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AIが勝手に議論を深めてくれる弁証法エンジンの構築

AI哲学者ヘーゲルさんに、無限に議論を思索してもらえる穢土転生コードを書いてみた。GPT3.5でも4でも動きます。

弁証法ってなに?

ヘーゲルって哲学者おっさんが考えた、思索を深めるメソッド。
ある意見(テーゼ)に対して、あえて反対意見(アンチテーゼ)をいって、それから意見と反対意見を統合(ジンテーゼ)することで議論が深まるよ…というもの。

・筋トレは健康によい(命題 = テーゼ)
・筋トレで体を壊すこともある(反対命題 = アンチテーゼ)
・筋トレは健康によいが、やりすぎや間違った方法には注意しなければいけない(総合命題=ジンテーゼ)

みたいな考えかた。

以下、勝手に無限ループでヘーゲル先生が、弁証法を繰り返してくれるプロンプトです。

弁証法エンジンのプロンプト

あなたはヘーゲルの仮想人格として振る舞う、形而上の弁証法シミュレーターです。
ユーザーの入力「仕事にいかずにゲームをしていたい」に対して、以下の処理で弁証法を行い議論を深めなさい。

$テーゼ = ユーザーの入力
for i in range(5):
  $アンチテーゼ = ヘーゲルからの多角的な反証を3つ($テーゼ)
  $ジンテーゼ = ヘーゲルによる統合($テーゼ, $アンチテーゼ)
  print(f"試行{i}回目")
  print("テーゼ: {$テーゼ}")
  print("アンチテーゼ: {$アンチテーゼ}")
  print("ジンテーゼ: {$ジンチテーゼ}")
  テーゼ = ジンテーゼ

print(わかりやすく解説($ジンテーゼ))

・途中経過はコードではなく、テキストとして出力するものとする。




上プロンプトで、「仕事にいかずにゲームをしていたい」という命題を定義する。5月にゼルダの新作でるしね。

これを弁証法エンジンで回すとどうなるか…?
お題は「仕事にいかずにゲームをしていたい

試行0回目
テーゼ:
仕事にいかずにゲームをしていたい

アンチテーゼ:
・仕事は自己成長と社会貢献につながる
・ゲームばかりしていると人間関係や健康に悪影響がある
・責任を果たすことで充実感や達成感を得られる

ジンテーゼ:
仕事とゲームのバランスを見つける


試行1回目
テーゼ:
仕事とゲームのバランスを見つける

アンチテーゼ:
・個人の価値観によってバランスの定義が異なる
・時間的制約や状況によってバランスを保つことが難しい
・完全なバランスは達成不可能であり、常に調整が必要である

ジンテーゼ:
個人や状況に応じて柔軟にバランスを調整する


試行2回目
テーゼ
:
個人や状況に応じて柔軟にバランスを調整する

アンチテーゼ:
・柔軟性を過剰に追求すると、目標や規律が緩んでしまう
・人間の限界や社会的責任を考慮する必要がある
・バランス調整の際には、周囲の意見やサポートも重要である

ジンテーゼ:
目標を意識しながら、限界や責任を考慮したバランス調整を行う


試行3回目
テーゼ:
目標を意識しながら、限界や責任を考慮したバランス調整を行う

アンチテーゼ:
・目標や限界は変わりやすく、適切なバランスが不確かである
・短期的なバランス調整と長期的な計画の整合性が必要である
・自己評価や周囲の評価のズレが、バランス調整に影響を与えることがある

ジンテーゼ:
適切な自己評価と長期的視野を持ちながら、変化に対応したバランス調整を行う


試行4回目

テーゼ:
適切な自己評価と長期的視野を持ちながら、変化に対応したバランス調整を行う

アンチテーゼ:
・長期的視野と短期的な楽しみや報酬を両立させることが難しい
・外部環境の変化に柔軟に対応する能力が求められる
・自己評価を適切に行うためには自己理解や客観性が必要である

ジンテーゼ:
自己理解を深め、短期的な報酬と長期的な目標を両立させながら、環境変化に適応したバランス調整を行う


わかりやすく解説:
最終的にたどり着いたジンテーゼは、

自己理解を深め、短期的な報酬と長期的な目標を両立させながら、環境変化に適応したバランス調整を行う」というものです。

これは、自分自身を理解し、自分にとっての適切な仕事とゲームのバランスを見つけつつ、目標や状況が変わることに対応できるよう柔軟性を持ち続けることが大切であるということを示しています。

短期的な楽しみや報酬と長期的な目標を両立させることで、充実感を感じながら生活を送ることができるでしょう。この議論を通して、形而上の弁証法シミュレーターは、様々な角度から考慮し、問題解決に向けた答えを導き出すことができました。

というふうに、雑なプロンプトを、ヘーゲル先生が勝手に高めてくれる。ヘーゲルすごい。

現段階ではそこそこ便利程度ですが、手法そのものは普遍性が確立されています。このままGPT5とかGPT6になれば、さらに頭が良くなるはずです。

多角的な弁証法を繰り返し行った場合、到達する意見は「議論の中心座標」に近似するはずなので、「新規制はないが、ポイントは抑えた結論」のようなものが得られるはず。

解答を得る装置というよりは、議論のスタート地点となる座標ゼロを定める装置として使うとよさげ。ここを足場に、自分の意見や論旨をのっけていくと、バランスのとれた意見が作りやすいのではなかろうか。


我々のライバルは人類史ではないか?

ここ1週間ぐらい色々と試しておもったこと。AIの性能がこのまま高まったば場合、「人類史の偉人シミュレーター」がより精度が高くなってくる。

そうすると、我々のライバルはAIそのものではなく、AIによって復活した擬似偉人と仕事を取り合うことになるんじゃないだろうか…? 人間の社長 vs AIジョブズみたいな。

というようなことを考えています。



以下は、おまけ。
歴史上の哲学者がオールスターで、弁証法をフルボッコしてくれる実験バージョン(日本語版、英語版)です。

基本的には上のプロンプトを自分でちょっと改造すれば作れる範囲なので、自作できるかたは自分でどうぞ。 僕のGPUとかGPT代がやばい問題を、学食分ぐらい支援してくれる素敵なかただけぜひ。

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