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我が家の移住物語2 ~ 物件に出会うまで

ここんとこ歯周病で歯が痛くてなかなか筆が進まなかった僕です。
前回の投稿で、我が家の“移住を目指すまで”を綴りました。
今回の投稿では、田舎暮らしを目指し始めた我が家が“物件に出会うまで”を綴ります。

田舎暮らしを目指して

田舎暮らしを目指した我が家が重視したことは、

とにかく物件をたくさん見ること

田舎で行われるイベントや行事に参加して、その地域と地域の人と触れ合うこと

田舎で暮らすイメージを具体化すること

の3つでした。
目指すは長男が小学校入学、次男がこども園入園となる2019年春の移住です。

2017.9.11『豊田市空き家情報バンクに登録』

『空き家情報バンク』利用者登録
最初の空き家内覧(1軒)
『おいでん・さんそんセンター』で移住相談

2017年9月11日、我が家は豊田市の『空き家情報バンク(現:山村地域移住情報バンク)』に利用者登録し、物件を探し始めました。

空き家情報バンクは、豊田市の山村地域等(旭・足助・稲武・小原・下山地区の全域及び石野・猿投台・高橋・藤岡・松平地区の一部)に存在する空き家について、賃貸もしくは売却を希望する空き家の所有者と、田舎暮らしを目指す移住希望者が出会えるよう、市が空き家の情報提供と入居者の募集をするしくみです。
豊田市の山村地域等に存在する空き家の賃貸及び売却を希望する所有者に、物件情報の提供を求め「空き家情報バンク」へ登録し、入居を希望する方に情報提供します。空き家を地域資源として有効活用し、定住人口を増やすとともに、地域活性化を図ることを目的としています。
引用元:豊田市ホームページ「空き家情報バンクの概要・目的」

空き家情報バンクを利用するには、利用者登録が必要です。
利用者登録はオンラインではできず、利用者登録申込書地域支援課または、山村地域等の支所窓口提出する必要があります。
詳しくは下記のページに記載されています。

利用者登録申込では、どのような物件を探すかも登録することができます。我が家は、対象地域を『旭、足助、小原、下山、石野、藤岡』とし、希望条件を『賃貸』として登録しました。

今、我が家が暮らす家は購入した物件です。
物件を探し始めた当初は『賃貸』で探していたのですが、2018年4月に『売買』に方針変更をしました。

空き家情報バンクに登録されている物件情報は、下記の『空き家情報バンク登録物件一覧』からも閲覧することができます。

物件情報を閲覧するだけなら、空き家情報バンクに利用者登録しなくてもできるということです。
しかし、登録物件の内覧であったり、物件への申込であったりは、利用者登録が必要となります。

利用者登録が終わったら、登録物件内覧し放題になります。
登録物件には支所の定住促進担当が案内をしてくれます。
内覧するには、登録物件がある地域の支所の定住促進担当に連絡し、内覧の日程を調整します。
支所の定住促進担当は公務員ですので、内覧を設定できるのは原則平日となります。
僕は内覧を調整した日は有休や半休を使いました。

利用者登録した足で物件を内覧させてもらうことも可能です。
我が家は、利用者登録した足で、最初の物件内覧をさせてもらいました。

このあたりの日程調整は、僕ではなく妻が行ってくれました。
この時点では、僕はまだ田舎暮らしにそこまで積極的ではなく、妻の方が積極的だったからです。

2017.10.15『空き家内覧ローラー作戦始動』

空き家内覧(3軒)

とにかく物件をたくさん見ることを目標にした我が家、名付けて『空き家内覧ローラー作戦』です。
先輩移住者に聞いたところ、『ビビビっ』と来る物件に巡りあった時が移住のタイミングとのことで、『ビビビっ』と来る物件に巡りあうまでとにかくたくさんの物件を見ました。

この時内覧した物件は、賃貸が2軒と売買が1軒だったと記憶しています。
売買物件はとても素敵だったのですが、お値段が1千万オーバー、さらに部屋数が少ないという点が気になりました。

賃貸のうち1軒は鉄筋コンクリートで玄関は2階、1階部分は大家さんの倉庫で、駐車場は近隣で探して借りる必要あり。
あまり田舎暮らしという感じの物件ではありません。

もう1軒の賃貸は、程度は悪くないものの、かなり狭かった記憶があります。

ここでは『ビビビっ』と来ることはありませんでした。
この時点で、「駐車場と畑は隣接している物件で、できれば古民家が良い」と定住促進担当に伝えました。

2017.11.16『まだまだ見るぞ空き家内覧』

空き家内覧(2軒)

