日記2022/06/15


 どこにも自分の居場所はないと思っていたけれど、本当は、どこかに自分の居場所を作るだけの力が私には無いのだと思う。

 私は作業を行う人達が集うdiscordサーバーによく顔を出していた。ただ、そのサーバーの雰囲気にどうにも馴染むことが出来なかった。上っ面の会話はできるが、自分は彼らと仲良くしたいと思わないし、彼らもまた、私と仲良くしたいと思ってないだろうなと勝手に思っていた。きっと、私がオタクだから、オタクでない普通の人達とは馬が合わないのだろう。同じジャンルのオタクが来てくれればきっと馴染めるはずだ。うっすらそう思っていた。

 そんな中、私がやっている音楽ゲームのdiscordサーバーが開設された。開設者はその音楽ゲームのYouTuber。知名度もあり、サーバーを公開するやいなや、沢山の音ゲーマーがひっきりなしに加入した。公開してから今日で5日ほど経つが、既に1700人が加入している。

 そのサーバーを見つけたとき、私は救われたような気持ちになった。世間から見たらオタク同士が集まってイチャついてさぞ気持ち悪かろう。でも、そんなオタクが好きなんだ!私の居場所はここだ!と、浮き足立ちながらサーバーに加入し、ボイスチャットに上がった。

 地獄だった。
 オタクの嫌な部分を煮詰めたような場所だった。ネットミームでしか会話をしない。自分の言葉が一切ない。そのときそのときの会話で盛り上がっているネットミームをどれだけ大きな声で言うことができるかどうかで優劣が決まるような、会話ではなく鳴き声を集めたボイスチャットだった。

 最初は、それでも同じ趣味を持つ人間だから、自分が我慢していればこの空気にも慣れると思い、その空間に居続けた。しかし、慣れるどころか気持ち悪さが大きくなっていく。妙に甲高い声やモゴモゴしていて聞き取れない声などを聞くたびに気持ち悪さを感じ、ネットミームを聞くたびに苛立ちを覚えた。

 もう限界だと思って、私は音ゲーサーバーに顔を出さなくなった。

 音ゲーサーバーの住人が悪いわけじゃない。誰にも迷惑をかけなければ、自分たちで楽しむ分には何をしてたっていいはずだ。だから悪いのは、音ゲーサーバーの空気に合わなかった自分だ。

 そう考えると、自分はどこに合うことができるのだろう。作業サーバーで普通の人は合わない。音ゲーサーバーのオタクも合わない。ただひたすら自分に合わなかった人間に対して気持ち悪い、苛立つといって下に見るだけで、誰ともつながることができない。

 そもそも「合う」という考えが間違っている。自分本来の姿をそのままさらけ出して、それを受け入れてくれるコミュニティや人間はほぼいない。「合う」ではなく「合わせる」必要がある。

 私はこの「合わせる」ことをしてこなかったのかもしれない。上っ面の会話だけして、自分に合わなさそうだなと思うと、徐々に距離を置く。そういうことばかり繰り返してきた結果、深い人間関係を作ることができず、「合わせる」力を養うこともできていない。

 「合わせる」という行為は、いままで自分がしてきた「上っ面の会話」の深度を深めることだと思う。しかし、今の自分にそれに耐えられるだけの気力があるとは思えない。

 じゃあどうするか。頭の中ではわかっている。無理にでも「合わせる」力を養え。耐えられるか耐えられないかじゃない。耐えて、力を身に着けて、そうすれば思い描いていた人間関係を築くことに少しでもつながるから、やれるだけのことはやれ。

 でもきっと行動しない。

 多分ずっとこのまま、後悔しながら、誰とも深い関係になれずに、少しずつ人間関係を削るように失っていき、最後に誰ともかかわりがなくなる。

 なぜなら、今の自分が一番大事だと思っているから。今の自分がつらくて苦しいことはしたくないから。それがわかっている自分に胡坐をかいているから。

 どこで本当に後悔するんだろう。「へへ、ほんっと俺って駄目だよな」、から、「本当に駄目なんだ、変わろう」、に変わるんだろう。

 きっと今がそう思うチャンス。でも思えていない。まだ、余裕こいて片方の口角を上げながら自虐をしている。

 これを残しておくことで、未来の自分が本当に後悔するタイミングが早まることを祈る。

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