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チアリーディングとチアダンスの違い知っていますか? 教えて、K先生!

「チアリーディングとチアダンスって別ものだったんだ……」

知った時、衝撃が走りました。一言に「チア」と言っても同じものではなかったのです。

知ったきっかけは、蹴球ゴールデン街というサロンでのオンライン飲み会での事。

今回いろいろ教えてくれるK先生が豪快にビールを飲みつつ、チアのオーディションがあるので、しばらくビールは断つという話をしていました。

※「豪快に」と言っている部分、K先生の顔が小さいのでかなり大きなボトル(一升瓶くらい笑)に見えたのですが、実際はそんなに大きくなかったのです。小顔本当に羨ましい

その前に、マスコットの応援のあり方の記事を書いていたこともあり、Withコロナ時代のチアについても興味があった私。

K先生に教えてもらおうと早速コンタクトを取ってみたところ、冒頭のようにまず根底というか、基礎の知識から間違っていたことを知りました。

びっくり


ということで、チアリーディングとチアの違いやK先生に教えてもらった業界話など見ていきましょう!

※今回教えてくれるK先生
ナタリー・ポートマンにちょっと似ている笑顔がキュートな美人。FC東京サポ。未経験から5年で応援チアのチーム所属まで上り詰めた異色の経歴の持ち主。

■チアリーディングとチアダンス、応援チアの違い

K先生の見解と私がググった内容を以下にまとめてみました。K先生に話を聞いたところ、チアリーディング、チアダンスに続き、第三のチア、競技応援チアという存在も知りました。

・チアリーディング
バク転やアクロバティックな動きも含まれる。2分半の演技。男性もいる。大会や学祭で見られる。早稲田大学のSHOCKERSが有名。
チアリーディングには無音部分がある。無音部分は、チアリーダー自らが発声して、リズムを取る。
無音の時間には、チア・サイドラインという、チアリーダーが自ら発声してリズムを取りながらアームモーションという基本的な動きを行う。アームモーションの一例、両腕を上げるハイブイのポーズ。意味はVictoryのV。

・チアダンス バク転やアクロバティックな動きは含まれない。広瀬すずさん主演の映画チアダンのモチーフになったのはこのチアダンス。アクロバティックな動きがない代わりに。ターンのテクニックやシンクロ、いかに揃っているかが問われる。


ちなみにこの2競技、日本はかなり強い様子。揃っている=美しいという評価基準が日本人の得意とする領域のようです。


そして第三のチア、スポーツ応援チアについて見ていきましょう。


・スポーツ応援チア
バク転やアクロバティックな動きも含まれる。チームごとに特徴あり。例えばビジュアル。このチームが目指すところは小麦色の肌で、ヘルシー系が好まれるということであれば、いくらダンスがうまくても色白セクシー系のビジュアルの場合、そのチームには選ばれないこともある。
Jリーグは、チームを持っているところと持っていないところがあるものの、アメフト社会人リーグのXリーグはチアチームを持っているところが多い。有名どころでいうと、土屋太鳳さんのお姉さん、土屋炎伽さん富士通のチームに所属していた。最近勢いのあるバスケットボールのBリーグも同様チアチームを持っているところが多い。

簡単に違いをまとめるとこんな感じです。

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サッカークラスタとして、スポーツ好きとして気になるのが、第三のチア、スポーツ応援チアです。

そのスポーツ応援チアについて、深堀していきたいと思います。

■人気があるチアは?

チアといえば、社会人アメフトのXリーグ。そういう時代が長く続いていました。

5〜10年前までは、スポーツ応援チアといえば、Xリーグという感じ。今は少し人気に陰りが見えてきているようです。

理由は、Bリーグの登場。BリーグのチアにXリーグから移籍することも多々あり、結構押されているようです。
鶏が先か、卵が先か。悩ましいところですが、人気が落ちてきた状況と同じくして、以前はチームによってかなり特色があったのに、今はそれが薄れつつあるとのこと。

どうして、Xリーグのチアに陰りが見えてきたのか、Xリーグのチアを具体的に見ていきます。

■華やかだけど、過酷なXリーグチア

K先生は昨シーズンまで、Xリーグのチアチームに所属していました。憧れの専属チアで楽しかったけど、大変だった部分もあったようです。

試合日のタイムテーブルを教えてもらったところ、こんな感じ。

※Xリーグのチアリーダーの1日

・3時間前には会場入り。(早い!!)
 機材の準備もチアリーダーの仕事。会場の音量チェックも同じく。
 そこと並行して、着替え・メイク・柔軟をやるので早く会場に入る必要あり。

