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大数の法則や平均回帰で、運をコントロールする

人生のコントロール不能な部分を、もうちょっとコントロール可能にするには、どうすればよいか…というお話。21世紀のサイバー風水学について。

運の良し悪しは、一見するとコントロール不能な現象に見えます。ところが実際は、ある程度までコントロールが可能だったりします。

なぜなら多くの場合、確率的に不利なポジショニングが、「運の悪さ」として観測・説明されているにすぎないからです。因果の順序が逆なのです。「運が悪いから失敗するんじゃなくて、まさかの失敗をしたから運が悪いと呼ばれる」

ですので、「運」と呼ばれるものは、かなりの部分がコントロール可能です。サイバー風水学は、伝統的な風水学のモデルを使いながら、神秘性を排除し、合理と統計により再構築した概念です。


おなじに見える2つのギャンブル

以下の2種類のギャンブルの違いを、あなたは瞬間的にイメージできるでしょうか?

どちらも、コインを投げて表が出たらお金がもらえ、裏がでたらお金を支払うギャンブルです。

ギャンブルA
・コインの表がでたら200万円もらえる。
・裏がでたら100万円支払う。
ギャンブルB
・コインの表がでたら2万円もらえる。
・裏がでたら1万円支払う。
・このギャンブルに100回チャレンジする

どちらのギャンブルも、最終的な期待値(平均利益)はプラス50万円です。

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一見、どちらのギャンブルも同じにみえますが、実はグラフにすると明解な違いがあります。


ばらけかたの異なるギャンブル

ギャンブルAは文字通り、のるかそるかの大勝負。ギャンブルBは、大勝も大敗もほぼなくなり、だいたい50万円前後が安定してもらえます。平均値や最大値は同じでも、ばらけかたが全然違うのですね。

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サイコロでもルーレットでも…ランダムな出来事は、回数をまわせばまわすほど、統計的な理論値に近づきます。これを「大数の法則」と呼びます。

試す回数が多くなれば多くなるほど、理論値と誤差の差が小さくなっていくわけです。

サイコロを1回ふるだけでは、どの目が出るかは完全なランダムです。しかしサイコロを600万回ふれば、どの目もだいたい100万回づつ出て、平均値はほぼ3.5になります。

個々のサイコロの目は予測不能でも、1万回とか100万回サイコロをふった結果は、かなりの精度で予測できるわけです。


細かく素振りをするとき、大きく素振りをするとき

この大数の法則から、以下のことが予測できます。

数学的に有利なギャンブルは、「細かく回数を重ねる」ことで、ほぼ確実に予測可能な勝利(得)となる。
数学的に不利なギャンブルは、「細かく回数を重ねる」ことで、ほぼ確実に予測可能な敗北(損)となる。

やれば、やるほど、理論値や平均値に近づいていくわけですね。

極端な結果を出せてたはずなのに…何度も繰り返したら、トータルでどんどん平均値によってしまう。これを平均回帰といいます。

1枚目のCDが大ヒットしたのに、2枚目以降が鳴かず飛ばずとか… 1回目のスロットで大儲けしたのに、1晩ゲームをし続けたらマイナスになっていた…などといった現象は、この平均回帰の可能性が高いわけです。


平均回帰や大数の法則から導かれること

こういった大数の法則や平均回帰を、クオリティ・オブ・ライフの向上にいかそうとすると場合…以下のようなアプローチが考えられます。


確実に勝てる小さな勝負を数多く行う

不必要な大きな勝負を、人生から出来る限り減らしましょう。そして確実に勝てる小さな勝負を出来る限り多く行う。確率上プラス収支の勝負を小さく分散すれば分散するほど、あなたの人生は予測可能かつ安定性がでます。(分散の仕方によっては、中間コストや手間が増えるのでその点はご注意ください)。


