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生成AIを導入するなら、最初にCFOと話をしよう

生成AI導入プロジェクトするとき、最初にCFO(最高財務責任者)と話をつけるのオススメ…というお話。特に経営層の関心を引くことが難しいとき。

「AI導入したいんけど、経営陣にどうアピールすればいいかわからん」

コンサルとか顧問とか投資先で、そんな相談を受けたら「序盤でCFOと仲良くなるとよいで」というアドバイスをしてる。あるいはCFOでなくても、部署の財務を握ってる人。

最初にCFOに会う

まず初手で「弊社の利益損失計算書(P&L)、貸借対照表(BS)やその他の管理会計の領域において、AI開発プロジェクトでどのように貢献できるか」とCFOに相談する。

通常、技術者やプPMが財務面に関わる提案をしてくれることは少ない。のでCFOは割と嬉しくなって、ちゃんと時間を割いてくれる。なんなら「コイツは経営を意識できるエンジニアだぞ」と、将来の幹部候補にもなる。

PSとかBSみたいな呪文はざっくり言うと、「人間ドックの結果をバキバキに改善するのでジム代出して」ということを、CFOに話している。できればPLとかBSとか管理会計とは何か?は事前にこちらも知ってるほうがいい。

製造原価・人件費・販管費とかの課題を教えてもらう

CFOとの面談で得た情報を基に、AI導入プロジェクトの具体的な方向性を定める。重要なのは、企業にとって最も費用がかかっている部分、または最も効率化の余地が大きい領域をターゲットにすること。

  • 製造原価: 材料代とか加工代

  • 人件費: 社員とか外注のコスト

  • 販管費: 輸送代とか広告とか手数料とか諸々のコスト

基本的には、この「割合のデカいところやります!」 or 「最終的にやれるようにします!」というのが大事。

CFOが特に問題視している領域を優先的にアタックすることで、プロジェクトへの関心と支持を確保しやすくなる。また、企業の財務に直接的な影響を与えるプロジェクトは、経営層からの注目を集める可能性が高い。

いきなり「社内Q&AシステムをAIで作りたいんです!」とかNG。

「うちは人件費が低いからここ5%削ってもインパクト無いねん」みたいな話で、プロジェクトが頓挫したり、予算が小さくなる。

例えば、製造原価が全体のコストの大部分を占めている場合、「仕入れプロセスの効率化」や「生産ラインの自動化」を目指すAIプロジェクトをやる。一方で、人件費が主要な費用項目であれば、「管理業務の自動化」や「高付加価値人材の業務負担軽減」に焦点を当てたプロジェクトをする。

とにかく、まずはCFOが「え、ここ金使いすぎなんだけど…」と思ってるところを見つけで、「そこをガッツリ削るで」という図を作る。

着手するところの精緻化

AI導入プロジェクトの初期段階では、「短時間で成果がでる」「内部要因だけでいける」「数字化できる」を三種の神器にする。

短時間で成果がでる

短期系はチームのモチベーションを高め、早期に成果を示すことでプロジェクトの存在感を示せる。なので1か月とかかけずに成果を見せたい。初手で大規模開発で1年後とかはやらない。プロジェクトがガチャになる。

内部要因だけでいける

社員や内部システムだけで成果が出るところから狙う。内部要因のみで実施できるプロジェクトは、外部の変動要因や不確実性から影響を受けにくいため、成功の確率が高まる。社内プロセスの改善や社員の業務効率化など、内部で完結するプロジェクトを選ぶ。

数字化できる

プロジェクト報告が「喜んでます!」とか、フワッとしかできない案件は避ける。せっかくCFOと握るので、「決算書類の数字に出せる」とこから着手する。まず成果を数字化して、フワッとしたのは信頼関係を築いてからやる。

イメージとして「毎日、たくさんの人が、たくさん時間をとられる」からやるとよい。


開発予算と方法の選定

想定インパクトが数字でわかると、予算がとりやすくなる。

たとえば「人件費が年2億で、AIで5%削減が見込めます」なら、年予算1000万を正当化できる。初期投資3000で3年で元とれますとか、500で実証しましょうとか。

あとプロジェクトコストが固定費(毎年かかる)なのか、変動費(今回だけかかる)なのか。変動費なら少し高めでも許可おりる。固定費なら成果がストックされるやり方(維持費じゃなくて、毎年効率がよくなる)ほうが好まれると思う。

で、インパクトや確実性がすごいでかければ、自社基盤ガチ開発とかをする…のだが、基本はオススメしない。

初期段階では比較的リスクの低いアプローチを推奨。たとえば、「ChatGPTのような既存のAIツールを活用する」、「簡単なAPI連携やZapier、IFTTTを使った自動化」など、実装が簡単で早期に成果が期待できる方法から始める。このようなアプローチでは、小規模な投資でプロジェクトの成果を実証し、その後の大規模なプロジェクトへの投資を正当化しやすい。


…というような進め方をすると、比較的に低リスクで高打率なAI導入プロジェクトができるのではないか?と思う。

より精緻な話は飯のタネなので略すけど、おおまかこんな感じでやるといいんではないかと。

というわけで、AI推進者はまずは一番最初にCFOにあってもろもろを握るのを強くオススメします。予算とったら弊社にもご相談ください。

いただいたサポートは、コロナでオフィスいけてないので、コロナあけにnoteチームにピザおごったり、サービス設計の参考書籍代にします。