忍殺SSヘッダ

ニンジャスレイヤー二次創作【スリー・ガールズ・デイ・アウト】

道には焼け跡と瓦礫。放置された車両の残骸や朽ち果てた鉄の茨でデコレートされた路地裏は、さながら終末思想にかぶれたアート作品のようだ。
ネオン看板群はそのほとんどが建物ごと破損し、そこがかつて華美で猥雑な社交空間であったことを慎ましく主張している。

ネオサイタマを包んでいた磁気嵐が消失。次いで月が砕けたのが、つい先日。
この世の全ての可能性を否定しようとしたアマクダリ・セクトは打倒され、人々は勝利に沸いた。その代償は決して小さくはない。
しかしそれでも、今もなお人は未来へと歩みを進めようと戦い続けていた。

ここはニチョーム・ストリート。
激戦の爪痕が色濃く残る、気高きはぐれ者の集う町である。


「ダムンシット!遅刻!ヤベェ!」

表通りに疾走者あり!
アシンメトリー赤髪の痩せた小柄の女は、「地獄お」と書かれたマフラーをなびかせ、道行く人間を器用にかわしながらアスリートめいたスピードでストリートを駆ける。
眉毛のあるべき場所にはイバラのようなタトゥーが施されている。
稲妻の刺繍入りレザースーツに身を包んだその姿は、ネオサイタマにおいても中々に力の入ったパンク・ファッション者であることが伺えた。

「見ッけ!『絵馴染』!!」

ブレーキをかけたのは一軒のバーの前。その息は全く乱れていない。ニンジャだからだ。
その軒先には普及品のスクーターと、流麗な車体を持つオーパーツめいた雰囲気のバイク。その他諸々。
女は迷うことなくドアを開け、店内を見渡した。
ムードとは無縁の、間に合わせ程度の照明。住人や復興作業者と思われる人間達が、いくつかのグループを作りサケを飲んでいる。その中に。

「あッ」

カウンター席に座っている二人の女が、手招きしながらこちらに呼びかけてきている。
それを確認するや、すぐに彼女は二人のもとへ向かった。

「ヘル・オー!イグナイトです!」

「ドーモ。イグナイト=サン。ヤモト・コキです」

「ドーモ。ユンコ・スズキです」

桜色の瞳の少女と、サイバーゴス・ファッションの少女。
それぞれが銘々にアイサツを交わした。

「遅くなッちまった、ホンットゴメン!」

イグナイトは連続オジギ謝罪しながら席へと座った。
今日この場に集ったのは他でもない。先の戦いをくぐり抜けた戦友である彼女ら三人による三人だけの、極めてささやかなパーティのためだ。

「そんな、気にしないで」

「私達もついさっき来たところだしね」

「アーラ、いらっしゃいな!相変わらずアンタイセイしてるわねェ」

店の奥から厳しいボンズヘアーの大男が顔を出した。サイバネの両腕で大仰なリアクションを取っており、真新しい輝きが置換からの日の浅さを示している。

「ヘル・オー。すげェ元気そうじゃんか、ネザークイーンのオッサン」

「ドーモ。そりゃそうよアータ!こんな大変な時にいつまでも車椅子になんて乗ってられますかッての!」

ネザークイーンと呼ばれたこのたくましいトランスジェンダー者は、このバー『絵馴染』の主であり、ニチョームの自治を担う者の一人である。イグナイトは先の戦いの折に、わずかではあるが面識があった。

「ごめんねザクロ=サン、大変な時にこんなこと頼んじゃって」

「何言ってんの!アータがお友達と一緒に飲みたいだなんて、こんな状況じゃなかったらお赤飯モノだわよ!」

このバーは倒壊を免れた建物のうちの一つだ。
さりとて、未だ内装も品揃えも及第点にすら程遠く、営業というよりは休息所としてこの場を開放しているような形だが。
ニチョームでは非常に大きな存在であるネザークイーンと共に在った『絵馴染』が、半ば間に合わせの形ではあるが蘇ったという事実は、町人たちのマインドにも少なからぬ影響を与える。そんな事情もあって、優先的に復旧された一軒であった。

「サケある?」イグナイトが聞いた。

「サケのないバーなんてバーじゃないわよォ……ただし、味に期待はしないでね」

そう言いながらザクロはグラスにサケを注いでいく。サイバネ腕による繊細さだけではない、彼自身の経験に裏打ちされた堂に入った手付きだ。

「アイ、アイ」

「じゃ、三人揃ったことだし」ユンコがグラスを持ちながら切り出した。
他の二人もそれに続く。

「「「カンパイ」」」

アマクダリとの長き戦いに打ち勝ったあの日。
ネオサイタマに生きる者たちの心が優しく一体となった、ボン・ダンス・フェス……その最中に、この三人はある約束を交わした。近い内にまた集まろう、と。

この勝利はきっと束の間の平和でしかなく、変わり始める時代の渦に、否が応にも誰もが巻き込まれることになるだろう。
故に、その前に少しでも交流を深めたいと願った。
残滓めいて世界の安定をかろうじて繋ぎ止めている旧時代のインフラが崩壊する日も、そう遠くはない話だろう。
そうなれば、飢えたタイガーの跋扈する檻に投げ込まれた餌のように、社会の管理権が奪い合われ、蹂躙され、またたく間に食い尽くされかねない。
そんな時代が到来する前に、ほんのひと時を彼女らは紡ぎたかった。

「えっと……早速なんだけど」
再びユンコが話を切り出す。その視線の先は……イグナイトである。

「ン」サケをいくらか飲みながら応答した。

「ちょっと気になってることがあって、前言ってた……妹さんのこと。エーリアス=サンの」

「ああ……ウン」イグナイトはバツが悪そうにグラスをカウンターへと置いた。
「エーリアス」とは以前、彼女のニューロン同居人が名乗っていた名だ。「エーリアス」であった間は自分も別の名を名乗っていた。お互いのためだ。
そうなった経緯、そして元に戻るまでには……本当に色々あったな、とイグナイトは今もよく思う。だが、嫌な記憶ではない。

「あれって……ホントなの?」

「アー……」さらにイグナイトは頭を掻く。
ユンコの言葉に責めるようなニュアンスはなく、態度はあくまでも自然なものだ。
剣呑な雰囲気ではないが、事情を知らぬヤモトはやや二人の様子に戸惑わされる。
考え込んだ様子のイグナイトは、いくらかの沈黙の後に口を開いた。

「ゴメン、あれ嘘」

「やっぱり!」

「いやゴメン。あン時はさァ……面倒だったんだよ、色々と。話しゃ長くなるし」

ヤモトは少しずつ飲み込めてきたというように、二人の間の席で微量アルコール入りのドリンクを口にしながら何度か頷いている。

「うん、……よかったら、詳しく聞いてもいい?」

「別に面白い話じゃねぇけど」

「アタイも……少しだけしか知らないから、気になる……かな」

「ヤモトちゃんにまで言われちゃアなぁ……ま、いッか」

そう言うと、残っていたサケを一気に飲み干す。

「オッサン、オカワリよろしく」

「ヨロコンデー」再びグラスにアルコールが注がれると、イグナイトは斜め上を見ながら、ゆっくりと話し始めた。
自分がかつてザイバツのニンジャだったこと。
ニンジャスレイヤーらとは敵同士だったこと。

