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「箱」と外向き思考(その28) 日本社会の潮流:組織と個人

よりよい人間関係を築くとともに、組織やチームの成果を高めることができる考え方である「『箱』と外向き思考」について書いています。

前回まで、「箱」や「外向きのマインドセット」についてのアービンジャーの考え方を解説してきました。
今回からは、私自身の考えについて、徒然なるままに綴ってみたいと思います。

ここ30年くらいで、日本の社会は大きく変わったと感じています。その中でも大きいのが、企業などの組織と個人との関係です。

1980年代くらいまで、日本企業の特徴として「日本的経営」というものがありました。
それは、
1.終身雇用
2.企業別労働組合
3.年功制
でした。

私(1967年生まれ)が子供の頃は、「いい大学に進んでいい会社に入ること」が親たちの教育の目標でした。いい会社(当時の感覚では大企業)に入れば、一生安心、生活に困ることはないという見通しがありました。
実際、転職市場は今ほど活発ではなかったし、一生同じ会社で働き続けるという人が多かったと思います。

当時は「家族的経営」という言葉もありましたが、私の感覚からは家族というより「お家」というイメージだったと思います。江戸時代の「藩」のような感じですね。藩士は藩主のために忠誠を誓う、その代わり、藩主から石(ごく)=給料をいただいて家族ごと養ってもらうという感覚です。

社員からすれば、よほどのことがない限り会社から雇用を切られる心配はなかったし、会社からすれば、社員は自社のために一生を尽くしてくれる頼りになる存在だったでしょう。ですから、仕事の効率とかはあまり問題にならず、真面目に働くということが求められていました。そのため、長時間労働は当たり前だったし、行政による労働時間の規制も厳しくなかったので、サービス残業は当たり前のように行われていました。そもそも、「サービス残業をしている」という意識はなく、「藩のために尽くすのは当たり前」という感覚でした。(これはあくまでも私の感覚で、ホワイトカラー労働者の特徴です。私が勤めていた会社でも、製造部門の現場などでは残業代がきっちり払われていました。)

そのころの人間関係は、今よりもっと温かだった気がします。上司は部下のことを自分の子どものように見守り、同僚どうしが助け合い、意見の違いがあれば本音で何時間でも語り合うというような関係があったように思います。

その頃と今の日本社会を、もし「外向き・内向きのマインドセット」という尺度で比較すると、当時のほうが「外向き」の割合が高かったのではないかと思います。
終身雇用が崩れ、非正規雇用が増加し、仕事の効率や成果が求められるようになるに連れ、みんなが自分のことばかり考えて人間関係が希薄になっているように感じます。

仕事の効率や成果を重視することはもちろん必要です。しかし、そのために他者を軽んじたり相互の信頼関係を犠牲にする必要はありません。本来は、他者を尊重して互いに協力し合いながらそれぞれの目標を効率的に達成しつつ、組織全体の目標達成につなげることが理想です。
ところが、どこかでボタンを掛け違えてしまい、日本社会全体で「内向きのマインドセット」の人が増えてしまったのではないかと感じます。もちろん私もその一人で、自戒の念を込めて振り返っていることです。

日本社会に「内向きのマインドセット」が増えてしまったことの大きな要因の一つに、成果主義の導入があると感じています。
次回、そのことについて掘り下げて考えてみたいと思います。
どうぞお楽しみに!

株式会社F&Lアソシエイツ
代表取締役 大竹哲郎
https://www.fl-a.co.jp/


「『箱』と外向き思考」は、アメリカの Arbinger Institute という機関が生み出した考え方で、今では世界中の国で、自己啓発や組織開発に用いられています。日本では、福岡に本社を構えているアービンジャー・インスティチュート・ジャパン株式会社が日本の総代理店としてセミナーやコンサルティングを提供しています。
弊社は、アービンジャー・インスティチュート・ジャパン株式会社の代理店として、その普及に努めています。「箱」や「外向き思考」についてもっと深く知りたいという方は、無料説明会や有料セミナーに是非ご参加ください!
https://www.fl-a.co.jp/seminar/




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