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【2023】#今年の9枚(グループ編)

 2023年を振り返って印象に残っている韓国音楽の作品(アルバム、EP)を9枚選びました。今回はグループ編です。リリース順にご紹介します!


①H1-KEY / H1-KEY 1st Mini Album [Rose Blossom]

 「ATHLETIC GIRL」での強烈なデビューからちょうど1年。初のミニアルバムは、これまで彼女たちが体現してきた「ヘルシーな美しさ」や「堂々とした姿」を全く異なるアプローチで捉え、より一層彼女たちの才能が開花した作品です。「建物の間に咲いたバラ」のように生きる人々に向けた応援歌②「Rose Blossom」はK-POPファンのみならず、大衆からの支持も集めた楽曲ですよね。タイの伝統楽器の音色を加えた独創的なナンバー③「Crown Jewel(feat.Tachaya)」や、DAY6のYoung K、宇宙少女のエクシが手がけた楽曲が収録されるなど、1曲毎の話題性と楽曲のレベルの高さにも驚きました。メンバー個人での活躍もめざましく、今年はH1-KEY飛躍の年となりました。


②TOMORROW X TOGETHER / The Name Chapter:TEMPTATION

 少年たちが誘惑に直面し揺れ動く姿、誘惑された先にある楽しい世界でのひととき、そして次第に現実を知り始め、誘惑を振り切って歩みを進めるまでの物語が描かれた、まるで一冊の絵本を読んでいるかのようなアルバムです。特にタイトル曲②「Sugar Rush Ride」は軽快なギターのカッティングと、中毒性のある笛の音色が特徴的で、単なる「清涼系」「セクシー系」とは違う、彼ららしい魅力に溢れたナンバーです。「ピーター・パン」の作品とリンクさせながらも、そこにZ世代ならではの要素も存分に散りばめている点が面白いと感じました。10月にリリースされたフルアルバム『The Name Chapter:FREEFALL』では、その後の世界が描かれ、こちらも彼らの物語の転換点となるような、非常に象徴的な作品となりました。


③VIVIZ / The 3rd Mini Album 'VarioUS'

 新曲をリリースするごとに独自のスタイルで、唯一無二のポジションを築いているVIVIZ。3枚目のミニアルバムとなる今作は、まずタイトル曲①「PULL UP」のブラスサウンドがパンチがあって、一度聴いただけで強く印象に残りました。その他にも、シティポップの⑤「Overdrive」、ディスコジャンルの⑥「So Special」など、どの曲も程よく力が抜けていて、とにかく洗練されたナンバーが勢揃いです。現在最新曲「MANIAC」が音楽チャート逆走中の彼女たちですが、上質な音楽と共に、ブレることなく突き進んでいる彼女たちは、来年以降さらに注目を浴びること間違いなしです!


④THE NEW SIX / Love Never Dies

 THE NEW SIX(TNX)初めてのカムバックとなった今作は、青春の走馬灯のようなイントロ①「Love Never Dies」から、モールス信号を巧みに利用した⑥「따따따 - Short Version」まで一貫して、青春特有の悩みに直面し、苦しみながらも成長していく姿を美しく昇華した作品でした。タイトル曲③「Love or Die」をSOLEやRad Museumなど、人気のアーティストたちがカバーし、それらがこのEPと同時にリリースされたのも、P NATION所属という、他のグループとは異なるバックグラウンドを持つ彼ららしいスタイルだと思いました(下記参照)。デビューから出す作品ごとに全く新しいコンセプトに挑戦し、抜群の消化力を誇る彼らが来年もどんな作品を世に出してくれるのか非常に楽しみです。


⑤Kep1er / LOVESTRUCK!

 「愛」がテーマの今作は、グルーヴィーなサウンドが心地よいタイトル曲①「Giddy」やダンスパフォーマンスも魅力的な②「LVLY」など、全体的により大人びた彼女たちの姿を楽しむことができ、これまでのディスコグラフィーの中で特にお気に入りの作品です。そしてKep1erの魅力はなんと言っても、後半2曲のような繊細で温かみのある楽曲をメンバー全員が上手に歌いこなせるところで、特に⑤「Happy Ending」という名を冠しておきながら「幸せなふりをしないで」と歌い上げるそのギャップと、その絶妙な心情を丁寧に表現する彼女たちのレベルの高さに驚きました。実に名曲揃いのEPです!


⑥fromis_9 / Unlock My World

 待望のフルアルバムが今年初めてリリースされました!一人ひとりの表現力に定評がある彼女たちだからこそ収録できる、ユニット曲も全て聴きごたえ満点でした。このアルバムでは特に⑤「Don't Care」から⑧「What I Want」までディスコファンクやUKガラージ、エレクトロポップなど、盛り上がるサウンドで畳み掛けてくる流れが最高に気持ちよかったです。そして『Unlock My World』というアルバムのタイトルの通り、楽曲たちから一貫して現実からの「解放」とこれからへの「決意」が感じられ、聴いていて清々しい気持ちになる作品となりました。


⑦ZEROBASEONE / YOUTH IN THE SHADE

 どのグループもたった一度だけ出せるデビュー曲。花の持つ美しさと切ない宿命を彼らに投影したタイトル曲②「In Bloom」は、まさに彼らがリリースするべきデビュー曲の最適解のように感じました。その他にも、新人としてのこれからへの期待と決意が感じられるような③「New Kidz on the Block」、ジャン・ハオによるソロ曲⑥「Always」など、全曲ハイレベルな仕上がりでありながら、その中に溌剌とした初々しさを感じました。デビュー作の勢いそのままに、彼らの「一番眩しい今」の姿を2024年もたくさん見せてくれることを楽しみにしています。


⑧NewJeans / NewJeans 2nd EP 'Get Up'

 デビューから1年経った今、改めてNewJeansとは何者か定義するかのような①「New Jeans」から始まり、新たなアーティストたちと手を組んで制作された収録曲それぞれが、全く異なる魅力を持ったEPです。デビューEP『New Jeans』がその後のK-POPの流れを変えた作品だとしたら、今作で他のグループが真似できない領域にまで到達してしまったような気がします。今年もこのEPを軸に繰り広げられたさまざまな活動のおかげで、NewJeansに魅了された夏となりました。また、年末に行われたMelon Music Awardで全曲がパフォーマンスされた際、改めてこのEPの良さをしみじみと感じました。


⑨tripleS / LOVElution <ↀ>

 メンバーが追加される毎にどんどん魅力的なグループへと進化していくtripleSですが、8人で構成されたディメンション(ユニット)LOVElutionがリリースしたこのアルバムは、タイトル曲②「Girls' Capitalism」での、周りに流されたり表面的な美しさのみを追い求めてしまうような人々に対して優しく諭すような歌詞、そしてMVが印象的でした。その他にもソウルに住む少女たちの抱える物悲しさを2-Stepでトレンディーに表現した⑤「Seoul Sonyo Sound」や応援歌のような⑥「Cry Baby」など、現代社会を逞しく生きる少女たちが持つ気高さが一貫して表現された作品となりました。来年もどんなディメンションが構成されるのか楽しみにしています!

 最後まで読んでくださりありがとうございました。次回(ソロ編)もお楽しみに!

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