自分を切り捨てようとしたザイバツへの反抗の最中に命を落としかけ……シルバーキーの介入により、一つの肉体を共有するエーリアスとブレイズという存在になったこと。
そこから始まった奇妙な生活の数々や……再びシルバーキーとイグナイトに戻るまでの話を、ニューロンの奥から引き出してくるように、ゆっくりと二人に語った。
合間合間にサケを飲みながら。

「……ま、そんなトコだよ。退屈だったろ」

「ううん、ありがとう……クールだね。イグナイト=サンも、シルバーキー=サンも」

二人は祖父母からとびきりの昔話を聞かされた子供めいて、真剣で穏やかな笑顔だ。
向けられる視線に、妙なくすぐったさを感じる。

「イヤ、まぁ、その……つまんなくねぇンならいいけどさ!」
無性に落ち着かなくなり、「地獄お」のマフラーを巻き直す。
体温が上がるような感覚は、きっとサケを飲んでいるからだろうと思うことにした。

「……そうだ。ユンコちゃんさ、アタシからも一ついいかな」

「もちろん、何?」

「シャドウウィーヴ=サンとサ、付き合ッてんの?」

そのアンブッシュめいた言葉を聞いた途端、ユンコは飲酒のペースを乱され、激しくむせ込んだ。

「ゲホッ、ゲホッ!?」

「ユ、ユンコ=サン!?大丈夫!?」ヤモトは驚き、すぐにユンコの背中を優しく叩いてはさすった。

「ウェー……えっと……知ってるんだ、彼のこと」

「ザイバツ時代の同期みてェなもんだよ。大して話したこともねぇけど。フェスん時もアイツが端っこの方に来てて話してたろ、二人で。それでちょっと気になってた」

「そっか……」ヤモトは興味ありげにイグナイトとユンコを交互に見ている。

そこに、ザクロの声。「アーラ盛り上がってる?マサシも言ってるわよね、三人集まったら……エート、ホラ、アレよアレ!あ、コレ、差し入れ。よかったら食べて……」

いつの間にか外に出ていたらしいザクロが店へと帰り、三人の前に人数分のパック・スシを置いた。「ケチなスシ・バーみたいでごめんなさいね、今はこれぐらいしか用意できないけど……」

「ううん、色々ありがとう、ザクロ=サン」

「サンキュー、ちょうど腹減ってたんだ」

「私も。いただきます」

「アタシは色々やることあるけど、自由にしてくれていいからね。アッ、ホラホラアータ!そんなに飲んじゃって!」そう言いながらザクロはテーブルで突っ伏している男達のもとへ向かった。これから最寄りの宿泊所まで送っていくことになるのだろう。軽々とその身を抱き起こした。

「ザクロ=サン、気をつけてね」

「アリガト。ちょっとの間だけど、お店お願いね」そう告げたザクロは、酔いつぶれた男二人を米俵めいて抱えながら店を後にした。

「……じゃ、さっきの話の続きだけど」それぞれ咀嚼していたスシを飲み込んで、再び空気を元に戻した。ユンコが話し始める。

「付き合ってるとか、そういうのじゃない……と、思う。でも……なんだろ、波長が合うのかな」

「フーン」イグナイトは頬杖を付きながら聞いている。ヤモトもじっとユンコを見つめていた。

「きっとね、私と似たようなもの。世の中のムカつくファック野郎どもの尻を蹴り飛ばしたい。欺瞞だらけのクソッタレな価値観が許せない」

そう話すユンコの表情は、言葉の内容の過激さとは裏腹のフラットな笑顔だ。

「ヒュー」

「結構、イグナイト=サンとも似てるかもね」

「ハァ!?似てねェし!ファックオフ!」

身を乗り出すイグナイトを、ヤモトが苦笑いしながら制止した。それに応え身を戻すと、あの日のキョート城の記憶がかすかに蘇ったイグナイトは小さく呟く。

「……ま、結構マシなヤツにはなれたみてェじゃん」

「連絡取り合ったりは、してるの?」

「まぁ、一応ね。また近くに寄ったら連絡して、とか……色々……」

「ワオ」

「そうなんだ……」

ユンコは段々と視線を泳がせながら、何かをこらえるように口元を結ぶ。二人の位置からは見えぬが、左目の∴は不規則に回転している。残っているスシを口に入れ、高速咀嚼して飲み込んだ。

「アー……それより、ヤモト=サンのことも聞きたいな」

「アタイの?」

「そうだ!スーサイド=サンだよ!あのアフロでパンクなニイちゃん!」ユンコの提案を聞いたイグナイトは、即座にヤモトのワン・インチ距離へと顔を近づける!

「エッ!?」

「アイツもフェス来てて、ヤモトちゃんと話してたろ。ただの知り合い……ッてよりは、もうちょい深そうなアトモスフィア?」

「えっと、その……」

「……ア、もし話しにくいこととかあったら、大丈夫だから」

ヤモトの向こうで調子を取り戻していたユンコが声をかける。

「ううん、そういうわけじゃないんだけど。でも……ショーゴー=サンとは、色々あったから、どう話せばいいのかなって」

ユンコの言葉を受けたヤモトは、そう言いながらやや下を向き、はにかむように笑った。純粋に、そういう話をすることに慣れていないのだろう。

「一言で言うなら……大切な人、かな」

何の照れも衒いもなく、ヤモトはそう口にした。

「シリアスなんだな」

「うん。きっと、アタイよりもアタイのことをわかってくれてるんだと思う。いつも……助けられてた」

そう話すヤモトの声に後ろめたさはない。グラスを見つめる柔らかな表情は、その言葉が後悔ではなく、奥ゆかしい信頼から出ているものであると二人に示していた。

「でも、もう甘えないでいいようにするって、決めたんだ。ショーゴー=サンには、アタイとは違う道があるから」

「ファッキン・クール」

「ヘッ、イイね。ヤモトちゃんがそこまで言うなら上等じゃンか」イグナイトは腕をカウンターに乗せたまま、拳を軽く打ち合わせる。

「なんか、こういうのって……すごく久しぶり」ヤモトはしみじみと言った。

「アタシなんて初めてだよ、こういうノリ。『ヨタモノ』とかで騒いだりはしょっちゅうだけどさァ」

「私も以前はクラブでよく友達と飲んだりしてたけど……今みたいなのとは違う、かな。ナンシー=サンといる時とも違うし、新鮮」

三人は誰からともなく慎ましく笑いあった。
それが、自然だという気がした。
……だが、その時だ!

「アイエエエ!た、大変です!」血相を変え『絵馴染』に駆け込む一人の男あり!三人は一斉に男の方を向いた!

「リンジマ=サン!?」ヤモトが男の名前を叫んだ。男はニチョーム民の一人であり、面識があるのだ。

「突然ヤベェ奴らが……に、ニンジャどもが……!」

「ンだと!?」

「……!」店内がざわめく。リンジマの元へ駆け寄る三人!

