ZICOとダンスチャレンジと
2020年1月に韓国のラッパーZICOがリリースした「Any song(아무노래)」は音楽チャートや音楽番組の1位を総なめにし、2020年を代表する楽曲になりました。
この曲が人気になったきっかけのひとつは、彼がSNSにアップして始まった「#AnysongChallenge」です。最初にMAMAMOO・ファサとの動画が公開されてから多くのアーティストとのコラボがアップされました。多くの著名人や一般人が国籍問わずこのチャレンジに参加し、2022年8月現在このハッシュタグが付けられた投稿は合計6億回以上再生されています。そしてこの「#AnysongChallenge」は、K-POPにおけるダンスチャレンジブームの火付け役と言われています。
今でこそカムバックした際の恒例行事として、当たり前にSNSで見られるようになったダンスチャレンジですが、ここ2年の間にそれが果たした役割は私たちの想像以上に大きかったのではないでしょうか。というのも「Any song」がリリースされ、そしてダンスチャレンジがブームになってからすぐ世界が直面したパンデミックによって、K-POP界も大きく活動のスタイルを変化せざるを得なくなったからです。
その一例として、ほぼ毎日韓国でオンエアされている音楽番組では無観客での収録によりファンの歓声や掛け声は聞こえなくなり、また感染対策として番組のエンディングでも最低限の出演者しか登壇できなくなりました。そのためこれまでステージ上で見られた、グループの垣根を越えた仲睦まじい交流が全く見られなくなってしまいました。例えば毎週金曜日に放送されているミュージックバンクでも、約2年間エンディングにはMCと1位候補のアーティストしか登壇できませんでした。
そんな中、テレビ・ラジオ局の廊下や楽屋、事務所などで撮影されたダンスチャレンジ動画は活動期間の被っているアーティスト同士の絡みが見られる唯一の機会としてファンが楽しみに待つコンテンツとなり、次第にカムバックの定番となっていきました。
今ではTikTokで好きなK-POPアーティストの公式アカウントを覗けば、必ずと言って良いほど「#○○Challenge」の投稿がされていますね。実際この他グループとのコラボによってファンダム以外にも曲が知られるきっかけにもなり、結果として大衆の人気を集めヒットに繋がった曲もいくつかあります。
このように2020年にダンスチャレンジを広め、コロナ禍におけるK-POP文化を盛り上げるきっかけのひとつを作ってくれたZICO自身がその間何をしていたかというと、2020年7月にアルバム『RANDOM BOX』をリリースした後、なんと約2年間兵役のため活動を休止していました。2022年4月に兵役を終えた彼は7月に『Grown Ass Kid』でファン待望のカムバックを果たしました。
先行してリリースされた「SEOUL DRIFT」の歌詞の中には
というような、私たちが今まだ続くコロナウイルスとの長い戦いを振り返り共感できるようなワードと、ZICO自身がコロナ禍&兵役の中で、目まぐるしい進化を遂げる韓国のエンターテインメント業界をどう見つめていたかが伝わってくるようなワードが散りばめられています。
ニューアルバム『Grown Ass Kid』のタイトル曲「괴짜 (Freak)」でもダンスチャレンジ(「#Dothefreak」)で積極的に今をときめく著名人とコラボを行っていました。
レベルの高いラップ、ダンス、歌唱のスキルを持つ唯一無二のエンターテイナーがまた韓国音楽界に戻ってきたことを非常に嬉しく思います。早速音楽番組や国内外のフェスに大忙しの彼の更なる活躍に期待しています。最後まで読んでくださりありがとうございました!
サムネイル:TikTokより(#AnysongChallenge、#Dothefreak)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?