ギャンブルで大勝ちしても調子にのらない

逆に大きな勝負を行う場合…たとえば宝くじで1等賞をとったら、宝くじから引退しましょう。賞金をすべて使って、また宝くじを買ってはいけません。宝くじの当選は、たまたま極端な良い結果が出ただけです。なんども繰り返せば、平均回帰と大数の法則によって、収支は「マイナス50%」に近づいていきます。

同じようにスロットでミリオネアになったらば… スロットを引退しましょう。こちらもギャンブルを繰り返すほど、平均回帰によって普通の成績(つまり全部とかしてマイナスになる)に近づいていきます。

*あくまで利益の話です。娯楽として買って、溶かしても納得して楽しめる人は、この限りではありません。


大切なものや依存先を分散させる

人生のよりどころを1点に集中させるのは、ハイリスク・ハイリターンな行為です(前述のギャンブルAに相当します)。仕事一筋のひとが職を失ったり、スポーツ一筋の人が怪我をするようなシナリオを考えると想像しやすいでしょう。

大事なことを作るのはよいことですが、仕事、趣味、勉強、人間関係…など、様々なジャンルに多様なやりがい、よりどころを配置するほうが、「想定外の事態」が起きたあとも、リカバリーでき、人生が安定しやすくなります。


人生の節目を1点にかけない

結婚や新卒やマイホーム購入など、「人生で1〜数回しか発生しないイベント」に、大きくよりかかった計画はリスクになります(前述のギャンブルAに相当します)。こういった大きなイベントの成功を織り込むほど、人生がハイリスク・ハイリターンになります。

毎日確実に得られる成長、楽しみ、充実感などにリソースを一定さくことで、平均回帰などにより自分の幸せや満足をコントロールしやすくなります。

どうしても譲れないところでは大きな勝負をしつつ、人生で不必要な大勝負は出来る限り減らしていきましょう。


大きく賭けるタイミングを見極める

もちろん、完全に計画通りの人生を送ることは不可能です。スポーツ選手や、企業家など…あるいは結婚やマンションなどでは、「大きなギャンブル」をせざるを得ない場合もあります。

あるいはジリ貧で、中長期の破滅が回避不能な状況も同様です。(見極めは難しいです。粘っているうちに風が変わる環境もあります)。

このような状況では、戦力の分散投入や、マイナス期待値の無限回の試行は、合理的ではありません。

起死回生、あるいはリトライのきかない節目となるポイントでは、戦力を集中することが合理的です。受験の1年はゲームや遊びを諦める。結婚をするなら遊びあるかない。家と車と大学を同時にローンしない…などが大事になります。


まとめ

「運が悪い」と観測される事象には、「隕石に当たる」といった完全に不可避なものもあります。しかし、「全財産でマンションを買ったら、バブルが弾けた」といった運の悪さは、このように統計的に予防をはることがでます。

運が悪い人の多くは、「ハイリスクなギャンブルに、知らずに全財産で参加してて爆死」 or 「期待値がマイナスのギャンブルに長居」のどちらかの可能性が高い。つまり「生まれ」や「事故」「病気」といった極限のギャンブル以外は、多くのものは軌道修正ができるわけです。

このような状況の大半は、ポジショニングを変更し「期待値がプラスの場所で、小さく数を回す」ことで、回避できます。試行回数が多くなるほど、大数の法則や平均回帰によって、結果が想定の理論値に収束しやすくなるためです。


つまり21世紀のサイバー風水というのは、統計的に優位なポジショニングと方向をおさえることなわけです。

黄色とか北とかそういうのでなく、「乱数の分散が小さく、参加料が安く、試行回数が多い場所」を抑えることが、真の風水的なポジショニング。

サイバー風水の観点では、運気と経済が統一モデルで記述できます。「全財産でのマンション購入は、悪し」であり、「世界分散インデックスのドルコスト平均購入は、善し」となるわけですね。

…以上のようなポイントに注意すると、統計的・確率的に運が開けた人生を送りやすいのではないかなと思います。



いただいたサポートは、コロナでオフィスいけてないので、コロナあけにnoteチームにピザおごったり、サービス設計の参考書籍代にします。