「ヤグラ337の前で……ザクロ=サンが捕まって!アイエエエエエ!!」

頭を抱えうずくまるリンジマ!ナムサン!これはNRS(ニンジャ・リアリティ・ショック)の恐慌症状だ!
この男が目の当たりにした光景を想像すれば、ここまで正気を保ちヤモトらに危機を伝えることができただけでも、何たる精神力!

「スミマセン!リンジマ=サンを、お願いします!」

「あ、ああ!任せてくれ!」客の一人にリンジマを任せ、三人は『絵馴染』を飛び出す!外はもう暗い!そして向かう!ヤグラ337!!


ニチョーム・ウォーの折に本拠地兼司令塔としての役割を果たした、ストリート最大の建築物。それがこのヤグラ337ビルディングである。
町と同様に未だ満足な修復も行き届かぬその威容は、繰り広げられたイクサの凄まじさを如実に物語っており、また来たるべきマッポーカリプスへと挑む反抗と生存のシンボルめいている。……その傍らに、五つの影があった。ニンジャの影だ。

「……来たか」

高速で接近する二つのシルエット。
前を走るは二人乗りのロードキル・デトネイター。その少し後には桜色の光を靡かせたスクーター。
ブレーキの唸り声とともに、三人は眼前の集団を射抜くような瞳でその場にエントリーを果たす。

「成る程。桜色のニンジャ……噂通り」

「ザクロ=サン!」ヤモトは捕縛され転がされているザクロの姿を見て取った。一人のニンジャのサイバネ腕から伸びたワイヤーで、その両手首と足首を拘束されている。視線をこちらに向け、意識までは失っていないことが伺えた。

「テメェら……フザけた真似してくれてンなぁ!」

「娘。吠える前にアイサツせよ!」威嚇めいて叫ぶイグナイトを、サイバネティクスに身を包んだニンジャが制する。

「ドーモ。ヤモト・コキです」

「ヘル・オー!イグナイトです!」

「……ユンコ・スズキです」

例えどんな相手であろうと、イクサの前のアイサツは古事記にも記された絶対の礼儀だ。ユンコもニンジャではないが、この場は二人に倣う。

「ドーモ。スリーディーです」大将格と思われるニンジャがそれを受けアイサツした。その手足には直線的なラインのプロテクター。

「アサルトアーマーです」と、サイバネティクス鎧ニンジャも続く。

「プラズマキャプチャーです」ザクロを捕縛している大型サイバネ腕ニンジャだ。頭部はUNIXめいており、その声は電子音声である。

「フリージングタントです」白い装束のニンジャ。

「テイサツシャです!」黒いニンジャ装束の小柄なニンジャが最後だ。その背中には「隠密」の二文字。

「……さて。単刀直入に言おうか」スリーディーが一歩前に進み出た。

「町を俺達に明け渡せ。そして諸共に奴隷となれ。さすればこのネザークイーン=サンも、お前達も、町民も、命を保証する」

ヤモトの顔が強張った。スリーディーの声は極めて平坦で、それ故にむしろ強い示威を感じ取れた。

「ハァ!?」

「アンタ達……アマクダリの残党か何か?」

「ハッハー!ンなケチくせェ言い方はノーサンキューだ!俺たちゃこの地で新たなアマクダリになるんだからァ!」テイサツシャがまくし立てる。

「然り。ニュー・アマクダリだ。我らが創る。そして世に揺蕩うニンジャを集わせる」スリーディーが平坦なトーンのまま付け加えた。

「……センスのないジョークね」

ヤモトはなおも無言でスリーディーを睨み続ける。

「随分お友達思いなようだが……今の状況はよくわかっていような?」プラズマキャプチャーが己が手で拘束しているザクロを見やる。

「……ナメるな」

「アッ?」

「アタイ達を!ザクロ=サンを!ナメるな!お前達!!」その刹那、全ての者がヤモトの放つ怒気を肌で感じた。夜の闇をねじ伏せるかのように、桜色の眼光が閃いた。

「アイエ……ヘ、ヘヘヘヘヘ……オイオイ、わかッてるのかこの状況を……五対三だぞォ。ガキでもわかる算数……」テイサツシャはそれ以上を言おうとした。だが言えなかった。その眉間には、桜色に輝くカタナ!!

「アバッ、アバババーッ!?サヨナラ!!」テイサツシャは爆発四散!!桜色のカタナ……ナンバンはヤモトの手に戻り来たる!

「これで、一人減った」

「小娘……思ったよりもイカれているなァ」

「かまわぬ。元よりテイサツシャ=サンは勘定に入れておらぬ故」

「優位にアグラしカラテ警戒を怠る奴が悪い」

フリージングタントとスリーディー、アサルトアーマーが淡々と会話を交わす。

「貴様らがそう来るならこいつもロースト重点よ!インガオッホー!インガオッホー!!」プラズマキャプチャーが声を上げると……見よ!腕のサイバネ機構が働き、ネザークイーンを捕縛するワイヤーに電撃が走る!「ヌウウーッ!」

「これでもまだそのような態度でいられるか試して……ンッ!?」プラズマキャプチャーは訝しんだ。その拘束された両腕をぴったりと胸の前に持ってくる不自然な姿勢。そして明らかに攻撃によるものではない……尋常ならざるサイバネ腕の発光!!

「イヤーッ!!」両腕から放たれるカラテ衝撃波!これぞネザークイーンの操る、変種ムテキ・アティチュードなのだ!体勢が些か不十分ではあるが、両手足を縛り上げていたワイヤーを破壊するには事足りた!「グワーッ!?」

ネザークイーンはそのまま跳躍し、ヤモトらにほど近い位置に着地した。

「貴様……最初からこれを狙ってワザと……ッ!」プラズマキャプチャーが忌々しげに睨む。彼自身が受けたのはかすり傷程度だ。だがこの脱出劇は、実際浅からぬ精神的ダメージを与えているであろう!

「随分手荒な真似してくれたじゃねぇの!ヨメに行けなくなったらどうすんだオラー!!」

「言っただろ。ナメるなって」ヤモトは低いトーンで言い放つ。

「これで正真正銘、四対四だなァ!!」

それを受けた敵ニンジャ四人のアトモスフィアが、わずかに変わる。

「成る程。練れている」

「スリーディー=サン。ここは」アサルトアーマーが口を開いた。

「……ああ、各個撃破でうまくやろう。こちらは所詮ヤキバ所帯。連携は向こうが上と見て相違ない。捕縛が最上だが殺してもかまわん。任せる」

「「「ヨロコンデー!」」」

スリーディーの指示を受け、四者が跳んだ!熾烈なイクサの火蓋が切って落とされる!


「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」

襲いくるスリーディーの鋭いカラテ連撃!ヤモトはエンハンスされたカタナで受ける!

「やはり評判は本物だな。捕らえても殺しても甲斐がありそうだ。好きな方を選べ」

「死ぬのはお前だ!アタイが潰す!」ヤモトの瞳が桜色に燃え上がる!横薙ぎのナンバン!跳躍回避するスリーディーを、さらなる勢いを乗せたもう片方の手のカロウシで斬り裂きにゆく!「イヤーッ!」

命中を確信しそうになった、しかし。
寸前、スリーディーは空中でなおも跳躍!瞬時にヤモトの背後へと回り込む!

