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株価が予想できる?長期金利って何?

今回は、「長期金利が上昇したことにより株価が下落しました」といった文脈で最近よく聞く「長期金利」について解説します。

長期金利の定義は「期間が1年以上の金融資産の金利」です。ですが、たくさんありすぎるので、基本的には「10年物国債」の金利のことをいいます。

では、「10年物国債」とはなんだ?ということですが、「10年物国債」とは「10年後に満期を迎える国債」のことです。

「10年後に満期を迎える国債」なので、政策金利のように政府が勝手に決められるのか?と考えてしまいがちですが、そうではありません。(逆に、短期金利は政府がある程度勝手に決められます。)

なぜならば、「10年後に満期を迎える国債」は既に市場にたくさん出回っているからです。たとえば、政府が5年前に発行した「15年後に満期を迎える国債」は今「10年後に満期を迎える国債」になっていて、それは市場で取引できます。

ここが難しいのですが、市場で取引されている国債の価値は日々変動しています。たとえばユニクロの株価が毎日変わるように、国債の価格も毎日変わります。

そうです。たとえば昨日1億円で発行された国債の取引価格は今日は1億円ではないのです。なんででしょうか?

国債の価格が変動するメカニズム

たとえば昨日1億円で発行された国債の金利が1%だったとします。1億円で国債を買った人は年間100万円の金利を受け取れます。

国債の価格は、この、「年間100万円の金利を受け取れる権利の価値」が変動するため、1億円の国債が1億円で取引されないのです。

どういうことか簡単な例を使って詳しく説明します。たとえば、1億円投資すると年間100万円もらえる商品A(=価格が1億円の投資商品)と、9,000万円投資すると年間100万円もらえる商品B(=価格が9,000万円の投資商品)がある場合、どちらに投資しますか?商品Bですよね。

でも、商品Bもにも数に限りがありますので誰でも投資できるわけではありません。かといって、商品Aは商品Bと比べると大きく見劣りします。

そうすると、「9,100万円投資するから商品Bがほしい!」と言う人が出てきます。また、商品Aについて、「商品Bが買えないなら、9,900万円だったら商品Aを買ってもいい」と言う人も出てくるかもしれません。

このようにして商品Bの価格は上がり、商品Aの価格は下がっていきます。そうすると、結局商品Aも商品Bも9,500万円投資すると年間100万円もらえる商品に近づいていきます(厳密には9,500万円になるとは限りません)。

では、これの商品Aと商品Bについて、金利という観点で見てみます。もらえる金額÷投資額で金利が計算できます。

商品A:投資額(=価格)1億円で年間100万円もらえる
= 金利1.00%の商品

商品B:投資額(=価格)9,000万円で年間100万円もらえる
= 金利1.11%の商品

これはそんなに難しくないと思います。この商品Aと商品Bについて、上に書いたとおり投資額(=価格)が変動して9,500万円投資すると年間100万円もらえる商品になった場合、どうなるでしょうか?

商品AとB 投資額(=価格)9,500万円で年間100万円もらえる
= 金利1.05%の商品

これも、まあそうだな、って感じですよね。ここで、商品Aを国債、商品Bをそれ以外の債券と考えてみてください。国債の魅力が低く、それ以外の債券の価格が魅力が高いので、それぞれの価格が調整されて同じ魅力度になりました。

これが国債の価格が変動するメカニズムです。

金利が変動するメカニズム

また一旦商品A、商品Bに戻って、「金利の変動」を見てみます。

商品A:金利1.00% ⇒ 金利1.05% 金利が上がった

商品B:金利1.11% ⇒ 金利1.05% 金利が下がった

ここまでは大丈夫でしょうか?商品Aの価格が下がったことで、実質的な金利は上がりました。また、商品Bは価格が上がったことで、実質的な金利は下がりました。

では、またここで商品Aを国債、商品Bをそれ以外の債券と考えてみましょう。

国債:金利が上がって価格が下がった

それ以外の債券:金利が下がって価格が上がった

そうすると、国債は「価格が安くなって利回りが良くなった(=投資対象として魅力的になった)」と言えますよね?「国債がお買い得になった」とも言えるかもしれません。

ですが、お金は有限です。国債の人気が高まると他の投資対象の人気が相対的に下がります。ここでようやく株価との関係が出てきます。

株価との関係

これまで、簡単な例をみながら国債の価格と金利が変動するメカニズムについて説明してきました。でも、少し違和感を感じた方もいるかもしれません。

なぜなら、通常は「国債の価格が下がるときは、それ以外の債券の価格も下がる」からです。

ですので、これまで説明してきたようなことは普通起こりません。

では、どうなるかというと、「国債の価格が下がる(=国債の金利が上がる、国債がお買い得になる)」ときには、「株価が下がる」のです。

国債が相対的に人気になったので、株式の人気が相対的に下がります。そうすると、みんなが持っていた株式を売って国債を買うようになるんですね。

そうすると、みんなが株式を売るので株価が下がって、「長期金利が上がって株価が下がる」という状況が生まれます。(冒頭にも書きましたが、短期金利は政府がある程度勝手にコントロールできるので、短期金利とは分けて考える必要があります。)

おわりに

いかがですか?わかったようなわからないような感じでしょうか?

今回はかなり単純化しましたが、実際はもっといろんな要素が絡み合って株価の上がり下がり、金利の上がり下がりは決まりますので興味のある方は色々調べてみてください。

最近、本業(?)である中国決算の分析記事が全然書けてませんが、そろそろ中国は決算発表の季節ですので、こちらもまた少しずつ書いていこうと思います。

僕からは以上です。






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