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【Serie A】【第2節】2020.09.27 Roma vs Juventus

監督経験なしのPirloにとって、Roma、Napoliと早くもビッグマッチが続く厳しい日程。結果次第でシーズン早々からメディアが去就について騒ぎ出しかねないので、いい結果で終えたいところ。

【スターティングメンバー】

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Juveは新加入のMorataがスタメン。さらにKulusevskiを右、Cuadradoを左に持ってくるという奇策に出た。
Romaは去就が騒がられていたDžekoがスタメン。やはりRomaには彼がいないと。

【攻撃】

■ビルドアップ

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これまで通り3+2+(Ramsey)で組み立てようとするも、Romaの中央の圧力が高く、前節のようにスムーズなビルドアップができない。
サイドを使うも、Cuadradoは左サイドの動きが分かっていない感じで、Kulusevskiはタッチ際は窮屈そうだった。

後半Rabiotの退場前後からRomaの圧力が減って組み立てられるようになったが、同様の守備をされた時の対策が必要だろう。
Interのよくやる手で、中盤が相手を引き連れてサイドに開き、空いたスペースにGKからFWへ縦パスを送るというパターンが参考になるのではないか。
ただし、Szczęsnyのディストリビューション能力向上が必要。

■ポジショナルな攻撃
ビルドアップに手こずったので当然その後の攻撃もいい場面が作れなかった。

まず、5レーンを広く使えなかった。
Kulusevskiは中に入りたがり、Cuadradoは左サイドに不慣れでRonaldoがサイドに流れてボールを受けるも前節よりボールを持ち過ぎる場面が多く、攻撃が停滞していた(PKは獲得が。。。)。

Morataが明らかに連携不足(加入直後なので当然)で、前節のような前線3人の流動的なポジションチェンジや、レイオフから展開などの動きは見られなかった。

Romaが5バックでJuveも両WBが幅を取れなかったため、前節のようにサイドチェンジを使って相手の守備網を横に広げる攻撃は上手くいかず。

【ネガティブトランジション】

原則として、周囲に味方が多ければカウンタープレッシング、少なければリトリート。どちらにせよ、まずはボールホルダーにプレッシャーをかける。

今節もネガトラに課題があると感じた。
以下、2つのシーンを見ていく。

- 12'

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上のシーンの問題点は2つ。

1点目は、Mkhitaryanのいるスペースが大きく空いており、ドリブルで独走されるきっかけになっている。Mckennieが予防的マーキングorカバーリングするか、より積極的に守るならChielliniが飛び出さないといけなかったが、DFラインがずるずると下がってしまった。

2点目は、Kulusevskiがボールを奪われた時点ではDžekoより後方にいたRabiotが、戻りながらの守備で何の役割も果たせずトロトロと走っている事。
結果3vs3の数的同数かつ後ろ向きの守備という不利な状況になってしまった(最終的にセーブしてくれたSzczęsnyに感謝)。

- 56'

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こちらはDžekoにポスト直撃のシュートを打たれる前のシーン。

Daniloの対角のロングフィードをクリアされ、こぼれ球を拾ったPedroに対してChielliniが前に出ようとするも、同じく対応しようとしたRabiotと連動してMckennieがスライドしてしまい、中途半端なプレッシングとなる。
結果、Džekoに通され3人とも無効化されてしまう。
Chielliniに任せて、RabiotとMckennieは中央のケアをすべきだった。

さらに中盤2人がPedroの方にスライドしたため、Pellegriniがどフリー。Džekoのポストの選択肢は彼でも良かったが、Spinazzolaを選択。
ここでも戻りが遅い。RamseyとKulusevskiが後から追いかけSpinazzolaに独走を許す。
別の見方をすれば、CuadradoへのボールはSantonがついていて50:50だったので、右サイドの2人がSpinazzolaより前にいるのはリスキーなポジショニングだった。

まとめると、

・予防的カバーリング/マーキングが不十分
 誰がどこ(誰)を担当するのか、潰しに行くのかディレイするのかが曖昧
・Pirloは前向きに守備をする事を重視しているようだが、
 中盤の選手の戻りが遅い

前者は改善には時間がかかるだろうが、後者は意識の問題なので早急に改善してほしい。

【守備】

■プレッシング
- 17'

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前線からプレッシャーをかける意識はあるものの、機能していたとは言えない。
上のシーンではマンツーマン気味にハイプレスをかけるが、プレッシングしているMorata、Rabiot、Daniloいずれも奪いきれず。逆に入れ替わられてフリーのPedroから展開され、カウンターのような形に。
似たようなシーンが他にもあった。

前から奪いに行くのはいいが、マンツーマンはかわされれば一気に数的不利になるので、単に自分の担当にプレッシングするのではなく、カバーシャドウでパスコースを制限しながらのプレッシングを採用すべきだと思う。守備に期待できないRonaldoがいるなら猶更。Dybalaの復帰が待たれる。

■組織的守備
前節と同じ4-4-2。しかし左SBのCuadradoが怪しい対応をしていた。やはり左サイドに慣れていないのだろう。
2ラインが横方向もコンパクトなのも前節同様。

セットした状態からはほとんど崩されていなかったので、やはり課題はネガトラとプレッシングか。

【ポジティブトランジション】

この試合では前節のような鋭いカウンターからのチャンスは見られず。前線のKulusevskiが受けてドリブルで運んだシーンもあったが、前線3人のコンビネーションが悪くRonaldoのところで停滞してしまった。
あとは無理をせずポゼッション回復に努めていた印象。

【総括】

Novara戦からうすうす感じていたが、このネガトラ対応では今シーズンも失点は少なくなさそう。
ビルドアップも中央を厚く守られると機能しなかったし、チームの完成度が高まるには時間が必要そうだ。

それでも勝ち点1を獲ったのは流石Juventusと言うべきか、Romaの勝負弱さが出たと言うべきか。。。

個人的には、ある程度セリエAでは取りこぼしてもいいと思う(たとえV10を逃したとしても)。
それより、シーズン後半にCL決勝トーナメントで勝ち上がれるよう、チームの完成度を高めてほしい。

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