「!?」その不可解なトライアングル・リープめいた軌道による、ヤモトの思考に発生する一瞬のラグ!
さらに何もない空間を蹴り、勢いを殺すことなく繰り出されるトビゲリ!

「イヤーッ!」「ンアーッ!」

咄嗟のガードは不完全で、ダメージを捌ききれない。体勢を立て直すヤモトの目に映ったのは……おお、ブッダ!空中に着地するスリーディーの姿だ!
ヤモトは分析する。手足に極めて局所的なカラテ斥力を発生させ、オバケめいた機動を可能にしているといったところだろうか。

「もう一度言う。素直に降伏せよ」

「断る!」

……カラテ再開!


少し離れて、対象的な二人のニンジャがぶつかり合う。イグナイトのショートフック連打をいなすフリージングタント!

「わかるぞ貴様ッ!カトン使いだな!?」「だッたらどうだッてぇの!オラァ!」

肘からのジェットめいた噴射炎でスピードを増した右腕から繰り出されるパンチ!
だがフリージングタントはそれを紙一重で避け、逆手のタント・ダガーを振り抜く!
イグナイトは身を屈め避ける。わずかに切り裂かれ宙を舞う赤い髪!すぐさま側転で距離を取り、イグナイトは再び構えた。

「オレはこれまで鼻持ちならんカトン者を何人も始末してきた……なんなら貴様もその一人となるかァ!?」

「……何?武勇伝?今いる?」

「親切心だ!」

「そりゃどうもッ!イヤーッ!」腕からカトンの炎が噴き上がり、フリージングタントを襲う!ゴウゴウと燃え盛る炎!

「イヤーッ!」フリージングタントを包み込むかと思われた炎は、タント・ダガーの一振りで斬り裂かれ霧散した。
彼の持つダガーを中心として、凄まじい冷気が発生しているのだ!

「楽しいぞォ。カトン者のアイデンティティを踏みにじりながら縊り殺すことは」メンポから覗く目が愉悦に歪んだ。

「へぇ。面白そうじゃんか」笑い返すイグナイト!その表情に一切の翳りなし!


「イヤーッ!」「ンアーッ!」

アサルトアーマーの強烈なチョップがユンコをガードごとよろめかせた。

「非ニンジャのクズがよくもまぁノコノコと」

ユンコは続けざまに繰り出されるカワラ割りをかろうじて避け、左腕のマシンガンを展開して斉射した。
だが全身を覆うサイバネティック堅牢装甲を抜くことはかなわない。

「随分見事なサイバネ義肢だが……オイランドロイドの真似事でもしているか。発狂マニアックめ」

「ニンジャを!許さないです!」

眼前のニンジャソウル反応に対し、ユンコはモーター回路を高速回転させ立ち向かう。
上腕のフィンを展開し排熱を行いながら、首元を狙いすましたケリ・キックを見舞いにいく。

「カラテ!」

命中!だが揺るがぬ!このサイバネティック鎧ニンジャは、関節部さえ強化ジャバラ・ラバーで十全に保護されているのだ!
アサルトアーマーは間髪を入れずに脚を掴み、ユンコを大きく振り上げる!
するとどうだ!右腕のサイバネティクスが大きく唸りを上げ、そのまま凄まじい勢いで身体ごと地面に叩きつけた!

「イヤーッ!」「ピガーッ!!」

「……これがテックだ。ニンジャを素晴らしくサポートする力だ」

仰向けに倒れ痙攣するユンコを見下し、アサルトアーマーは言った。
流線的なサイバーアーマーメンポに覆われたその表情をうかがい知ることはできない。

「非ニンジャのお前には到達できん次元だ。……まだやるか?」

ユンコの脳内には警告アラートが鳴り響いている。
だが、構わず立ち上がった。テクノカラテを構える。

「理解できんな」


「チャルワレッケオラー!スッゾーッ!」

ネザークイーンの怒りのラッシュがプラズマキャプチャーの特殊サイバネ腕ガードと激突、火花を散らしている!

「チイイーッ!コシャクな手品を使ってくれたものよ!」

「まだまだあんなもんじゃ済まさねぇぞオラー!」

「貴様らこそ我々をナメるなよ……イヤーッ!」

一瞬の隙を逃さずバック転で距離を取ったプラズマキャプチャーは、サイバネ腕を振るう!片腕に三門ずつ、合計六門の射出口から再びワイヤーが放たれる!
一本一本が意思を持つかのように複雑にうねり、多方向からネザークイーンへと襲いかかっていくではないか!コワイ!

「ヌウウーッ!!」

縦横無尽に動き、跳ね回る六本のワイヤーの軌道を見切り、かわし続けるネザークイーン!
だが実際擬似的な一対多にも等しい攻撃の嵐、ジリー・プアー(徐々に不利)である!
ネザークイーンの身体には少しずつ避けきれぬ傷が増えてゆく!

「ハハハハハ!貴様の新品同然なサイバネ腕なんぞとは年季が違うのだ!マイッタカ!」

「ザッケンナコラー……ザッケンナコラー……!」

ナムアミダブツ!このままなす術なくネギトロ製造レーンに乗せられたマグロめいた最期を迎えてしまうのか!?
しかし見よ!傷つけられながらも何かを狙いすますその瞳を!

「……!」

ワイヤーが一斉に襲いかかる、その時だ!ネザークイーンは一歩退き、ガード体勢に入った!これは……変種ムテキ・アティチュードの構え!

「何ッ!?」

六本のワイヤーがネザークイーンの両の腕へと吸い寄せられるように命中!
そしてその衝撃は、サイバネ腕の奥底から湧き上がる輝きへと瞬時に変換される!
全てはこの一瞬のため。彼はワイヤーに全身をズタズタにされながらも、常に攻撃パターンの蓄積と予測を行い……自身のムテキの両腕へと全ワイヤーを誘導したのだ!

「ザッケンナコラー!!」

両腕から放出されるエネルギー・スリケンの嵐!その威力は先のものとは比較にならぬ!眼の前で暴れる六本のワイヤーを全粉砕せしめた!

「バ、バカナーッ!!」

プラズマキャプチャーの電子音声に明らかな動揺の色!己のUNIXめいた完璧なるニューロン計算を逆手に取り、またしても不覚を取った衝撃たるや!

「さあ、第二ラウンドといこうかい……カラテしな!」


「ふむ……よく足掻く」

アサルトアーマーは眼前のユンコを、そしてプラズマキャプチャーの醜態を横目で見やり言った。
テクノカラテを持ってしても、彼我のスペック差は歴然としていた。
スリーディーの指示を重点するこの男は、ただただ手加減をしてユンコの心を折りにかかってきている。
アサルトアーマーはユンコのケーブル髪を掴み上げると、ボディに一撃、パンチを入れた。

「イヤーッ!」「ピガーッ!?」

ユンコの痛覚はオフになっている。しかしその強烈な衝撃に対する身体的フィードバックまでは避けられるものではない。ユンコの口から人工体液が漏れる。

「素直に恭順しろ。その素晴らしきボディを我ら強きニンジャのために使え。ニンジャのためにこそテックは存在するのだ!」

「ゲホッ……!」

「悪いようにはせん。少なくとも、俺はお前をオイランドロイドのような下等なセックス・ボットとして貶めさせるつもりはない」

この男はユンコのボディについて、何かしら見て取るものがあるのだろう。そこらの市販品とはワケが違う品質と性能、そして細部まで行き届いたメンテナンス。
声色からもその言葉が、この場限りの懐柔を誘うだけの嘘ではないと思えた。

「そのボディは不可解だが、美しい。望むなら先程の言葉の無礼も詫びよう」

「ハァーッ、ハァーッ……」ユンコはゆっくりと顔を上げ、アサルトアーマーを上目で見ながらニヤリと笑った。

「随分紳士的なことを言ってくれるのね……素敵」おもむろに片膝立ちの体勢を取る。「でもね……残念だけど!」ユンコの腿が展開!極小のマイクロミサイルポッドである!