空き家情報バンクの利用者登録をしてから今の家に出会うまでの間、登録物件一覧に載っている気になる物件は全て内覧しました。
特に、旭地区は支所の定住促進担当の方が大変熱心な方で、『賃貸』を希望していた我が家に「ついでだから案内してあげるよ」と『売買』の物件も見せてくれたりしましたので、旭地区に関してはその1年に登録された物件はほぼ全て見ました
それだけ見ても、『ビビビっ』と来る物件にはなかなか巡りあわないものなんです。

この日内覧した物件は1つは賃貸、もう1つは売買でした。
賃貸物件は、古民家で広くて畑も隣接していてとても素敵だったのですが、日照時間が午前中の2時間ほどという南に山を背負ってる物件でした。
日照時間さえ問題なければここに決めていた可能性が高いのですが、日照時間が短すぎるという判断でスルーしました。

売買物件は実際には売買予定物件で、まだ情報が出る前だったのですが参考ということで見せてもらいました。
程度は悪くないものの、狭かった記憶があります。

この時点で、「日照時間が長い家が良い」と定住促進担当に伝えました。

2017.11.19『いなか暮らし博覧会』

『いなか暮らし博覧会』のプログラムに参加
『田舎暮らしってどんな感じ?(冷田学区編) / 足助地区』
『一風変わった薪ストーブの取付見学&暖かさ体験 / 旭地区』

田舎暮らしを志す者にとって、移住した先で地域の人とうまくやっていけるのか地域に溶け込めるのかということは、多くの人が抱く不安なのではないでしょうか。
そんな不安を解消するためには、実際に地域で暮らす人と交流する機会を設ける必要があります。
豊田市の移住プロモーション事業『豊田舎とよたのいなか移住計画』の1つに『とよたいなか暮らし博覧会』というものがあります。

『とよたいなか暮らし博覧会』では「しっかり田舎で体験する私らしいくらし・しごと・あそぼ」をテーマにした体験プログラムを実施していて、我が家も2017年の『とよたいなか暮らし博覧会』に参加しました。

我が家が参加したプログラムは、

田舎暮らしってどんな感じ?(冷田学区編) / 足助地区

一風変わった薪ストーブの取付見学&暖かさ体験 / 旭地区

の2つで、どちらも2017年11月19日の開催だったと記憶しています。

田舎暮らしってどんな感じ?(冷田学区編)』は、足助地区の冷田小学校で毎年開催されている冷田フェスタというイベントに参加した後、冷田小学校を見学、そこから移動して豊田市栃本町が管理していた2戸2戸作戦分譲地を見学というプログラムでした。

2戸2戸作戦については上記リンクを参照してもらうとして、このプログラムへの参加が、『僕が関わる田舎』でも取り上げていますが、僕が代表を務める「関係人口による地域活性化」を目指す『おいでんトレイル足助栃本』の設立へ繋がります。
また、この時に当時の冷田自治区長さんから聞いた「小学校が廃校になると、その地域からは人が減る。だから小学校の廃校は何としてでも回避しなければならない。」という言葉はとても印象的でした。

一風変わった薪ストーブの取付見学&暖かさ体験』は、当時施設改築中だった旭地区にある『つくラッセル』というコミュニティセンターで、『松園式燃焼ユニット』という「市販の薪ストーブに接続することでこれまで薪ストーブを取付けられなかったお宅でも薪ストーブが導入できる可能性を広げてくれる装置」を接続した薪ストーブの取付を見学するというものでした。

2017.12『INABU BASE PROJECT』

この年の『いなか暮らし博覧会』には、「自動車シート工場でペンケース作りを楽しもう♪」と題したプログラムが『OPEN INABU実行委員会』より提供されていました。
我が家はこれには参加しませんでしたが、このプログラムの募集ページで『自転車』の写真を見かけた僕は、そこから『OPEN INABU実行委員会』が展開する『INABU BASE PROJECT』という活動にたどり着き、今やライフワークとなっている『MTBのトレイル開拓』という活動を始めることになりました。

『INABU BASE PROJECT』との出会いをきっかけに、僕の心は田舎暮らしへ一気に傾いたことから、我が家にとってとても大きな出会いでした。
また、『INABU BASE PROJECT』の活動に参加することで、「稲武もそんなに遠くないじゃないか(通勤的な意味で)」と思い、我が家の移住先候補に『稲武地区』も加わることになったのです。

