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新たな自動運転インフラに!?見えない塗料「ターゲットラインペイント」

こんにちは、「Experience×Technology(体験×技術)」の岡田です。
今回は人には見えない塗料が車の自動運転をさらに推し進めてくれそう、というお話です。


車の自動運転技術は着々と進歩しており、日本でも、一定条件下で運転中にハンドルから手を離すことが可能なハンズオフ機能(自動運転レベル2)、加えて目線を前方から外すアイズオフ(自動運転レベル3)が可能な車が登場しています。

安全で完全な自動運転(自動運転レベル5)が実現すれば、
移動はもっと楽に、便利に、時間も有効活用できますよね。

その実現にあたって重要となる技術がLiDARであり、今回ご紹介したいのは、その性能を強化してくれる塗料「ターゲットラインペイント」です。

LiDARとは

まずは自動運転と関わりの深い3D測定技術LiDARについてご説明させていただきます。

LiDAR(ライダー)は「Light Detection And Ranging」の略で、
レーザー光を照射し、それが物体に当たって跳ね返ってくるまでの時間を計測することで対象物までの距離や対象物の性質や形状などを測定する技術です。

LiDARの仕組み

3D測定技術は他にもありますが、下記の特長から自動運転において重要な役割を果たしています。

  • 高精度かつ長距離のセンシングが可能なため、車両周囲の障害物や道路状況を正確に把握できる

  • 高速でリアルタイムなデータ取得が可能で、迅速な判断、制御につながる

  • カメラによる画像認識型測定より、天候や照明条件の影響を受けにくい

さてそんなLiDARですが、まだ完璧なわけではありません。
実際には他のセンサーやカメラなどと組み合わせて使用されていることが多く、高速道路や都市環境といった複雑な交通環境でのより正確な物体検出と障害物回避、計測範囲のさらなる向上、悪天候下での性能低下の改善などが課題とされています。

塗料が自動運転技術をサポートする?

そこで登場するのが人には見えない塗料「ターゲットラインペイント」です。

塗料なのに見えないというのが不思議ですが、人に見えない、というのも重要なポイントです。
言い換えればLiDARにだけ見える=専用マーカーになる塗料で、どれくらい「見えないのに見える」のか、下記の比較画像をご覧ください。

左:人の目視 右:LiDARによる検出
(日本ペイントホールディングス株式会社プレスリリースhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000300.000007223.htmlから引用)

人の目からはマーカーがアスファルトに同化してほぼ見えませんが、LiDARからはハッキリ認識されているのがわかります。

従来、LiDARでは暗色を認識しにくいそうですが、光の波長で反射強度を上げるなどの技術によりアスファルトに溶け込みやすい暗色でも高い認識精度を実現しているのだそうです。

道路やガードレールなどへ人にもわかるような目立つマーキングをしてしまうと白線や重要な路面標示と混同、誤認が起きたり、景観を損ねてしまいますが、人には見えない「ターゲットラインペイント」ならいずれもうまくカバーできそうですね。

見えない塗料の可能性

より高いレベルの自動運転のためには車体側の技術向上はもちろん、走行環境のインフラ整備も必要不可欠です。
そのための高いコストも課題となっていますが、「ターゲットラインペイント」には塗料だからこその柔軟な利点があります。

  • 様々な場所やモノに塗装できるため新たな標識などが不要で、導入・メンテナンスのコスト削減が見込める

  • トンネル内などの景観変化がない場所においても塗料によるマーキングで特徴物を作り、マップマッチング精度の向上が可能

  • GPS信号が届きにくい場所でも、LiDAR機能を補強し位置測定精度を保つことで自動走行をサポート

「見えない塗料」という選択肢は、走行インフラの拡充や自動運転の発展と普及に貢献してくれるのではないでしょうか。

期間限定ながら西新宿エリアの路線バス大津市の路線バスなど、各地で実証実験も進んでいるようで、期待が膨らみますね。

以上
今後もワクワクできる「体験×技術」をご紹介していければと思いますので、どうぞよろしくお願いします!
最後までお読みいただきありがとうございました。


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