「これは父さんからの最高のプレゼント!私のボディは私だけのものだッ!上から目線のファック野郎ッ!!」突き立てられた中指とともにミサイル射出!灰色の煙が巻き起こり、そのうち数発がアサルトアーマーに命中する!KBAM!KBAM!

「グワーッ!?」

そう、数発が……残りは?然り、この戦場にいる全ての敵ニンジャである!
ユンコのサイバネアイは周囲のニンジャソウル反応を全てトレースしており……意志の力で味方だけをロックから外し、撃ったのだ!
瞬く間に響くいくつもの爆発!轟音と閃光が一帯を支配する!KBAM!!

「何だと!?」「ヌウーッ!」「小娘!この程度のチャチなミサイルで俺のアーマーは……」

いずれも直撃ではない!しかし、隙を作るには十分であった。アサルトアーマーの背後に生じる炎の輪!くぐり現れるは……イグナイト!

「イヤーッ!!」カトン加速パンチがアサルトアーマーの頭部を捉える!

「グワーッ!?」「クソ硬ェなオイ!」

イグナイトは手をぶらぶらと振りながら、そのままユンコの側に着地!

「派手にやるゥ!」

「ありがとう、助かった」

肩を貸すイグナイト。そこに遅れてフリージングタントが跳び来たる!

「チョロチョロしてくれるなァ、カトン者ォ!」

「……最早執着はすまい。まとめて押し潰し、殺すぞ。フリージングタント=サン」

「オレはとっくにそのつもりよーッ!」

構える両者!

「サポートよろしく!」「オーケー」

アサルトアーマーがサイバネ鎧を唸らせ、仕掛ける!

「イヤーッ!!」「イヤーッ!!」

前衛のイグナイトに打ち込まれるブロー!
そこに掌からの炎でジェットめいて繰り出される肘打ちがぶつかり合う!
……わずかに押し負けたのはイグナイトだ!

「どこもかしこも硬ェ!」

「イヤーッ!」フリージングタントは油断なく隙を狙うが、後衛のユンコのマシンガンに阻まれる!「うるさいオモチャめ!」

「イヤーッ!」アサルトアーマーの二撃目!鐘つきのボーめいて鋭く重いキック!イグナイトは寸前で回避し、炎の渦を発生させた!「イヤーッ!」

「無駄だと言ッとろーがァーッ!」フリージングタントに斬り伏せられる炎!そのままインターラプトめいてイグナイトの胴が裂かれる!「グワーッ!」

致命傷ではない。傷口は斬り裂かれると同時に凍りつき、即座に解凍される。吹き出す血飛沫すらも炎となって周囲に舞い散った。

追撃を試みるフリージングタント!そこに浴びせられる危険な光!
ユンコの右腕に搭載されたZAPガンの殺人光線が二人の敵ニンジャを襲う!

「グワーッ!」「ヌウウーッ!」

しかしアサルトアーマーの鎧は突破ならず!何たる強度か!
フリージングタントの肩を撃ち抜くが、こちらも浅い。

「無駄かどうか……もっともっとやってみるかァ!?イヤアアーッ!!」周囲にさらなる爆炎!

フリージングタントはダガーに注いでいる冷気を振り絞り、炎を凍てつかせながらイグナイトを狙う!「イヤーッ!」

イグナイトは……寸前のダガーを素手で受け止めた!
アサルトアーマーも炎を物ともせずに、イグナイトの首をチョップで狙いにゆく!
しかしそこに飛来するミサイル群!KBAM!KBAM!いかなフルサイバネ鎧とは言え、着弾の衝撃までは殺しきれぬ!

「ヌウッ!」「これが、テックよ」

挑発的なユンコの声!脚部のフィンからは放熱用圧縮蒸気!

「コシャク!」

「貴様程度のカトン者なぞ……これまでにも掃いて捨てるほど殺してきた!イヤァーッ!」フリージングタントは炎の元を断つべく、受け止められたダガーに冷気を注ぎ続ける。だが……凍らぬ!止まらぬ!

正確には、イグナイトの手を凍りつかせるとほぼ同時に溶かされているのだ!周囲の炎はなおも勢いを増し続ける!
イグナイトの頭部を粉砕せんとするアサルトアーマーの動きを止め続けるユンコ!

「何をやっている、フリージングタント=サン!チイイーッ」ターゲットをユンコに切り替えるアサルトアーマー!

「今度は鬼ごっこ?」ユンコは両脚の全てのハッチを展開!残りのミサイル全射出!
アサルトアーマーはサイバネを全開駆動させ、蹴りによるカラテ衝撃波を放つ!

「イヤーッ!!」

迫りくるミサイルを一掃!KABOOOM!!
フリージングタントはなおも均衡を破らんとダガーにカラテを込めた!

「これは……これはッ!?」しかし動かぬ状況に、フリージングタントの表情に焦りの色が見え始める!

「お前さっき言ったよなァ……これまでの奴がどうとか……」イグナイトの髪とマフラーは逆巻き、荒ぶっている。まるで炎そのものであるかのように赤々と染まる瞳に射抜かれ、フリージングタントの身体がぴくりと震えた。

「だッたら教えてやるよ……これがアタシのカトンだ!インプルーヴド・カトン・ジツだ!!」半ばトランス状態のように咆哮するイグナイト!
周囲に巻き起こる業火の勢いは、アサルトアーマーとユンコの動きすらも止めた!
タント・ダガーが溶ける!そしてフリージングタントの身体すらも焼き焦がす!

「グワーッ!?グワーッ!!」

イグナイトはフリージングタントを鯖折りめいて抱え込んだ!
断じて逃がしはしない!彼女は自分を侮った者を決して許しはしない!!
超高熱を発し続けるイグナイトの身体に、装束ごと容赦なく焼かれてゆく!
まるでイクサ場に生まれたデミ太陽めいて、輝く!

「アバババババーッ!!」

フリージングタントの口内から吹き出す炎!鼻!耳!目!

「アタシだけのカトンだ!比べてンじゃねえーーーーッ!!