2018.2.2『前日は雪だった』

旭市営住宅視察(外観だけ)
小学校見学
稲武市営住宅視察(外観だけ)
空き家内覧(1軒)

市営住宅の視察は、物件が見つからなかった場合に備えて『プランB:市営住宅に入居して借家住まいしながら物件を探す』ということも考えていたからです。
この前日が雪だったのですが、旭地区まではさほど雪が残っていなかったのに、稲武地区に近づくにつれて残雪量がどんどん増えていく様を見て、妻の中で「稲武雪多い怖い」というイメージがついてしまいました……

見学した小学校は、今、我が家の長男が通う小学校とは違う旭地区の小学校です。
事前に学校にアポイントを取る必要がありますが、見学は非常に快く受け入れてもらえました。

田舎で暮らす』ということは、実現するまでは『夢』だったり『憧れ』だったり『理想』かもしれませんが、実現した瞬間から『現実』になります。
理想と現実のギャップは、可能な限り小さい方が好ましいです。
ギャップが大きいと後悔しますから。
現実として田舎で暮らす』を想定し、『田舎暮らしの日常』をイメージしながら、生活環境を確認していくことはとても重要です。
我が家は、移住までに子ども園1園、小学校2校、中学校1校を見学しています。
子育て世代にとって、子育て環境の把握は『田舎暮らしの日常』をイメージする上で外せない要素ですので、子ども園や学校の見学はしておくことをオススメします。

この日内覧した家は賃貸の1軒のみ。
程度はあまり良くありませんが、広さはあり、駐車場も隣接。
畑も近くにありました。
ここでも『ビビビっ』と来ることはありませんでした。
改修にけっこうな費用がかかると思われたので、賃貸で入居するにはリスクが高いという判断でした。

2018.2『初めてのイノシシ解体』

旭地区にある『農家民宿ちんちゃん亭』で開催された『ジビエ解体ワークショップ』に参加しました。

今は諸事情で臨時休業中な『農家民宿ちんちゃん亭』ですが、ここのご主人は地域の定住促進で非常に重要な役割を担うやり手で、女将には我が家が愛知県に引っ越してきてから、我が家の妻が大変お世話になったというか気にかけてもらった人で、妻の豊田中山間地域人脈はここを中心に広がっていったといっても過言ではないぐらい、我が家にとっては重要な施設です。

2018.3.18『桜の成長と共に地域との関係も育む』

いなか暮らし博覧会』の『田舎暮らしってどんな感じ?(冷田学区編) / 足助地区』でご縁ができた栃本町からお誘いいただいた桜の植樹イベント『さくらの森づくり』に参加しました。

植樹した桜の成長とともに、地域との関係も育む
関係人口創生のお手本のようなこのイベントをきっかけに、僕が代表を務める『おいでんトレイル足助栃本』が発足しました。

『いなか暮らし博覧会』を始めとしたこうした交流の中で、僕は田舎に対して抱いていた『閉鎖的なのではないか』という偏見の目誤りだったことに気づき、移住した先でも地域の人とうまくやっていける地域に溶け込めるという自信を持つことができました。
それは、僕がこうした交流の中で出会った地域の人が、とても素敵だったからです。
後から考えてみれば、定住促進に関わるイベントを主催する地域や人が、閉鎖的なわけがないという話なのですが(笑)

もちろん、そういう閉鎖的な地域があったり、そういう人がいたりすることもあるでしょう。
でも、閉鎖的な地域であった場合、そもそもその地域から空き家情報バンクに物件が出ることは少ないでしょうし、そういう人がいたとしても、集落の中に占める割合はそこまで大きくないのではないかと思います。
このような転居に伴うリスクは、街暮らしの場合でも変わらないのではないでしょうか。

2018.2~4『条件が多い我が家』

空き家内覧(1軒)

時期をはっきりと覚えていないのですが、庭に雪が積もっていた記憶があるので、寒い日だったのでしょう。
この物件は、間取りも水回りも良く、駐車場も畑もあり、日照時間も申し分なしでした。
ただ、高圧線鉄塔がかなり近いところにあり、それが気になりました。

高圧線鉄塔から離れている物件が良い」と定住促進担当に伝えました。

ここまでの条件をすべてあわせると、「古民家で、畑と駐車場が隣接していて、日照条件が良く、高圧線鉄塔から離れている賃貸」というとてつもなく条件が多い希望に、定住促進担当も若干苦笑いしていました(笑)