・開場したら、お出迎え。
 観客を迎えると同時にカメラを向けられると華麗にポージング。
 控室を2チームで兼用するので、荷物は全て持っていかねばならない。
 ちなみに、靴は必ず2足必要。
 ピッチサイドで踊るときはヒール。ピッチないはヒールなしの靴で踊るため。

・続いて応援の練習
 観客にディフェンスの時、オフェンスの時どういう応援をするのか教える。

・試合開始
 開始前にオープニングダンスを披露。

・試合中
 出番が多い。タイムアウト、ハーフタイム以外もサイドラインでマイクを使って観客の応援をリードする。
 2時間踊りっぱなし。大体50曲くらい。
 何の曲がかかるか、わからないので、集中していないとついていけない。
 ポンポンを持つか、バルーンを持つかその準備もある。
 常に人に見られるので、水も満足に飲めない状況。

見ているだけで、クラクラします。

これが春に3試合、秋に8試合開催されます。頻度は、2週間に1回。

アメフトは、室内ではなく、室外での競技なので、特に太陽が照りつける時は体力の奪われ方が半端なさそうです。

その中で、2時間踊りっぱなし。かなり過酷。

本番当日を迎えるまでには、練習がもちろんあります。夢に見てうなされるほど心折れそうな練習に耐えて本番を迎えるとK先生が言っていました。

揃っている美しさをアピールするので、振りを覚えるのはもちろんそれをいかにシンクロさせるかが問われます。練習量がシンクロ率と比例するのでしょう。

K先生が所属していたチームは週3回の練習。1回は平日、20時〜22時まで。残り2回は週末に実施。チームの皆さん、普通の仕事が終わってからの活動です。兼業チア。

Xリーグはチームによっては、アスリート枠のような感じでその企業に所属しないとできないチアもあるとのこと。チームそれぞれなんですね。

■美の競演、東京ドーム

K先生に見せてもらった動画で圧巻の動画がありました。東京ドームで行われるXリーグの祭典、JAPAN X BOWLでのパフォーマンスです。イメージとしては、アメリカのスーパーボウルの日本版って感じですかね。