「アバーッ!!サヨナラ!!」

フリージングタントは爆発四散!
イグナイトは血中カラテを大量消費し膝を付きそうになるも、こらえてアサルトアーマーを睨んだ。
ユンコはよくかわしているが、時間の問題であろう。
ならば、もうひと踏ん張りといったところか。

「これで二対一じゃない?」

ユンコはアサルトアーマーの猛追に対し、両腕のマシンガンとZAPガンを駆使してどうにか逃げ続ける。
ユンコの火力を真正面からまともに喰らい続ければ、サイバネ鎧と言えど無敵とは行かぬ……だが歴然たるスペックの差は埋めがたいものがあった。

「生意気にも一人分でいるつもりか!イヤーッ!!」地を蹴りユンコの眼前まで迫るアサルトアーマー!回避も間に合わぬ!左腕を掴まれ、展開したマシンガンが握りつぶされる!右腕のZAPガンもチョップ破壊!

「ピガーッ!」

「イヤーッ!」ケリ・キックとともに割り込むイグナイト!アサルトアーマーはそれを難なくチョップでいなす!

「もう先程のような炎は出せまいて、イグナイト=サンよ!」

ユンコの腕を掴んだまま回し蹴りを浴びせ、イグナイトの連続カラテを左腕一本で受ける!「ピガガーッ!?」「こンの……!」

「相当消耗していると見える!そこでお友達が壊れていくのを見物しているがいい!」

ユンコにもう一撃を浴びせんとするアサルトアーマー!
だがその瞬間、ユンコは……掴まれていた左腕を自ら引きちぎる!拘束を脱しタタミ二枚分の距離を取った!
芸術品にも等しいそのボディに対する思わぬ自傷的行為に、アサルトアーマーの思考が一瞬停止する!

「……!!」

その一瞬の隙を突いて、ユンコは腿の秘密ホルダーから小型ナイフを取り出す!
ポケットに入る程度のスモールサイズではあるが、その刃は鋭く硬い。
ユンコはモーター回路を唸らせ、自身のサイバネ照準システムと、かろうじて動く右腕の動きを無理矢理リンクさせる!
ザクロからのスシがもたらしているカロリーで、彼女は動く!狙うは一点!

「イヤーッ!!」

ブルズアイ!アサルトアーマーのジャバラ・ラバー関節部を裂き、首元に突き刺さるナイフ!だがまだ浅い!引き抜きにかかるアサルトアーマーの動きをイグナイトが制する!「なンだよ、もうちょっと遊ぼうぜェ!」

ユンコは既に次の動きへとシフトしている!アサルトアーマーへと放たれる、流れるような動きからのソバット!

「イヤアアアーッ!!」首元のナイフへとハンマーめいて命中し……抉り込んだ!

「アバーッ!?」

激痛にもがくアサルトアーマー!
常にサイバネティック鎧に護られたこの男にとって、このような痛みを味わうことは実際稀であった。重篤なダメージを検知しZBR成分が緊急注入されるも、時すでに遅し!
後ろからしがみつき、首の傷口へとねじ込まれるイグナイトの指!

「残りの分も持ってけよ!!イヤーッ!」「アババババーッ!?」

サイバネ密閉された身体に穿たれた注入口から、内側へとカトンを注ぎ込む!
ゴ……ゴウランガ!!何たる恐るべき光景であろうか!
外部からの業火やレーザーに耐えうるほどのアーマーが、この世ならざる煉獄めいた責め苦を与える拷問具に変貌しようとは……おお、インガオホー!!
どうか御覧になっている読者諸氏には、心を強く持っていただきたい!

「アババババババ……!」

呻きながらも眼前に膝をつくユンコを睨み、ゆっくりと断頭チョップの体勢へと持ち上がる右腕!
この期に及んで反撃をしようというのか!底知れぬ執念!
だがその振り上げた手が頂点に達した時……アサルトアーマーは事切れた。

「サ……ヨ……ナラ」

まるでフィクション映画のゴースト甲冑の最期めいてその場に崩れ落ちる。
身体中のカラテを流し込んだイグナイトも、続くように倒れ込んだ。
あとは任せたと、未だ戦いを続ける二人に心の中で告げた。


プラズマキャプチャーはそのギミックサイバネ腕をテッコめかしてパンチを繰り出す。
何度もムテキは喰らわぬとばかりに巧みなポジションで放たれるカラテは、実際ネザークイーンの目からも重く鋭い。
しかし未だ決定打を与えられずにいる。既に二人の仲間がイクサで死んだ。
プラズマキャプチャーのニューロンに焦りという名のノイズが走る。

「アーラ!カラテも案外イケるクチじゃないの!」

「シャラッシェー!!クッ……こんなはずではッ……!」

徐々に攻撃のリズムが乱れる!
わずかに疎かになった守りを見逃さず繰り出されるネザークイーンの右ストレート!

「イヤーッ!」「グワーッ!」

なんたるウカツ!よろめくプラズマキャプチャーはすぐさま思考のフラットさを保つべく、不安と焦燥を振り払う。
このままカラテ勝負を続けたところで、サイバネ腕の質量では勝るが、スタミナ勝負となればむしろそれが不利に働きかねない。意を決したプラズマキャプチャーは動く!

「これだけは使いたくなかったが……イヤーッ!」プラズマキャプチャーのサイバネ腕の外部装甲が排除され、現れたのは剣呑なアトモスフィアをむき出しにした大型電極!

「最早手段は選ばん!」

これぞプラズマキャプチャーの奥の手!
リミッターを外しての電撃は殺人的な出力を誇るが、サイバネ腕そのものが火を噴く可能性も実際高い!まさに背水の陣だ!
電極から火花を散らせながら、ニンジャ筋力を振り絞りネザークイーンの防御を掻い潜る一撃を仕掛ける!

「死ね!ネザークイーン=サン!死ねーッ!!」

「アバーッ!!」大型電極を押し当てられ、スタンガンなどとは比較にならぬほどのショックに叫ぶネザークイーン!

「素直にドゲザしていればこのような目に合わずに済んだものを!やはり貴様はインガオホーよ!」プラズマキャプチャーの電子的な嘲笑が響く!

致死的な電圧の中、ネザークイーンの意識は過去へ向かっていた。ソーマト・リコール現象だ。ニューロンは加速し、数々の映像が脳裏にフラッシュバックする。
ニチョームで共に生きる皆。数々のイクサ。ニンジャスレイヤー。……ヤモト。

(((ウウーッ!!)))(((ホントに高いのよ、ジャケット……)))

ヤモトと出会って、もうどれぐらいになる?最初はただの義侠心だった。寄る辺のない彼女を庇護し、店においた。護る者と護られる者。
彼女が巣立つまで、そんな関係が続くのだろうと思っていたし、それが自然なことだとも思った。だが……いつしか。

(((アタイは……)))(((アータが正しい。アタシだけよ。腹くくってなかったのは)))

ヤモトは誰にも負けぬ立派な戦士へと成長していた。
自分が護られる側になるほど、心も身体も逞しく鍛え上げられていった。美しく強いカタナのように。随分遠い存在に……遠い?……なぜ遠ざかる?