2018.4『覚悟ヲ決メタ』

売買』に方針を変更しました。
そもそも『賃貸』を希望していたのは、その地域に溶け込めなかった場合の保険という理由だったわけですが、『賃貸』ではやはり改修費用がネックになり、借りる家をどこまで借主負担で直せるかと考えた時に、そのコストを回収できるのかに大きな不安がありました。
先に書きましたとおり、移住した先でも地域の人とうまくやっていける地域に溶け込めるという自信を持ち始めていましたので、ここで『覚悟ヲ決メタ』わけです。

定住するなら覚悟を決めろ

しかし、せっかく覚悟を決めたのに、ここから7月まで物件が出てくることはなかったのです……

2018.7.12『プランB潰える』

物件が見つからなかった場合に備えて考えていた『プランB:市営住宅に入居して借家住まいしながら物件を探す』。
2019年春の移住を目指すには、そろそろリミットが迫ってきています。
いよいよもって物件が見つからないので、市営住宅に申込をしようとしたその前日、市営住宅の空きがゼロになり……絶体絶命のピンチ

2018.7.13『救いの連絡』

捨てる神あれば拾う神あり!
プランBが潰えて凹みまくっていたその時、「明日、面白い物件が空き家情報バンクに登録されるよ」と連絡が!
そのまま支所の定住促進担当に連絡、「情報早いねえ(笑)」と笑いながら情報公開開始日当日の内覧を取付!

2018.7.14『運命の日』

今の家の物件情報が空き家情報バンクに登録される
今の家の空き家内覧
即日で希望物件申込

古民家で、畑と駐車場が隣接していて、日照条件が良く、高圧線鉄塔から離れている売買
見た瞬間に『ビビビっ』と来る物件
あるんです、本当にそういう物件ってあるんです。
この物件を見るまで、「何やねん『ビビビっ』って」と思ってましたが、本当に『ビビビっ』というか、鳥肌が立つというか。
しかも、内覧日に大家さんのお兄さんも来てくれて、親族の方から直接お家にまつわる話も聞けて、何なら明日から住んでもらっても構わないよと……
とは言え、空き家情報バンクに登録されている物件なので、それなりな段階を踏む必要があるので、明日から住むというのは固辞しました(笑)

明日から住むというのは固辞しましたが、明日から住みたいぐらいに『ビビビっ』と来た物件であることは間違いありません。
即日で希望物件申込です。
希望物件申込とは、空き家情報バンクに掲載されている物件の売買もしくは賃貸を希望する場合にする申込です。
空き家情報バンク利用希望物件申込書』に必要事項を記入、物件の所在する支所窓口に申込ます。
つまり、エントリーシートです。

空き家情報バンクに掲載されている物件には、申込受付期間が設定されています。
登録されてから最初の受付締切までは登録からおおよそ3週間程度でしょうか。
締切までに希望物件申込がない場合は、大家さんが「もう止めるわ」と言うまでは受付期間が延長されます。
この申込受付期間内に『空き家情報バンク利用希望物件申込書』を提出しなければ次のステップに進めません

そう、希望物件申込の次にまだステップがあるのです。
次のステップ、その名を『地域面談』と言います。
地域面談』についてはまた次回の投稿で……

物件が見つかるまで約1年

物件が見つかるまで田舎暮らしを目指して行動を始めてからざっと1年という具合です。
我が家は長男が小学校入学、次男がこども園入園となる2019年春の移住を目指していたので、タイミング的には本当にギリギリでした。
正直、この物件に出会っていなかったら我が家は岡崎市に転居していた可能性が高いです。
そして、長男&次男の入学&入園というタイミングを逸することになるので、田舎暮らしという目標はしばらく凍結となっていたでしょう。

物件が見つかるまでの期間、我が家の場合は行動を始めてから約1年ですが、これを短いと考えるか長いと考えるかは人それぞれです。
我が家のように進学等のタイミングでの移住を目指して物件探しをするも、間に合わなかったという家族の話も聞いたことがあります。
我が家よりも後から物件探しを始めて、我が家よりも早く物件を見つけた家族もいます。
物件探しが長くなればなるほど、条件への拘りが強くなり過ぎて、結局家を決められなくなるという話も聞いたことがあります。

ちなみに、そこまでギリギリのタイミングになっても、そこまでにスルーしてきた物件をもう1度検討しなかった理由は、ほとんどの物件は他の人が手を挙げてしまってもう残っていなかったからです。
我が家はスルーした物件かもしれませんが、他の人にとってはその物件こそが『ビビビっ』な物件だったわけです。

個人的には、やはりというものがあって、それは家であったり地域であったり、そういうものとの縁があれば物件が見つかるし、縁がなければ見つからないのかなと思います。

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