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マガジン「パワポケな人たち」を作成しました。

パワポケには「プロフィール」というモードが公式で用意されている。そこではサクセスのシナリオに登場するキャラクター達のプロフィールがユーモアたっぷりに、時にシリアスな経歴とともに、キャラクターによっては辛辣な皮肉とともに紹介されている。このモードでは、最初からすべての登場キャラクターのプロフィールがまとめられているわけではない。プレイヤー自らがサクセスをプレイする中で、物語の中で各キャラクターと出会い、その人物と親しくなるなどの一定の条件を満たしてはじめて該当キャラクターのプロフィールが解放される仕組みになっている。キャラクターの後日談等が語られる「エピローグ」と双璧を成す、ちょっとしたやりこみ要素だ。

僕らパワポケ好きは、登場する全キャラクターのプロフィールをコンプリートしようと必死になってサクセスのシナリオを周回するのだが、それには膨大な時間がかかる。解放の条件にはランダム性が含まれていたり、野球の試合で優れた結果を残さなければならなかったり(その点はやはり野球ゲームらしい)するので、達成は容易ではない。大人になると、1周のプレイでいかに効率よく行動して複数の条件を満たしていくかという話になってくるのだが、子供のころはそういった計画性のある遊び方ができないので、それこそ同じシナリオを何十周もプレイすることになる。「同じシナリオを何度も…」と思われるかもしれない。飽きもせずよく続けるものだな、と。しかし、実際に1プレイごとに異なる条件を満たしていくと、次第に「それ」に気づいてくる。主人公が取る行動によって、前回プレイしたときには見ることのできなかったイベントが発生したり、新たな人物と出会うことができるようになるのだ。前回までは見えてこなかった世界の事情が見えるようになったり、同じ現象に対する評価が180度反転したりもする。1プレイごとに、常に新鮮な感覚でシナリオを楽しむことができるように様々な工夫がなされている。

並行世界の自分が今何をして生きているのか、みたいなことを考えたことがある人は少なくないだろう。同じ高校に進学したとしても、3年後に卒業するとなったとき自分がどんな姿で生きているかは誰にもわからない。必死に努力して野球部を甲子園出場に導いているかもしれないし、ひょっとしたらドラフトで指名されてプロ野球選手になっているかもしれない。熾烈なレギュラー争いに嫌気がさして野球をやめているかもしれないし、交通事故によって不幸にも命を落としているかもしれない。ふとしたきっかけで、後に結婚し一生を共にする素敵な人に出会えたとする。でも、もし期末試験の数学で赤点を取って補講に出ていなかったら、その人に出会わず別の人と結婚していたかもしれない。同じような舞台が用意されていたとしても、小さなきっかけひとつで結末は大きく変わり得るのだ。

パワポケは、そんな風に主人公の人生に存在した無数の並行政界を行ったり来たりさせることで、僕たちに「現実には様々な可能性が広がっている」ということを教えてくれる。目を凝らして、今日の自分の世界と明日の自分の世界、その世界のどこかに転がる何かを探し続けよう。一見するだけでは少し見つけにくいけれど、どこかにあるんだ。


このマガジンには、タイトルに【プロフィール】と冠した、パワポケのキャラクターについて書いた投稿をまとめていきます。パワポケに登場するキャラクターは一癖も二癖もあって掴みづらいところもあるけれど、どこかリアリティがあって、そして一人一人が精一杯生きています。愛すべき彼ら彼女らの魅力を少しでも伝えられたらいいな、なんて企んでいます。みてね。


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