ソウル……カラテ……ニンジャとして急速に覚醒していくヤモトとの、否応のない差……。
ネザークイーンは……ザクロは極限まで圧縮された時間感覚の中で、ニューロンをスパークさせる。
……それがどうした。遠ざかるというのなら、どこまでも追っていけばよい。
自分は娘の成長を喜ぶだけの親でもなければ、隠居を決め込んだセンセイでもない。ヤモトにはまだまだ伝えたいことが山ほどある。あの娘はまだ、色恋の一つもしていないのだから……。

「こんなもん……!」

勝利を確信するプラズマキャプチャー……だが、ソーマト・リコールから目覚めたネザークイーンは動く!

「両腕ケジメに比べりゃ屁でもねぇ!!」

ネザークイーンは浴びせられる致命的電撃を意にも介さぬかのようにサイバネ腕を掴み……力任せに捩じ切る!肘から下をケジメ!!

「アバーッ!?」

なんたるニンジャ耐久力とニンジャ腕力か!だが実際、あと数秒でも長く浴び続けていれば、ネザークイーンは心停止させられていただろう!

「そんな……理不尽すぎる!オカシイ!嗚呼……スリーディー=サン!」

「ハアーッ!ハアーッ!イヤーッ!!」

絶望と恐怖でニューロンを埋め尽くされ呆然とするプラズマキャプチャーのUNIXめいた頭部を掴み、地面へと叩きつけた!!CLAAAASH!!

「アバーッ!!サヨナラ!!」脳を潰され、プラズマキャプチャーは爆発四散!
ネザークイーンもそのまま……地面へと五体投地姿勢めいて倒れた。


ヤモトとスリーディーは空中でカラテ交差した。
スリーディーのジツが生み出すカラテ斥力によるトリッキー極まりない動きに対して、ヤモトはオリガミをミサイル、そして足場のように駆使して互角に立ち回っている。

「流石だ。この俺とここまでやり合える奴はそうはおらん」

「後はお前だけだ!イヤーッ!」

スリーディーの周囲へと、その動きを封じるように飛ぶ桜色のオリガミ!
だがスリーディーは迷いなく跳んだ、正面のヤモトへと!

「イヤーッ!」「イヤーッ!」

「そのまま言葉を返させてもらおう。お前を下せばあとは消耗しきった死体も同然。希望などない!」

「ある!アタイだ!」

ナンバンとカロウシによる二刀流イアイドーとカラテ伝導プロテクターによる油断なき格闘術がぶつかり合う。
何度かの激突の後、機を見たスリーディーは宙返りめいて跳躍!
天地逆さの体勢から、自らのカラテ斥力でさらに宙を蹴った!
ナムサン!これは言わばリバース・サマーソルトキックとでも呼ぶべき変則アーツだ!
スリーディーのカラテに重力加速度が加わり、その危険度は倍化!「イヤーッ!!」

ドクン。ヤモトのニューロンにニンジャアドレナリンが駆け巡る。泥めいて鈍化する主観時間。ヤモトは思考した。この恐るべき簒奪者の放ったギロチンめいた一撃に抗う術を。
数々蓄積されたイクサの経験値が、即座にヤモトの身体を動かした。

まずエンハンスされた二刀で受けた。下手に跳びかわせば、また宙を蹴る変則ムーブに翻弄されるのは目に見えている。
予想以上に重い一撃。だが完全に止められなくともよい。元より力比べをするつもりはない。少しでも威力を殺し、生じた猶予で優位の位置へと最小限の動きで飛び込むべし。
火花を散らすカタナを軸に、ヤモトは身体を滑らせるように背後へと回り込む。

「イヤーッ!!」

一刀はまだ脚に喰らいついている。そしてもう一刀で……眼前の後頭部を狙う!

「ヌウーッ!」

寸前で一気に身体を引き起こすスリーディー!
カタナの切っ先がわずかに頭部を掠めた!ヤモトの顔へと鮮血が散る!
スリーディーは宙を蹴り、再びヤモトにカラテを浴びせんと動く。
だがヤモトはニンジャ第六感の命じるままに一瞬早く跳んでいる!

「イヤーッ!」わずかに掴んだイクサの主導権を離しはしない!ヤモトのエンハンスによって折り上げられたオリガミの蝶の群れが二人の周囲を舞う!

「何だ……?」殺気とは違う奇妙なアトモスフィアを感じながらも、空中から死角を取らんとカラテ斥力ムーブを試みるスリーディー!

だが……その中途、宙を蹴った彼のニューロンに生じる、恐るべき違和。明らかに自分は"跳びすぎて"いる。直前に描いた未来予測と一致しない。彼はすぐに気付いた。己の手足のカラテ伝導プロテクターにまとわりつく桜色の蝶の存在に!

蝶だけではない。プロテクターすらも桜色の光を帯びている。スリーディーは理解した。奴が仕掛けたこのエンハンスメントにより、カラテ伝導率が狂わされているのだと!

「イヤーッ!」迎撃するヤモトの二刀の周囲にも……また蝶だ!巧みにイアイの軌道を幻惑せしめ、予測の最適化を阻んでいる。スリーディーの身体に、これまでに感じたことのない怖気が走る!

「グワーッ!!」

ガードが間に合わず、斬り裂かれる両脚!スリーディーは即座に着地し、カラテを構え直す!このジツの前に、最早宙を駆ける意味はなし!そこに追撃のヤモト!

「イヤーッ!」「イヤーッ!」イアイをカラテで止める!

「わかっているのか……!アマクダリのような強きニンジャ組織なき世界がどうなるのかを!」

「……そんなもの、どうだっていい」ヤモトは吐き捨てる。

スリーディーは闘志の炉に、歪んだ使命感という名の薪を焚べた!
二刀流イアイドーをブリッジ回避し、カウンターのメイアルーア・ジ・コンパッソ!

「ンアーッ!」

「力ある名が必要なのだ……!アマクダリのような名が!!」激昂するスリーディー!
だが対するヤモトの目は剣呑な輝きを増している!

「アタイ達の生き方はアタイ達が決める!お前じゃない!!」

スリーディーは唾棄した。秩序への道筋をかなぐり捨て、その場限りのエゴにまみれた眼前の娘を。
そして畏れた。純粋なまでに透き通った桜色の瞳を。カラテをカラテでねじ伏せようとする地獄戦士の迷いなきキリングオーラを。
体勢を立て直したヤモトが踏み込んだ。畏れを怒りで塗り潰すように、スリーディーは臨む!始まるカラテ応酬!

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」

厭わしき蝶は一打ごとに起こる衝撃で爆ぜては消え、徐々にその曇りは拭い去られた。自慢のオリガミも最早アウト・オブ・アモーか。だが今更無駄な追いかけっこもすまい。

互いが互いの急所へ打ち込んでは弾き合う、死のカラテラリーの様相を呈している。
サウザンド・デイズ・ショーギの如きスパイラルへと陥る前に、クライマックスの手綱を握らねば!

「イヤーッ!!」「!!」

二者の動きが……止まった!
スリーディーがナンバンとカロウシの刀身を掴み、襲いくるイアイを止めたのだ!
両の手に発生させたカラテ斥力で、わずかに斬撃の威力を鈍らせたからこそ可能な芸当!
もしまともに受けていれば、掴んだ四指が根本からケジメされていたであろう!
ヤモトはコンマ秒の状況判断によりナンバンとカロウシから手を離すが、スリーディーも頭部めがけ、この長きイクサを終わらせんとする蹴りを放ちにいく!

