見出し画像

【企業アニメーション】~コンテ制作でつまづかないコツ~

シナリオがある程度固まり、「さぁ、面白い画や動きを考えていくぞ!」と意気込んではみたものの、 何もアイデアが出なかったり、逆にやりたいことが多すぎて、まとまらなかったりする方も多いのではないでしょうか。

まだ経験が浅い方にとっては、 「どれくらい作り込めばいいのか…」「そもそも何を書けばいいのか…」といった悩みも多く伺います。

今回は、これまでの経験をもとに、コンテ制作をできるだけスムーズに、そして的確に行うための「つまづかない考え方やコツ」をご紹介したいと思います。




つまづかないための、4つのコツ

ここでは課題用に制作したSDGs12の題材をもとに制作した課題用のコンテを例にしています。こちらは、ナレーション原稿がある程度固まった段階です。

※こちらの課題はSDGsの申請を行なった上で制作しております。ただしこの出版物/資料の内容は、国連によって承認されておらず、国連、その当局者、または加盟国の見解を反映したものではありません。
(https://www.un.org/sustainabledevelopment/ )

①いきなり画作りをしない

経験の浅い方によく起こりがちなことは、上から順番にいきなり画を描いていってしまうことです。

絵コンテは、全体の中で緩急をつけ、シーンやカットごとに役割を与えていくことがとても重要なので、ただ上から作っていくと単調になったり、ごちゃごちゃしてしまう可能性があります。(それに、全てのマスを埋めた後では修正が億劫になったり…)

そこで、カットごとに使うモチーフや、全体の強弱やシーンの役割を把握するために、まずは単語単文などでざっくりと湧いたイメージを書いていくことをお勧めします。

マインドマップや連想ゲームみたいなイメージで、頭に浮かんだことをとにかく吐き出しておくようにしてます。

一度吐き出しておけば、全体の大まかなイメージは頭の中に出来上がります。そこから参考動画や画像、または内容についてもっと理解を深めることによって、新しいモチーフやアイデアが浮かんできます。

いきなり画を作ろうとしてしまうと、このアイデア出しや、理解を深める作業に制限をかけることになりかねませんので注意が必要かと。


②最初から作り込みすぎない

最初からイラレで作り込みすぎたり、細かい部分にこだわってしまうと、コンテフェーズで確認しておかなければいけないことから、議論がずれてしまうことがあります。

例えば、良かれと思って作り込んだコンテを見せたが、「ここは青がいいな〜」「ここは人物はもう少し大きい方がいいな〜」「フォントはこっちの方がいいんじゃない?」…など、確認したいことではない意見が次々とでてきたり。

基本的にクライアントは、どんな映像になるか不安を持ちながら検討しているので、作り込みすぎると、必要のない議論に発展してしまうことがあります

これは極端な例ですが、最初から完成されたものを提示されるとクライアントは、
「え?デザインってこれに決まっちゃったの?」と驚いてしまうことも。

あくまで、全体の動画の流れやモチーフのイメージを共有させることが大切ですので、100%の力で作りこむことに、あまり意味がありません。

ラフ画で示しておくことは、「いつ」「どこで」「誰が」「何をしているか」です。その他の情報や表現が難しい場合は、文章で補足すれば十分だと考えています。

別案も横に書き、アイデアを比較させながらブラッシュアップしていく。
どんなモチーフが動画の中で描かれるかが理解できれば、クライアントも検討しやすくなる。

ちなみに「絵が描けないんですけど..」という質問をよく受けますが、手書きである必要なありません。ネットからスクショを集めてコラージュさせて作っても、コンテとして成立します。

手段は違っても、「いつ」「どこで」「誰が」「何をしているか」などの基本は伝える必要があります。また、どんな構図かこの時点で示しておくことも必要です。

コラージュで作っても、伝われば良い。

コラージュコンテのデメリットとしては、「素材を探すのに時間がかかる」「イメージに近い参考がない」ということも考えられますが、反対にコラージュの方がイメージを膨らませやすくなる、というメリットもあるのかもしれません。(大差はない、ということです。)


③カット数や尺に縛られない

コンテをつくる上では、尺やカット数を割り出すことは、制作費や媒体にも関わってくるので、考慮すべき大切な点です。

ただし、そのような制限を最初から考えながら作ると、大抵味気ないものになってしまいます。なので、最初の最初はとにかく自分から出たアイデアや、面白そうな表現をできるだけ詰め込むように心がけています。

全体が出来上がってきた時点で、「省略できるところはないか」「もう少しシンプルにしておくべきとこはどこか」などを考えながら、指定の尺に納めていきます。

赤字の所は画に入れるので、ナレーションで読み上げなくても伝わる。その分、尺も削減できる。

余談ですが、以前何かで北野武が「因数分解するように脚本を考えてる」的なことを言っておられました。多すぎる文章を画に落とし込んだり、または動きだけで表現したり..など、余計なものを一括りにする作業はなんだか面白いですね。


④考えすぎない!

熱量が高いあまり、最高のアイデアが出るまで手が動かない..ということは、よく起こりがちです。まず頭に入れておきたいことは、「素材がなければ、料理はできない」ということです。

素材(ここではラフ画の部分のこと)をできるだけ早く出しておくことで、良し悪し判断をすることができます。

なので、実際にラフを作る際には「直感」「勢い」に任せて進めていくことがとても重要です。最高のアイデアが降ってくるのを待っていては、1日が終わってしまいます。

人間は「作る」と「考える(検討する)」を同時にすると頭がパンクしてしまう生き物だと思っているので、「手を動かして」→「ティータイム」→「客観的な判断」の流れを心がけています。

素材がないのに、「客観的な判断」をすることは不可能です。


完成

そんなこんなで、イメージを膨らませつつ、カットごとの目的を洗い出しながら、ラフコンテが固まりました。
※今回はクライアントさんはいませんので、補足文などは書き入れていません。普段はもっと明確に伝える必要があるので、書き入れています。

こちらをもとに、イラストレーターさんにイメージを伝え、全カットを作っていただきました。

最後に

これまで多くの企業様のコンテを制作させて頂きましたが、基本的には自分が描いたコンテは2~4割くらいはクライアントからの変更を求められます。

「完璧なもの」を目指しすぎると、精神的にも大きな打撃を受けてしまう場合があるので、コンテはフラットな気持ちで取り組むことが、とても重要なのではないかと考えています。

自分のやりたい表現は程々にして、クライアントの実現したいゴールに向かうことが、大切なのかと。その上で、できる限りのアイデアや技術を織り交ぜるようにします。

皆さんの制作において、参考になれれば嬉しいです!

↓普段使っているコンテのシートです。よければご自由に改造してお使いください!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?