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【Serie A】【第1節】2020.09.20 Juventus vs Sampdoria

19-20のCLがついこの間終わったと思ったら、あっという間に20-21 Serie A開幕。今シーズンは前人未到の10連覇という目標もありながら、いい加減CLで結果を出したいところ。新監督のPirloにすべてを求めるのは酷かもしれないが。。。
しかしそんな気遣いは無用とばかりに第1節から快勝してくれた。ではどんなサッカーを披露してくれたのか、分析していく。

今回も攻撃、ネガティブトランジション、守備、ポジティブトランジションの4フェーズ、加えてセットプレーで気になったシーンを1つ分析した。

【スターティングメンバー】

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怪我のAlex Sandro以外はNovaraとのフレンドリーマッチと同じメンバー。基本的な戦術もほぼ同じだが、今節はRamseyが中央下がり目で受けるシーンが多く、4-4-2⇔3-4-1-2の可変システムと表すのがもっとも近いか。

【攻撃】

■ビルドアップ

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Novara戦同様、3+2のユニットが基本。ただし固執する事なく、状況に応じて配置を変えていた。

【別パターン】
①サリーダ・ラボルピアーナ(Rabiotが下りるケースが多い)
②BonucciがDaniloと入れ替わり、右サイドへ回る
③押し込んでいる時はDaniloが一列上がり2+3の形へ
④Frabottaが下がって4バックでビルドアップ

前線の3人は流動的に動いてポジションチェンジも頻繁に行っていた。原則として1人がピン止め役で深さを確保し、残り2人がシャドー役という感じのようだ。

- 01'

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気になったのは被ハイプレス時の対応。GKも使いながら組み立てようとしていたが、試合開始直後にボールを失っている。
中央へミドルパスを送ればKulusevskiが空いていたし、右サイドのDaniloへ逃げる事もできたので、インテルのようにビルドアップの原則を仕込むのとSzczęsnyのディストリビューション能力向上が必要だろう。

■ポジショナルな攻撃
Novara戦同様、前線3人と両WBで5レーンを幅広く使って攻撃していた。
レーン飛ばしのパスやまた、対角の長いパスも多用し、相手の守備ラインの幅を引き伸ばしていた。これはシャドーとして侵入するRonaldoやRamseyが生きる戦術だと思う。

- 47'

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注目のFrabottaは前半は高い位置でボールに絡めていなかったが(それでもCuadradoのPA侵入時などはファーに詰めていた)、おそらくHTで指示があったのか、後半は積極的に高い位置で攻撃に絡めていた。

【ネガティブトランジション】

やはりこの試合もネガトラが最も気になる。
原則的にボールを失ったら前から奪いに行っており、ある程度は機能しているのだが、不用意なミスからのカウンターや予防的カバーリングの不足、細かいディテールの不足が目立った。

- 45'

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主にRonaldoのところでボールを奪われた後にピンチになるケースが多かったのだが、まずRabiotの切り替えが遅いシーンがいくつかあった。上のシーンも、Rabiotが素早く戻っていればDepaoliをChielliniと挟み込めたはずだ。

- 49'

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こちらは予防的カバーリングができていなかったケース。
Ronaldoの無理な横パスをカットされ、ChielliniがBonazzoliのマークを捨てて前に出るも潰し切れず、逆にBonazzoliがフリーになってしまった。
予防的カバーリングの観点から言えば、RabiotはPA内ではなくバイタルの後方でスペースを埋めるべきだったのではないか。特に無闇に持ち過ぎてロストしがちなRonaldoがボールを持っている場合は。

- 54'

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こちらはショートコーナーからクロスを上げるも、直接GKにキャッチされ素早くカウンターされかけたシーン。キャッチ後のAuderoの素早い判断は見事だったが、誰か彼のスローイングを邪魔する選手が欲しかった。RamirezにもFrabottaが遅れてついて行っており、ファウルなしで止めたいところだった。

【守備】

■プレッシング
4+4でブロックを敷き、前線のRonaldoとKulusevskiはハイプレスはあまり仕掛けない。Ronaldoの守備力を考えればこれが賢明な選択だと思う。カバーシャドウの上手いDybalaが復帰すればまた違うかもしれないが。
ただ、Samp相手にはこれでよいが、特にCLでビルドアップ能力の高いチーム(バイエルンやシティなど)との対戦があった場合の対策は必要だろう。

■組織的守備
オーソドックスな4+4の2ライン。なかなかコンパクトに守れていたのではないだろうか。
ただ、横幅をかなり圧縮して守っていたため、サイドチェンジに対して対応が遅れるシーンがあった。

- 52'

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Augello→Ramirez→Bereszyńskiへサイドチェンジしているのだが、途中ドリブルで運んでおり時間がかかっているにもかかわらず、JuveのDFラインのスライドが間に合っていない。Frabottaに対しては厳しい要求かもしれないが、これでは一発でサイドチェンジしてくる相手に対応できないと思う。

【ポジティブトランジション】

- 36'

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Novara戦でも見られたが、ある程度高い位置でボールを奪えれば縦に素早くカウンターを狙っていた。その際、前線3人の誰かがレイオフし後ろの味方が前を向いて攻撃できるよう原則として落とし込まれていると思われる。
特にRonaldoは昨季まではボールを持ち過ぎる事で、ロストしたり近くのMatuidi等が戸惑ってしまう事が多かったので、大きく改善されたポイントだ(前述の通り、今節でもロストするシーンはあったが)。

【セットプレー】

- 85'

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最後にセットプレーで気になったシーンをひとつ。
RamirezのFKからクリアがファーに流れCKになり、Sampは素早くショートコーナーでリスタート。しかしJuveの選手がボール周辺に誰もマークに行かず、フリーでクロスを上げられてしまった。
交代直後だった影響かもしれないが、相手がボール周辺に味方を置いたらこちらもそれに合わせてマークに行くべきだし、何より切り替えが遅い。アンフィールドで負けたバルサの二の舞になりかねないプレーだった。

【総括】

ポジショナルな攻撃とポジトラの完成度は高いと思う。
一方で、ハイプレスを受けた時のビルドアップ、ネガトラ、サイドチェンジへの対応は改善の余地ありと考える。
また、ハイプレスを採用するかどうかはさておき、強敵相手にはプレッシングの完成度を高める必要があるだろう。
とはいえまだ公式戦1試合目で移籍市場も閉じていないので、編成も含めてPirloがどうブラッシュアップしていくか注目したい。

結局今回も記事を書くのに2日かかってしまった。。。作業効率が悪すぎる。
戦術ブロガーの方々ってすげーんだな。

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