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ツナグ1

人物
川中朝陽 (17)陸上部主将、高校三年
小林大雅 (17)陸上部員、高校三年
前田晃 (18)陸上部員、高校三年
山平聡志 (18)陸上部員、高校三年
山尾一希 (19)大学一年、川中たちの先輩
北村康二 (19)大学 一年、川中たちの先輩

男子陸上部員20人程

○スタジアム
T 「2 0 1 9 年 8 月 」
セミの鳴き声。入り口には全国高等学校総合体育大会の看板。スタジアム内ではリレー4×100m男子予選が行われている。川中
朝陽 (16)が走っている。北村康二 (18) にバトンが渡る。 一位でゴールし、川中と小林大雅 (16)、山尾一希 (18)がゴール後の北村に抱きつく。
山尾 「やったー。決勝進出だぁ」
北村 「決勝で走れるんだな、俺ら」
再び抱きしめ合う四人。
×××
8位入賞の賞状と盾をもつ山尾と北村、その周りを笑顔で囲む部員たちの集合写真。
写真の中には前田 晃 (1 7 )と山平聡志(1 7 ) も写っている。

○高校・部室内
室内に飾ってあるインターハイの集合写真。
T 「2 0 2 0 年 8 月 」
ギターを弾く小林と漫画雑誌を読む山平。

○同・部室外
ギターの音。入り口には陸上部の札。川中が歩いてきて扉に手をかける。

○同・部室内
川中が入ってくる。
川中 「いつからここは軽音部になったんだ?」 小林 「片付けしようと思いつつ、つい。それに上手くなったと思わない?」
川中 「思わない」
山平 「本当なら今ごろ静岡だったんだよな」
小林 「それはいうなよ」
山平 「お前らはいいよな。去年出てるから。先輩より早かったのに引退するからってインターハイリレーメンバー譲った俺と前田はこれからどうなるんだよ」
川中 「仕方ないだろ、インターハイ中止になっちまったんだから」
小林 「あー、走りたい」
山平 「走りたい」
川中 「夏期講習後に部室の片づけと理由つけて入り浸るのも、本当ならダメなんだからな」 小林「へーへー」
山平 「俺帰るわ」
帰る支度をする山平。
小林 「じゃ、俺も帰ろっかなー」
ギターをしまい始める小林。
川中 「二人が帰るなら俺だって帰るよ」
山平 「雑誌読み終わったし、明日からはここにも来ないよ、片付けよろしく」
川中 「いやいや、片付けに来いよ」
小林 「大会も部活もないし俺らもいよいよ解 散か 」
無言の川中。部室を出る三人。

2へ続く

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