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【Crew.4】 ボランティアスタッフ/森川さん

ホームゲーム開催時には、入場ゲートでリーダー的なポジションを務めるボランティアスタッフの森川さん。福井ユナイテッド創設時からボランティアを務めて、今年6年目を迎える。クラブとともに歩んできた森川さんにクラブへの思いを聞きました。

プロフィール
森川さん 福井県出身 大学4年生
小2から高1まではサッカーに打ち込んでいた。
2019シーズンよりボランティアスタッフとして活動し、今季で6シーズン目を迎える。

  

ー まず、ボランティアでの業務内容について教えてください
主な担当は入場ゲートです。 ゲートのなかでも、いくつか仕事があるんですけど、チケットのもぎりだったり、マッチデープログラムなどの配布だったり、再入場するお客様の案内などに分かれています。 自分はボランティアを始めたての頃はもぎりを主に担当していました。最近は、特定の部門っていうよりは入場ゲート全体を見ている感じです。

ー 入場ゲート全体のリーダー的な感じなんですね。具体的にはどんな仕事?
全体を見ていて、困っていそうなところがあったら自分から「どうしましたか?」って聞きに行ったりしています。また、中には試合前まで活動されるショートボランティアの方もいらっしゃるので、その方たちの活動が終わった後は空いたところにヘルプで入っています。

入場ゲートでマッチデープログラムを配布する際もコミュニケーションを意識されている

ー 前回、里佳さんに話を伺った際も忙しい時間帯、波があると言っていましたが、入場ゲートで一番大変な時間帯は?
コアなサポーターの方たちは早めに来られるんですけど、 一般の方は試合だけを見にくる方々が多いので、キックオフ30分前~キックオフ直前ぐらいが1番ピークの時間帯かなと思います。最近は徐々に早くなっているようですけど、何年か前までは試合が始まっても並んでいるみたいなこともありました。

ー 森川さんがボランティアを始めたのはいつからですか?
高校2年生のときから始めました。福井ユナイテッドの初年度からなので今年で6年目になります。

ー 高校2年生でボランティア始めたきっかけは?
小2からずっとサッカーをしてきたんですけど、高1のタイミングで膝を怪我して、サッカー部を辞めたんです。そのときに、「支える側」にちょっと興味が湧いて。もともと、スポーツチームのフロントスタッフっていう職業には興味があったので、プレーができなくなったときに、(スポーツを)「する側」から「支える側」をイメージしはじめました。ちょうど高校2年生のタイミングで、サウルコス福井から福井ユナイテッドFCにクラブが変わったこともあって、最初は興味本位というか、ちょっとやってみようかなっていう形で参加したのが始まりですね。

ー 膝の怪我はどういったものでした?
膝の靱帯を切ったとかそういうのじゃないんですけど炎症して。中学生の頃から時々痛かったんですけど、サッカーを続ける限りはまたいずれ痛くなる感じだったので、高校1年生の夏ぐらいに部活を辞めました。

ー そこから自分でボランティアに申し込まれた?
はい。インターネットで調べたら、多分facebookだったと思うんですけどボランティア募集中みたいなページが出てきて。そこから申し込みました。

ー 2019シーズンのボランティアは何名くらい?
サウルコス福井時代から引き続きでやられている方もいらっしゃったので、5人から10人いかないぐらいでした。

ー 恐らく最年少ですよね?初めてボランティアをやってみてどうでしたか?
業務より、人間関係のところが難しかったです。それまで親や学校の先生ぐらいしか大人の方とは触れ合ってこなかったので。急にお客様を迎え入れないといけないってところで、ボランティア仲間もそうですし、大人の方と対応しないといけないってところは戸惑いでした。

ー その人間関係の戸惑いを乗り越えて、ボランティアを継続できた理由は?
人間関係のところで言うと、やっぱり当時からいたボランティアの方はもちろん、クラブスタッフの方から距離を縮めて自分に喋りかけてくれたり、仕事を教えてくれたりと歩み寄ってくれたので、なにかひとつ自分の中でコミュニティができた気がしていました。ボランティアに行けば、そこでまた会話が生まれるし、楽しいなっていうところが継続できた理由かなって思います。

試合後、志摩選手とボランティアスタッフとの記念撮影(森川さん/左から2番目)

ー 周囲の人々に恵まれたと
一緒にボランティアされた方々がグイグイ来てくださる方ばっかりだったので(笑)。そこは結構助かりました。

ー 今のボランティアには、若い子たちも増えているようですが?
そうですね。高校生が2人、去年から来てくれています。

ー 年齢の近いスタッフが増えるとやりやすさは変わりますか?
結構やりやすいですし、いまは自分から積極的に話しかけに行くようにしてます。

ー ボランティアの年齢層は?
高校生から50代まで。幅広いです。

ー これまでボランティアを6年続けて良かったこと、1番嬉しかったことは?
6年やっているので、自分の中でも少なからずクラブスタッフじゃないですけど「クラブの一員なんだ」っていう気持ちは芽生えてきています。なので、年々入場ゲートで見ていても、グッズを身につけているお客さんが増えたり、今まで見なかった方がスタジアムに来ているのを見たときは、クラブとして大きくなっている、成長できているかなって感じています。自分のことではないですけど自分のことのように感じられて、そこが嬉しいことかなと思います。

