藤田侑希

2020年9月に中国青島より帰国。北京1年(語学留学)、青島3年半。主に中国ビジネスや…

藤田侑希

2020年9月に中国青島より帰国。北京1年(語学留学)、青島3年半。主に中国ビジネスや経済、金融のことについて発信します。と思いきや最近は中国あるあるを小説にしています。何かあればTwitterまでお気軽にどうぞ。 https://twitter.com/YF95

マガジン

  • 中国現法はマーケティングができない

    中国現法の抱える問題について、フィクション形式で書いていきます。

  • そろそろ本当の中国の話をしよう(企業活動編)

    中国企業の決算情報、公開情報から読み取れる中国について発信していきます。 1記事5分程度で読める記事をなるべくたくさん更新していきたいと思います。

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中国現法はマーケティングができない

だいぶ久しぶりのnoteです。 今回は中国界隈note界の巨匠である華村先生に「note書け」と命ぜられましたので重い筆をとり書きたいと思います。 題して「中国現法はマーケティングができない」です。 まず、日本企業の中国現法(現地法人)がどういうところなのかをご説明します。 もともと、日本企業の中国現法のほとんどが「中国は人件費が安いから」という精神のもとに設立されています。したがって、社内のオペレーションも安い人件費を基準として構築されています。 日本人も派遣されます

    • 私は突然社長になった

      *この物語はフィクションです。 3ヶ月前、私は突然社長になった。いや、正確に言うと突然ではなかった。一年前頃から社長になりそうな予感はしていたし、「社長になるかもしれない」という予感は社長になるまでの間に日に日に強くなっていた。だが、「予感がする」ことと「本当になる」ことの間には大きな隔たりがある。 特に、この日本という社会の中で「社長になる」ということそのものが大変なことであり、社長になるまでは「どうやったら無事に社長になれるのか?」ということで頭がいっぱいだった。そう

      • 中国現法はマーケティングができない ー夜の街編 その1ー

        第3章を書くといいつつ、プライベートや仕事が立て込んで更新できていませんでした。 今日はリハビリがてら日本人社長の夜の街での「活動」について書きたいと思います。主にカラオケ(≒キャバクラ+α?)のお話です。 これまでのお話は以下のURLからご覧ください。これまでのお話は読まなくてもたぶん今回のお話には影響ありません(たぶん)。 〜夜、カラオケにて〜 日本人社長「君は大学時代に中国に留学してたんだって?今日は学生はなかなか見られない夜の世界を見せてあげるよ。」 若手駐在

        • 中国現法はマーケティングができない ー第2章ー

          *これまでのお話は『中国現法はマーケティングができない ー中国赴任編ー』と『中国現法はマーケティングができない』をお読みください。 前期決算は赤字となった中国現法。一方で中国国内販売はなんとか開始されました。そんな中国現法に若手の駐在員が派遣されることになったようです。 〜日本本社にて〜海外統括部長「人事発令だ。君には青島に赴任してもらおうと思う。君は中国語ができるんだったな?日本と中国ではビジネスの環境も違うと思うが、しっかり勉強してきてほしい。」 若手駐在員「ありがと

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          中国現法はマーケティングができない ー中国赴任編ー

          *これは、本編『中国現法はマーケティングができない』のスピンアウト記事です。本編のイントロとなる部分ですので、同記事を読む前にもお読みいただけます。 〜空港にて、日本人社長の赴任初日〜アナウンス「ANAから、搭乗時刻のご案内を致します。青島行き、NH927便の機内へのご案内は9:50頃の予定です。」 とうとうこの日が来た。今日から中国で働くのだ。これまで30年弱、ずっと現場で生産管理をやってきた。うちの会社の製品のことならだいたいわかるし、工場を少し見て回ればその工場の良

          中国現法はマーケティングができない ー中国赴任編ー

          新エネルギー車の大手、BYDの未来は本当に暗いのか?

          中国企業は決算発表の季節になりました。中国企業は法律で決算を12月にするように決められていますので、3月末~4月初旬に全ての企業が一気に決算を発表します。これからそれらの決算について、様々な角度から検証していきたいと思っています。 そこで今回は、先日36krでこんな記事が出ていたBYD(昨年マスクでも有名になりましたね)に焦点を当ててみます。 36kr、いつも読ませていただいています。ありがとうございます。 本記事の「今後の利益も見通しは暗い」という見出しが気になったの

          新エネルギー車の大手、BYDの未来は本当に暗いのか?

          株価が予想できる?長期金利って何?

          今回は、「長期金利が上昇したことにより株価が下落しました」といった文脈で最近よく聞く「長期金利」について解説します。 長期金利の定義は「期間が1年以上の金融資産の金利」です。ですが、たくさんありすぎるので、基本的には「10年物国債」の金利のことをいいます。 では、「10年物国債」とはなんだ?ということですが、「10年物国債」とは「10年後に満期を迎える国債」のことです。 「10年後に満期を迎える国債」なので、政策金利のように政府が勝手に決められるのか?と考えてしまいがち

          株価が予想できる?長期金利って何?

          中国の銀行と日本の銀行って違うの?

          先日は「中国銀行って日本銀行と違うの?」という記事を書きました。 そこで、今回は続編として「中国の銀行と日本の銀行って違うの?」という記事を書いてみます。 業務内容銀行の業務内容は中国も日本もほとんど同じです。企業や個人から預金を預かって、そのお金をまた企業や個人に貸し出して利益をうみだします。 ただ中国の銀行は土曜日もあいていることが多いです。日曜日もあいていることもあります。法人は平日のみ、個人は土あるいは土日あいている、という感じのようです。 日本では窓口で男の

          中国の銀行と日本の銀行って違うの?