昨年はギタリストのMIYABIさんもゲストで登場しました。

驚異のシンクロ、美しさ、カッコよさ。

この中にK先生がいるんです、ヤバイ、すごい。語彙奪われるレベルです。

この東京ドームでのパフォーマンス、本番2週間前からリハーサルが始まります。

個人が間違ったとしても、チーム単位で怒られます。地獄です。連帯責任。

チームのプライドにかけて怒られるわけにはいきません。

Xリーグのチア大体平均5−6年所属の人が多く、10年所属のベテランもいます。そんな中、ルーキーにとってはより大変な練習となります。

普段の練習と比べものにならないくらい、悪夢にうなされ、かなり大変だったとK先生は言っていました。

ものすごく大変な練習と苦労に支えられた上で、この華やかさ・素晴らしさがあるのです。聞かないと、見えてこない世界。

■チアリーダーの美学

やっててよかったと思うことをK先生に聞いたときに、観客を巻き込めた時のやりがいについて聞きました。

それ以外に出てきたのが、カルチャースクール時代の先輩のこと。

チアでアメリカを目指す先輩。普通の会社員のはずなのに、夢を追いかける姿はとてもキラキラしていたと言います。

未経験のK先生をバカにするような事はなく、常に相手を尊重するスタイルだったそうです。

目指したいと思う女性像がそこにはありました。

人前でメイク直しちゃダメ、は当然。
チアリーダーは、厳しい礼儀作法や、体育会らしい真面目さが求められます。

生き様や人生哲学、そこを身体表現する、そこに美学を感じるのがチアなのかもしれません。

■異色の経歴、K先生のチア人生

チアリーダーはチアリーディング経験者が半分くらい、それ以外はダンス経験者が多いです。

たまに新体操経験者がいるが、全くの未経験は少ないと聞きます。

そんなチアの世界でK先生は未経験からチア人生をスタートさせました。

5−6年前に習い事をしようと思った時に、日本舞踊やフラダンスを見学。向いていないと思った時にチアダンスのカルチャースクールに出会います。

そのカルチャースクールで学んだ後、3年前にとあるFリーグのチームのチアチーム募集を見つけました。

愛するFC東京がチアチームを持っていたら有無を言わさず受けたのですが、残念ながらFC東京はチアチームがありません。

同じく味スタを本拠地とする東京ヴェルディにはあるのですが、東京サポなのでNG。

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Jリーグにないなら、Fリーグ?と思って調べたそうです。

そのシーズンのメンバー募集は、K先生が見たとき既に終了していました。

ただ、チーム創立すぐだったので、どのような人を求めているかわかりません。来年の募集に備えるため、K先生は事務局に連絡を入れました。

すると、練習参加の要請連絡がきて、あれよあれよとメンバーに追加選出。

そのチアチームは、1シーズンで活動を終了し、消滅してしまいました。もし、何も連絡をせずに、来年まで待っていたらそのチームでパフォーマンスする事はなかったのです。

※K先生のすごいところ
終わっているからと言って、そこで諦めない姿がかっこいい。結果チャンスをちゃんと掴んでいるところがすばらしい。

その経験を経て、Xリーグのあるチームへ所属。

応援チアのダンスはテクニックではありません。

応援チアは、チームのスタイルに会った人が選ばれる傾向にあります。ある程度踊れれば、後で覚えさせればいいという考え方です。

このように、応援チアは子どもの頃からやっていないと無理、という世界ではありません。異色の経歴ではあるものの、K先生はしっかり夢を叶えました。

憧れのXリーグのチアリーダーになったK先生ですが、今季は別のチームのオーディションを受けるとのこと。

そして、オーディションのため、ビールを断つ日々に突入しました。

■チアの体づくり


K先生の大好物は、ラーメン、餃子、ビール。

私との共通点今まで1つもなかったのに、ここにきてできました笑。

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ただし、シーズン中、基本的にアルコールは1週間前から飲みません。基本は我慢しないスタイルだけど、1週間前からは特別です。

そして、オーディションの前も体を作る必要があるので、控えます。

新型コロナウイルスの影響で、ダンススタジオも閉鎖されていたので、今はトレーニングとしては、腹筋のみをやっているそうです。

やはり、チアとしては、シーズン中は腹筋は割らないといけないとのこと。

人生で一度も腹筋を割ったことのない私としては、震えるセリフでした。

ちなみに、腹筋は上と下に分けてやるそうです。下は数を数えてやるのですが、上はそれだとしんどいので、好きな曲をかけて1曲やりきるというスタイル。

いいことを聞きました。コロナ太りがちょっとヤバイので真似してやってみようと思います。

アルコールと違って、食べ物に関してはあまり気にしていないようですが、ラーメンを食べたくなっても、夜は食べないというルールを決めているようです。

強い意志がそこにはあります(私の意志の弱さはワールドクラスなので見習いたい)。

■Withコロナ、Afterコロナのチアについて

先ほど、スタジオが閉鎖されていることを書きましたが、オンラインでの練習が増えそうだ、とK先生は言っていました。

揃える部分やコールの部分は実際に会わないとできないけど、振りの練習はオンラインでもできます。

みんなで集まってやる練習が少なくなる分、一回一回の集中度が、高まりそうです。場所を問わない練習に関しては、もしかしたらWithコロナ、Afterコロナの良い結果になるかもしれません。

問題は、試合の日です。フェイスシールド付けているチアリーダーは想像できません。ビジュアルも大事な表現の1つですから。

そもそもJリーグでは、マスコットも入場できないという報道がありました。チアリーダーは入場が可能なのでしょうか?

ハーフタイムのパフォーマンスが許可されたとしても、お出迎えやお見送りに関しては、身体接触と見なされて許可されない可能性があります。

どこでファンを作っていくか、というのも問題になりそうです。
しばらくは、新型コロナウイルスと共存する世界を考えなければなりません。

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■最後に

私はチアについて、違いはわかっていませんでしたが、元々ただの応援する人というよりもアスリートだと思って見ていました。

そこは間違っていなかったんだな、と今回K先生からいろんな話を聞いて確信しました。

K先生が言っていた言葉で印象的だったものがあります。

「スポーツが好きすぎて、自分も中の人になれるのが、チアだったのかもしれません」

アスリートを目指しても、なれる人はほんの一握りです。

チアもかなりの難関を潜り抜けないとなれませんが、小さい頃からやっていなくても努力と根性があれば目指せなくはないと今回わかりました。

夢を叶えたK先生。素敵な話が聞けてよかったです。

チアリーダーも見てみたいから、BリーグもXリーグも行きたいな。

スポーツが失われかけていた日常でも、新しいスポーツへの興味を得ることができたのが何よりの収穫でした。




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