ー 6年経って感じている変化は?
言葉として適切かどうかわからないですけど、"興業"っぽくなってきたなっていうのは感じますね。Jリーグの試合を見に来るような熱量で、見に来てくださる方が増えてるんじゃないかなって思います。最初はステージイベントとかもなかったので。サッカーの試合以外のところでも楽しめるような部分が増えてきたと感じます。

ホームゲーム開催時には、ステージイベントのほか、スタジアムグルメも会場の雰囲気を演出

ー 歴史を見てきてすごいですね。逆にボランティアとして大変な部分は?
大変なところで言うと、どうしても人数が限られてくるので、もっと人手がいたらできることもたくさんあると思います。ひとりひとりにくる負担の量はどうしても大きくなってしまいますし、そこは大変なところかなって思います。
あと、これは自分のことじゃないんですけど、よくアルティスタ浅間との試合のときに「来年は(福井が昇格するだろうから)来ないからね」みたいなことを言ってくださるサポーターの方もいます。また次の年に会ったときは「また来たよ」みたいなことを言われると悔しいじゃないですか。 それはありますけど(笑)。
でも、ボランティアをやってきて辞めたいと思ったこともないですし、 辛いと思ったこともないです。

ー 6年間ボランティアを続けられる原動力は?
入場ゲートのところで言うと、やっぱりお客さんと直接触れ合うので感謝されたりもしますし、それを言われたときは「ボランティアをやっててよかったな」って1番思います。多少体が疲れても、次もボランティアに行こうかなっていう風には思えますね。
それと、やはり距離が近いので。クラブスタッフの方やボランティアの方ともそうですし、コミュニティみたいな感じでそこに行けば誰かと会えて、福井ユナイテッドの話ができたり、 そこは続けれた要因かなっていう風に思っています。

ー 来場された方から「ボランティアさんの対応がよかった」というコメントもきているとクラブスタッフから聞いています。何か心がけてることとかありますか?
なるべく、ボランティアではありますけど、お客様の満足度を下げないようにと思っています。どうしても試合の結果は不確実なところなんで、もしかしたら負けちゃうかもしれないし、思ったような試合が見れないかもしれない。だから、それ以外で「また来たいな」と思わせられるようにって考えたときに、いろいろとリソースは限られているんで。そういう心がけじゃないですけど、少しでも自分の対応で何かしら良い気持ちになってもらえたらいいなって思っています。

ー 具体的にはどんな対応をされていますか?
お客様の目を見るとか、初歩的ですけど必ず「こんにちは」ってひと声、挨拶をするとかですかね。 あとは、試合が終わった後に「ありがとうございました」って言うとか。 基本的なとこですけど、"やれることは全部やってこう!"みたいなマインドではありますね。

ー それは先輩ボランティアの方から言われた?
誰かに言われたわけじゃないですけど、他のボランティアの方もそうされてますし、吾田さんや毛利田さんらクラブのスタッフの方々も積極的にサポーターの方にコミュニケーションを取りに行かれてるんで、やっぱり受け身じゃなくて自分からっていうのは、皆さんの行動を見て覚えたっていう感じです。

ー 福井ユナイテッドの試合を見ることは?
ホームゲームは休憩中に少し見ています。アウェイとか行けない試合の結果も全部チェックしています。それこそ前身のサウルコスのときから。サウルコスの時はボランティアをやってなかったんで、 年に2、3回はテクノポートで試合を見ていました。結果とかは普通に気にはなってるし、まぁ、広く言えばサポーターなんだろうなとは思います。

ー 推しの選手はいますか?
廣岡睦樹選手。若い選手で、福井に戻ってきてくれたのが嬉しいです。在籍していた2021シーズンで昇格できなかったからこそ、今年はJFLに上げて欲しいという気持ちもありますし、 ベテランの選手はもちろんですけど、若い選手がクラブと一緒に、どんどんステップアップしていくと面白いのかなと思うので。あとは廣岡選手のプロフィールで、憧れの選手が遠藤保仁さん(現G大阪コーチ)というのも自分と同じなので親近感があります。

森川さんの"推し" 廣岡睦樹選手は2021シーズンに育成型期限付移籍にて加入。
22シーズンは山形から高知へレンタルし、23シーズンに福井へ完全移籍加入。

ー 最後にクラブへの要望とか、クラブに対する思いはありますか?
サポーターの方とか、地域の方たちと一緒にJFLに昇格していって欲しいなっていうのがあります。いま、クラブが昇格していく過程を見守るのが、”実は1番楽しいんじゃないかな”って思っているんです。
だから、もっと福井の人を巻き込んでいって、地域を巻き込んでいって、クラブだけがJFLに上がるんじゃなくて、 以前の松本山雅FCみたいな感じで、カテゴリー関係なく、地域にとって当たり前の存在になった上で、J1まで上がれたらいいなって。
そうなれば、周りからもインパクトがあるチームになるんじゃないかなって思います。

2023.6.4 JSC戦ではクラブ史上最多となる1,583名を動員した

(ライター/細道 徹)