          自宅にBARのある暮らし‐自宅BAR化計画

          日本に帰国して半年弱、生活も落ち着いてきたので「自宅BAR化計画」を進めています。別に人様からお金を頂戴しよう、というわけではなく完全に趣味です。まあ、ゆくゆくは家の近くに「自分用のお酒の保管場所+お酒の販売+お酒の提供」みたいなバーを開いても良いですね。 そんなわけで、今日は現在の自宅BAR化計画についてご紹介します。 酒用冷蔵庫の確保我が家には現在冷蔵庫が2つあります。食品用とお酒用です。 日本に帰国するまで妻が一人用の冷蔵庫を使っていたため、その冷蔵庫を捨てずに新

          自宅にBARのある暮らし‐自宅BAR化計画

          テンセントが83億ドル調達!でも、なんで?

          テンセントがオフショアで83億ドル調達するとの記事が出てましたね。 そもそも、テンセントは年間580億ドル程度の売上に対して、2020年9月末時点で270億ドル(約2兆8,000億円)程度の現預金を保有しています。そんなに資金に困っていないように見えますね。 では、なんで今資金を調達する必要があったのでしょうか?あまり細かい情報が出ていない中ですが、想像してみたいと思います。 ドルの金利が安いまず、ドルの金利が安いことがあると思います。昨年、アメリカは新型コロナウィルス

          テンセントが83億ドル調達!でも、なんで?

          住宅ローンの金利は変動金利がおすすめ?

          住宅ローンの金利は変動金利にすべき?固定金利にすべき?という議論は永遠に結論の出ない話題かもしれませんが、今回はそれにあえて「変動金利がおすすめ!」という結論を出してみたいと思います(本当は「住宅ローンの金利は変動金利一択!」みたいな釣りっぽくしたいところですが、がまんがまん)。 *2021年2月14日の記事を2022年11月22日に加筆、修正しました。「2023年もアメリカはゼロ金利政策を続ける」という見立て(もちろん当時はそういう話だったんだと思います)は残しておきます。

          住宅ローンの金利は変動金利がおすすめ?

          中国銀行って日本銀行と違うの?

          今回は中国の銀行について書いてみようと思います。 日本では三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行が「メガバンク」といわれますが、中国にも似たような呼び方があります。「四大銀行」といいます。 では、この「四大銀行」とはどの銀行を指すかというと、中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行、中国銀行の4行を指します。全て中国の株式市場に上場しています。 中国に駐在経験のある方ならこの4つのどこかで銀行で口座を持っているのではないかと思いますが、それぞれどんな銀行だかご存じでし

          中国銀行って日本銀行と違うの?

          香港に上場した快手は本当にキラキラ上場なのか?

          *本稿は私のTwitterに連投したものに加筆修正したものです。 TikTokのライバル(?)の快手の上場がニュースになっていて株価もまずまずみたいですが、快手が本当に今上場したかったかは少し疑問が残ります。 快手はここ数年大きな赤字を計上しています。しかし、「ベンチャー企業によくある、まずは広告費どんどん使ってユーザーを拡大しよう!そのためには赤字でも仕方ない!」という会社かというとそうでもなさそうです。 ではなんで赤字かというと、快手自身の企業価値が高まっているから

          香港に上場した快手は本当にキラキラ上場なのか?

          対面サービスをオンラインサービスにして顧客満足度向上?

          今回は対面サービスについて考えます。 新型コロナウィルスの感染拡大もあり、2020年は「オンライン」がホットワードになりました。それにより、これまで対面で行われていたサービスがオンライン化されるといったことも増えてきました。 そこで今回は、既存の対面サービスをオンラインに切り替えるメリットについて、私なりに考えた2つをご紹介したいと思います。 まず一つ目は、よく言われることかもしれませんが、「専門的なサービスが気軽に受けられる」です。ここでは通常言われるサービスよりもう

          対面サービスをオンラインサービスにして顧客満足度向上?

          RFIDの活用で未来が変わる?

          昨年末にそろそろ本当の中国の話をしよう(企業活動編)というマガジンを開始しました。次回は銀行について書こうと今調査をしているところですが、なかなか内容が盛りだくさんなので、自分のペースで更新していこうと思います。 マガジンと並行して普通のnoteも更新していく予定です。今回はRFIDを活用した未来について考えてみます。今後、何回かに分けて成毛眞さんの書いた2040年の未来予測を読んで自分なりに考えたことを紹介していこうと思っています。 RFIDとは?RFIDはユニクロの自

          RFIDの活用で未来が変わる?

          蘇寧業績急減速について(4)担保

          これまで、少しの脱線を挟みつつ蘇寧のグループストラクチャーと事業構造について見てきました。今回は最終回として、蘇寧グループがどのくらい頑張って資金調達をしているかをご紹介したいと思います。 株式の担保差入状況については「蘇寧業績急減速について(2)グループストラクチャーその2」で既にご紹介しましたので、今回は預金担保について見ていきます。 蘇寧グループの2018年の現預金の合計が480億元(≒7,590億円)なのに対し、2019年の現預金の合計は339億元(≒5,357億

          蘇寧業績急減速について(4)担保