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「孫子の兵法」現代超訳バージョン、#6

clubhouseで話した、孫子の兵法の話。第6章のおおまかな超訳。6章はちとながい。


第6章: 俺がルールだブルーオーシャンを狙え篇(虚実篇)


6-1: 前日に準備して、当日は一番最初に現場入りな

孫子的には、新規事業でもプレゼンでも、先にきてしっかり準備してるやつが有利。後から遅れてきて巻き返すのは大変。

スケールメリットやノウハウ、準備時間とか、先行者利益が色々あるからね。

そんなわけでイケてる人は、先回りして常にルールや状況をリードする側になる。この章でも繰り返すけど、状況や座組みでものごとを動かすの大事。


顧客の利益をしっかり可視化すれば、顧客とか求人も自然とやってくる。訴訟とかのツヨツヨさや、厳格さをしっかり可視化すれば、ヤベェやつらは近づいてこない。

そういうふうに、「状況」のほうを作ることで、相手に自主的に動いてもらうのが大事なんだな。

神マーケターとか、無理にモノを売るんじゃなくて、欲しい人が欲しがる理由とかをしっかり作るので、お客さんの方が自然に動くんよ。

先に準備してルールや状況を作るのが俺。後から来て、状況に対応せざるを得ないのが相手ってことだな。(城攻めとか遠征がよくないとかも、まぁ、そういうこった)。


6-2: 相手が動いて勝手に負けてくれるなら無敵

長期プロジェクトを安定して事業開発できるのは、競合のいないブルーオーシャンに(先に)参入するから。

市場をいっきに取れるのは、競合の事業優先順位の低い場所や、ビジネスモデル上で対応できない方法で、参入するから。

市場をしっかり守れるのは、競合が興味を持たなかったり、算入障壁の高い場所をテリトリーにしてるから。


こんな風に事業を設計するから、進出がうまいやつにかかれば、相手はどう守ればいいかわからない。防衛が上手いやつにかかれば、相手はどう攻めればいいかわからない。自分の意思で対応してるようにみえて、それは全て先手側に強制された盤面なわけだ。

達人は、これをバックエンドのビジネスモデルとか、外からみえない部分でしこむ。だから、どうして儲かるのか、どうして市場を維持できるのか、外から見てさっぱりわからん。いわゆる「無形」ってやつだ。

さらに神レベルになると、なにかが進行してることすら表に見せないからな。「無音」でせまってくる。ヤバイ。

全盛期のアップルみたいに、外から一切動きが見えないんだな。


6-3: 状況が行動を規定するぜ

こっちが進出しても相手が対応できないのは、相手が動けないタイミングを狙うから。社長交代とか決算のタイミングとか。

同様にこっちがピボットしても、ミートしてこれないのは、追撃しにくいルートでピボットするからなわけ。

逆に相手がミートせざるを得ないのは、対応しか選択肢がないゲームに巻き込むからなんだな。ペイペイの無限キャンペーン沼とか。

逆にこっちが無防備でも、相手が踏み込めないのは… こっちの核心部分が見えないせいで、相手の施策が迷走してるからなんよ。


6-4: ゲリラだ!ジャイアントキリングだ!

(まぁ少数で大資本を相手にするのは、推奨はしないけど…)

そんなわけで達人は、相手の動きは全部把握しながら、自分の動きは秘密にする。

こっちは相手の計画をしってるから(上場企業は決算とかで計画を発表しないといけないのだ)、相手がやらなそうなことに資本を集中できる。

相手は、こっちが何をしてくるかわからないから、全方向防御をせざるを得ないんだよね。なので資本とかリソースが分散して非効率になる。

こっちは全戦力を集中して一点突破、相手は分散して全方位の防衛戦…そういう絵がかければ、10倍の大資本とも互角に戦える。たとえGAFA相手だってイイ感じに戦えるプレイヤーは、GAFA視点ではニッチすぎる顧客セグメントを、全リソースつかって取りに行ってるわけよ。

市場を完全掌握する前に、スーパーアプリとか横展開とか、超多角経営をしちゃいけないのとかも、そういうあたりよな。

先手はどこでいつ、何をするか知ってるから、リソースを集中できる。どこを参入されるか、いつされるかも知らなきゃ、防御はしようないよね。


金融部門は小売を援護射撃しにくいし、メディア部門は不動産部門を援護射撃できない。そういうシナジー連携ない多角経営のメガベンチャーは、一見大きいボスだけど、実は小さい産業の集合体かもよ? あるいは、単一部門でも部署間連携がとれてない可能性も。

こういうスタイルならGAFAとかとも戦えるかもな。

競合がデカイだけで、リソースが分散してたり、バラバラに動いてたら、そこまで怖くない。一点集中で勝負できればだけどな。


6-5: 競合サービスちゃんと使おうぜ

で、実際あいてのリソースを分散させるには…あるいは、分散してるとこ見つけるには。まずはリサーチですよ。

競合店に足を運び、決算調べたり、ビジネスモデルを見たり、事業特性を調べる。で、競合が何で利益をだして、どこがコストなのか、そういうのを割り出す。ちゃんと相手の商品を試して、長所と短所をしっかり調べるのだ。


6-6: 無形

ビジネス運用の極地は「無形」なの。

形やパターンが外から理解・観測できなければ、天才も分析できない。

実際には形によって勝利をするんだけど、外からはどう勝ってるのかさっぱりわからない。チームのメンバーも、自分たちが勝ってることはわかるのだけど、どうして勝ててるのかわからない。

そんなわけだから、ビジネスの成功にまったく同じ反復はなく、どこまでも状況に応じて無限に対応していく。

(いっとくけど、そのためには事前の座組みを完璧にしておくこと。座組みが完璧なことが、その後に臨機応変に勝負できる前提だから)。


6-7: 上善水の如し! 酒のことじゃないぞ!

ビジネスのあり方は、水のような状態がよいんよ。

水が高いところから低いところに流れるように、混んでるところをするりと避けて、空いて流ところを攻めたい。

水が地形に応じて形を変えるように、ビジネスも状況におうじて対応が変化するのが理想。硬直化したロボットみたいなビジネスは脆弱なのだ。

そんなわけで、ビジネスはマニュアル的な型やリズムにハマりすぎない方が良い。うまく市況に従って、変化して勝利を勝ち取るのが神技。くわしくは、反脆弱性って本を読もう。

ビジネスのあり方は、木火土金水の五行のように万能アプローチはなく、春夏秋冬のように永遠普遍はなく、1日の日照のように長短があり、月のように満ち欠けする。そういうふうに、固定的に考えるのではなく、揺らぎや変化を織り込んどくのが大事なわけ。

by孫子

続く



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