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アジャイル導入に目的は必要なのか?

社内にアジャイル開発を導入しようとしている。

先日、アジャイル導入を生業の一つにしている某有名コンサルティング会社と打ち合わせを行い、導入支援依頼の打ち合わせを行った。最初に聞かれたのは、「なぜ、アジャイルを導入したいのですか?」ということ。当然、こちらにはそれなりの理由があり、コンサル会社もそれを理解した上で、提案をしてくるためだ。「アジャイルを導入するのは、何らかの問題・課題があり、それを改善するため。この目的を明確にしておかないと、アジャイルを導入することが目的になってしまい、方向性を失ってしまう」とのこと。自分でもそう思っていたし、当然、目的が必要だと思っていた。

また、「あるある」だと思うが、社内アジャイル推進を行う際、いくら目的を明確にしても「いま困っていない。どうして変える必要があるの?」などというネガティブな反応をしてくる人たちがいる。仕方ないので、アジャイル開発のメリット・デメリットを説明したり、なぜアジャイル開発が必要なのか、といったプレゼンをすることになるが、次に出る言葉は「事例を教えてほしい」となる。で、事例を持っていけば、「うちとは違う」とか、「向き・不向きがあるよね」とか。こうなってしまうと「うちは課題に該当せず、不向きだから、アジャイルを導入しなくてよい」と思うようになり、逆効果となってしまう。

コンサル的には、アジャイル導入には明確な目的が必要だ、とのことだが、社内推進を行う上で、共通の目的の設定は、非常に困難だ。

個人的には、目的設定もそうなのだが、曲がりなりにもシステム開発をやっているはずなのに、どうして最初からネガティブなのか。どうして新しい技術を「やってみよう!」という気にならないのか不思議でならなかった。

コンサルと話をしている中で、こんな話があった。かつて、プログラミング手法が、構造化プログラミングからオブジェクト指向プログラミングに代わる際、同じようなことがあった。当時も、「なぜ、オブジェクト指向なのか」、「構造化手法でできているのに、なぜ変えなければならないのか」、というようなネガティブな反応があった。今となっては、オブジェクト指向は当たり前の開発手法であり、どちらかというと、知らないと恥をかくまでになっている。このオブジェクト指向化は、現在のアジャイル化と似ているという。ただ、大きく違うのはその変化のスピードとのこと。肌感覚で、数倍の勢いだそうだ。ということは、あと5年もすれば、アジャイル開発は当たり前になり、あえて「アジャイル」といわなくても、普通の開発手法として使われているようになるとのこと。

では、アジャイル開発が当たり前の状態になったとき、アジャイル開発を行うことに、目的が必要なのだろうか・・・。現在、オブジェクト指向プログラミングを行うことに対して、目的はないのと同様に、アジャイル開発を行うことに目的はなくなっているはずだ。

ということは、その時のため、勉強・知識獲得のために、アジャイル開発・導入を行ってもいいのではないか。つまり、アジャイル開発を行うこと自体が目的になってもよいではないか。

なんてことを考えていたら、以下の Blog を見つけた。非常に共感した。

このブログで、自分は、開発プロセスに対する「いまの現実」を知り、アジャイルを試し、学ぼうという気になることが必要なのではないか、と解釈した。そのためには、「アジャイル開発を行うこと自体を目的にする」ということも肯定すべきではないかと思う。

ということで、今後、アジャイル導入の目的を探している人に、「アジャイル導入を行うこと自体も目的になりうる」という言い方をしてみようかと思っている。


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