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2020年12月の記事一覧

夜の中では何もかもが可能になるように思えた

夜の中では何もかもが可能になるように思えた

「もしも今、私たちのやっていることを本物の恋だと誰かが保証してくれたら、私は安堵のあまりその人の足元にひざまずくだろう。そしてもしもそうでなければ、これが過ぎていってしまうことならば私はずっと今のまま眠りたいので、彼のベルをわからなくしてほしい。私を今すぐひとりにしてほしい。」

白河夜船……何もわからないほどぐっすりと眠ること

寺子はどんどん深くなる眠り、埋められない淋しさ、ぬけ出せない息苦し

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あれ以来、火傷の少女の姿は見ていない

あれ以来、火傷の少女の姿は見ていない

「自由になりたくないんです。この靴をはいたまま、標本室で、彼に閉じ込められていたいんです」

主人公は、働いていたサイダー工場で薬指の先を欠損させてしまう。
肉片はサイダーの中に沈んでいった。

サイダー工場を辞めた主人公は、「なんでも標本にする」という弟子丸氏のもとで働き始める。ー楽譜の音、鳥の骨、火傷の傷の跡、火事のあとに生えたきのこーなど、繰り返し思い出し、懐かしむための品物を持って来る人は

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君の前前前世から僕は

君の前前前世から僕は

壁画を描いていたクロマニョン人の私。
強制収容所で餓死したドイツ人の私。
そして現代の東京に生まれ変わった私。

生まれ変わり3人目である井上由祐は、ようやく運命の恋人キャロラインホプキンスに出会う。
彼女は井上のいう「堕ちた女」で、その更正の途中に出会った高橋陽平から「人類は今三周目にいる」といわれる。

人対自然であった一周目。
人対人であった二周目。
では三周目は人対?

何回生まれ変わって

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