「イヤーッ!」

……だがそれよりも早く、ヤモトの懐から姿を現していた一枚のオリガミ。それは瞬く間にツルの形へと変貌し……スリーディーの顔面へと飛来!桜色の爆発!KBAM!!

「グワーッ!?」

半ば勝利を確信していたスリーディーは、最後の一枚からの思わぬ一撃にニューロンが白く染め上がる。
その手からカタナを奪い返したヤモトは突き刺し、貫く!心の臓!!

「アバッ……!!」

ヤモトは見た。自分に向けられたスリーディーの目を。
今まさに命尽きようとしているその視線ははっきりとこちらを見据えながら、しかしこの世に在る何物も映していないように見えた。

「フ……フフフフ……全く……見事……」

スリーディーは血を吐きながら空虚に笑った。

「黒き世に……散らず燃ゆるか……桜の灯……ゴボッ」

「…………」

「……サヨナラ!!」

スリーディーは爆発四散した。
ヤモトはしばしのザンシンの後……ナンバンを杖代わりにその場に座り込む。

「ハアーッ……ハアーッ……」

出し尽くした。何もかも。
もっと、もっと強くなる必要がある。そんな思いがヤモトのニューロンを巡った。
呼吸がようやく落ち着いた頃に、足音。

「ヤモト=サン!」

そこには支え合うユンコとイグナイト。そして……ザクロがいた。
皆ひどく傷つき疲弊しているが、笑顔だった。

「大丈夫かァ……ヤモトちゃん」

「うん、平気。すごく……疲れたけど」

するとザクロが駆け寄り、ヤモトに優しくハグをした。

「全く……スゴイ子よ、アータは」

「ザクロ=サン……」

サイバネ腕の堅く冷たい感触。だがヤモトにとっては何よりも尊いものだ。
ヤモトもザクロの背中に手を添え、応えた。

「ドーゾ、ヤモト=サン」

ユンコが差し出したのはマルチタッパー……その中にあるトロ・スシだ。
彼女はいかなる時もエネルギー源であるトロ成分を迅速に補給できるよう、いくつかのスシを携帯している。
そのうちの一つをヤモトへと分け与えた。

「ユンコ=サン……ドーモ」

ヤモトは奥ゆかしく手を合わせ、出されたスシを食べた。
オーガニックな栄養成分が全身に行き渡り、ニンジャ回復力がブーストされる。
皆これに助けられたのだろう。身体が幾分軽くなるのを感じた。

「……おいしい」

「でしょ」

「……さ、帰るとしましょうか!もうこんな時間、お肌に悪いったら……アイテテ……」

「無理すんなよォ、オッサン!」

四人は互いに肩を貸し合い、モーターサイクルを押しながら帰路につく。
青天の霹靂めいたイクサが、ようやくの終わりを告げた。


一夜が明けた。
ニチョームを奪わんとするアマクダリ残党ニンジャの魔の手は払いのけられ、第二波の気配もなし。ザクロのサイバネやユンコの身体は、ニチョームお抱えの技師により一応の修理措置が行われた。

連中は本気でここを新たなアマクダリの拠点として丸ごといただく腹積もりでおり、そのため町や住人への被害がほぼ皆無であったのは、不幸中の幸いと言っていいだろう。
三人はまた誰からともなく、『絵馴染』に集まっていた。

「二人とも……もう行っちゃうんだ」カウンター席の二人に挟まれる形のヤモトが、名残惜しそうに言う。

「うん、私はスタッフの皆にボディを診てもらわないとだから。ザクロ=サン、色々とありがとう」

「なーに言ってるの!お礼を言うのはこっちの方よ!アータ達がいなかったら、昨夜はどうなってたか」

「アタシも……昨日の連中みてェなのがまだまだいるんだなッて思ったら、じっとしてらんなくてサ」

イグナイトは拳を鳴らしてみせた。ニチョーム以外にも独立コミュニティの芽は、おそらく既にいくつも生まれていることだろう。ならば、やることは一つだ。
席を立ったイグナイトに、ユンコも続く。

「そっか……」

「いいんじゃねェの? 落ち着いたらまた会えばさ」

「そうね……半年後か、一年後か、それとも十年後か……」

程なくして世界は未曾有の混乱に突入することだろう。先日の襲撃はそのほんの前触れにすぎない。
だが、そんなものはとっくに承知していたことだ。迷いはない。

「いつだって、かまわない」

ヤモトも立ち上がり、微笑みながら言った。
二人も無言で頷き返す。

「ニチョームはいつでもアータ達を歓迎するわ。……くれぐれも、気をつけてね」

「オタッシャデ」「オッサンもな」

三人は最後に小さなトライアングルを作り、それぞれが拳を合わせた。
それだけでよかった。
進む道は異なれど、何かの拍子に交わる時もあるだろう。
少女達が胸に秘める思いは、皆同じなのだから。


【スリー・ガールズ・デイ・アウト】終わり




◆忍◆
ニンジャ名鑑#XXXX
【スリーディー】
アマクダリの残党ニンジャ。手足からカラテ斥力を発生させることで、空中においても地上となんら変わらぬ動きを可能としている。元々は取るに足らぬジツであったが、彼自身の弛まぬ鍛錬と特殊プロテクターにより極めて自然かつ実戦的なスタイルを構築するに至った。アマクダリ復活を掲げてはいたが、目的はそのネームバリューを利用しての事態の収拾と新たな支配図の構築であり、厳密な意味での再現・再興ではない。
◆殺◆

◆忍◆
ニンジャ名鑑#XXXX
【アサルトアーマー】
アマクダリの残党ニンジャ。テックの力を何よりも尊ぶ。オナタカミ製のサイバネアーマーに全身を包んでおり、鉄壁と呼べる守りを誇る。さらにはニンジャ筋力アシストによるシンプルかつ豪胆なカラテを振るい、生半可なニンジャでは傷一つ付けられず死んでいくことだろう。
◆殺◆

◆忍◆
ニンジャ名鑑#XXXX
【プラズマキャプチャー】
アマクダリの残党ニンジャ。身体の多くがサイバネ置換されている。計六本ものワイヤーをUNIXめいて精密に駆使し、様々なミッションに従事していた。スリーディーのアマクダリ復活理念に強く共鳴しており、今際の際にはその名を叫ぶほどであった。
◆殺◆

◆忍◆
ニンジャ名鑑#XXXX
【フリージングタント】
アマクダリの残党ニンジャ。コリ・ニンジャクランのソウル憑依者である。タント・ダガーに冷気を纏わせ、形なきものすら切断せしめる優れたワザマエと、カトン・ジツ使いのカトンを封殺しながら殺すことに至上の喜びを抱く、歪んだ嗜好を持ち合わせる。
◆殺◆

◆忍◆
ニンジャ名鑑#XXXX
【テイサツシャ】
スリーディー一派のニンジャ。ディセンションしてから日が浅く、ステルス・ジツを使い、どこにも属さずコソ泥めいた悪事を繰り返していた。スリーディーに出遭いジツを買われ加入したものの、彼自身は大した実力も理念も持たず、他のメンバーからは距離を置かれていた。
◆殺◆


スシが供給されます。