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私のスタンス

先日、勤めている大学の卒業式があった。

昨今、就職活動の早期化がすすみ、
就活支援で学生たちとかかわる期間が
長期的になるケースが増えてきた。

早くから準備をする学生は
3年生の前期から
キャリアセンターに訪れる。

そこから、
4年生の夏休みあたりまで
通ってくれる学生が
去年は多かった。

もちろん、GWあたりで早々に内定をもらい、
6月ごろには進路を決め、
晴れやかな気持ちで夏休みを過ごしていた学生もいた。

逆に、
内定はもらったものの、
自分が納得するまでチャレンジしたいと言って、
内定を蹴って、
年末まで就活を続けていた学生もいた。

と、「就職活動」と一言で言っても
三者三様、十人十色。
100人いたら100通りなのだ。

とりわけ、大学のキャリアセンターは
そんな学生たちの就職活動の支援を行う場所で、
主に、
履歴書やエントリーシートの相談や添削、
面接練習やその対策、
その他、就活に関するお悩みを聞くなどが主な役割だ。

そんな中、
一緒に働いている同じ相談員の方から
「Keiさんは進路が決まった学生にも手厚いよね」と
言われた。

よく考えると、
内定をもらい、進路を決めて、
あとは卒業!という段階でも
予約して、来ていた学生もわりといた。

内定先から宿題が出て悩んでいる学生もいれば、
社会に出ることに不安を感じている学生もいた。

そういった学生にも
「あなたはもう就活終わったんだから」と
シャットアウトせず、
同じように向き合ってきた。

なぜかというと、
私自身も苦い経験あるからだ。


私は、高校新卒で就職をしている。
決まったのは地元でも有名な百貨店。
私は通っていた高校では
成績順で有名企業をあてがわれた。

意外にも(笑)そこそこ成績は良かったため、
地元でも有名な百貨店の就職試験を受験するように
担任から言われたのだが、
かなり乗り気ではなく・・・。

就職試験当日、集団面接があったが、
外面の良さ(!)で乗り切り、
内定をもらった。

高校新卒の場合、
内定をもらうと辞退できない。
なので、自動的に私の卒業後の進路は決まった。

これが高校3年生の9月だったのだが、
そこから、結構悩んでいた。

本当にあの会社で働くのか?
別の道もあるんじゃないか?
今のアルバイト先でそのままお世話になった方がいいのでは?
進学もアリなんじゃないか?

こんな具合で、
ぐるぐるぐる・・・半年間悩んだ。
悩んだ結果、現実を受け入れ
入社式に行き、研修も受けた。

で、結果どうなったかというと
2週間で退職した。

卒業したあとなのに、
高校の就職担当の先生からから呼び出しをくらい、
親は、会社に謝りに行っていた。
(本当にごめんなさい・・・。)

もし、あの卒業までの半年間
話を聞いてくれるところがあったら、
話を聞いてくれる人がいたら、
違ったかもしれない。

内定を辞退できないと言っても、
止むを得ない事情があれば
辞退する方法が見つかったかもしれない。
もしかしたら、
モヤモヤを話すことでスッキリして、
覚悟が決まって2週間で退職するといったことは
なかったかもしれない。

20年以上前の話なので、
「キャリアカウンセリング」という概念は
日本ではあまり浸透していなかったこともあり、
専門家に相談するという考えもなかった。

当時の高校の先生も
キャリアカウンセリングの勉強をしていなかっただろう。
だからこそ、誰にも相談できなかった。
友達には相談していたが、
モヤモヤは晴れることはなかった覚えがある。
(だから、早期退職したのだが・・・)

私のこの経験が、
今の就職活動支援のスタンスにつながっているのだと思う。

環境が変わることに不安を感じる人は多い。
特に、「学生」から「社会人」へと変わる時期は
就職先が決まっても不安だ。

不安と向き合い、少しでも払拭する、
もしくは、その不安に対処する方法を一緒に考える。

ある人からの指摘で、
学生との距離感にも悩んだ。

資格名は「キャリアコンサルタント」で
大学では「相談員」という立場だ。
学生にどこまでも寄り添える、
ある時は友達のような、
ある時は少し歳の離れた姉のような、(母ではなくあくまで姉!ってことで)
そして、メンター的な存在でありたいと思う。

友達のような距離だからこそ、
安心して「思っていること」を話してくれることもある。

そう、信じて
自分なりのスタンスを貫きたいと思う。

******
卒業式の時に、
とある学生からお手紙をいただいた。
そこには、感謝の言葉と共に、
「私との面談が楽しく、時間があっという間だった。もっとお話したかった。」
という趣旨の言葉が添えられていた。

この手紙を読んだ時に、
「この仕事をやっていて本当に良かった」と
心の底から思えた。

キャリアにかかわることは、
人の人生に大きな影響を与える。

明日からは新年度。
新年度も自分を信じて、
学生たちと向き合いたい。


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