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本人の意志とは無関係に動き出す運命
「自分の意志がなくて、糸に操られて歩いているようで、責任もない明るさは、自殺前とは別人みたいだと自分を思った。人生は軽やかさにあふれていた。」
羽仁男は自分が自殺に失敗したのを知った。
目の前にひらけたカラッポな世界をして、彼は新聞の求職欄に広告を出す。
「命売ります。お好きな目的にお使い下さい。」
次々と現れる命の買い手たち。しかし命など惜しくなかったはずの男は、売っても売っても生き延びてしまう。
彼らが口々にする秘密結社の名。
自分で自分の命を売るのはいい。
しかし他人からいつ殺されるかわからないという不安は、徐々に死の恐怖へと変わっていく。それは皮肉にも命への執着。
たったひとりの羽仁男が助けを求めた先は。
命売ります /三島由紀夫
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