの報告を終え、ふわふわローンへのサイバネ代の返済を完了させた彼は、マンションの自室に戻り一人ケモビール瓶を呷っていた。「へへへ……今日は何もかもが上手くいった。どうだ、親父ィ……オレはお前みたいなブザマを晒すことはない。カラテがある……ハッキングだってやれる……カネも……ハハハハハ……!」酔うにまかせて掠れた笑い声を上げるブーストナックル。写真の中の父は、まだ幼かった頃の自分を抱き上げ笑っていた。それが彼が知っている、唯一の父の笑顔だった。
【ザ・ハード・パスト・アンド・ルード・フィスト おわり】
最終スコア:【万冊】21→11
というわけで、いかがでしたでしょうか。これにてリプレイ終了となります。
結果やスコアだけ見ればリアルタイムで自分が参加した時のプレイと全く同じ内容で終わったのですが、ダイスロールによってランダムで決定されるニンジャの能力値、そして持ち物などの要素によって、そこから導き出されたキャラクター性は全く別の顔を見せてくれました。家族の写真すごい…!
この部分が非常に面白く、ニンジャスレイヤーの二次創作小説をちょいちょい書いたりしてる身としてはこれほど想像の翼を広げさせてくれる題材もないぞ!ってなぐらい楽しいものでした。
なにせ展開はほぼ全部ダイス任せで、それでいてテンポよくイベントが用意されるため考えるポイントが非常に明快です。
非常に低カロリーで物語ができあがっていくこの感覚、滅茶苦茶コスパが良い!
ダイスを振る時のドキドキ感も新鮮で、TRPGというものの一端を感じ取れたような気がしました。
そのうちオンラインセッションにも参加してみたい…!と思いながら書いたりもさせてもらったこのリプレイ、少しでも楽しんでもらえたなら幸いです。
それでは、オタッシャデー!
スシが供給されます。