【後編】キッチンカーイベント出店で差をつける具体的戦略 京都から
この記事は後編になっておりますので、前編をまだ読んでおられない方は、こちらの前編を読んでから是非ご覧ください。
戦略の具体的な考え方
イベント中
イベント中は販売戦略、イベント後戦略、情報収集の3つがあります。
販売戦略は、アップセルクロスセル戦略で客単価を上げることが大切です。
ここでは、イベント前にあらかじめ練っておいた販売戦略を実践する時でもあります。
そして、同時に大切なのが、戦略を変えることです。
例えば、焼きそばを販売するとします。
イベント参加前には、提供時間を短くするためにあらかじめ、パックに詰めて準備をしておこうと考えていたとします。
実際にイベントが始まると思ったより人が来ず、パックの焼きそばがすぐに冷めてしまうと発覚したとします。この時、「せっかく戦略を立ててきたんだからこのままやる。そのうち人が来る」と考えるのではなく、積極的に戦略を変えます。
ここでポイントなのは、小さく試してみることです。
「焼きそばが不人気に違いない。今から近くのスーパーにパンを買いに行って、焼きそばパンに変えよう」
このような大きな変化はやめておくべきです。
その場で考えた案によって赤字コースまっしぐらという例も多々あります。
実際にあったのは、せっかく売れ切れるところまで売れたのに、「もっと売れる」と考えて近くのスーパーへ買い出しに行き、提供したところ、売れれば売れるほど赤字になった事例でした。
普段仕入れている場所より割高だったことにより、損益分岐点が上がり、結果として赤字になってしまったのです。
※売っても売っても赤字から抜け出せない。そんな売上の罠にはまりたくない方、損益分岐点がわからないという方はぜひこちらもご覧ください。
さて、話を戻しましょう。
小さく試す、ということは、焼きそばを炒める時にちょっと高く持ち上げるようにして炒めることで、美味しそうに見えるように演出してみようとか、「手に取った時に熱く感じなければその場でアツアツに温めます」といった、材料などは変えず、やり方を変えるということです。
この時のポイントは、戦略を変える前と変えた後では、具体的に客数の変化はあったのか、売上の変化はあったのか、など、できる限り数字ベースで考えることです。
何となくお客さんの数が増えた気がする、という考えは、バイアスがかかっていることが多いです。バイアスとは考えの偏りや歪みのことで、どんな天才でも簡単にかかってしまうのです。
バイアスについてはこちらの記事の中に詳細記載しているので是非どうぞ
だからこそ、戦略を変える前後でどれだけの変化があったのかを、数字という客観的なデータで把握するのです。
この時、余裕があれば実際に購入してくれた顧客と話して、生の声を聞くことも良いですね。
状況を見て、戦略を変え、顧客に一番届く方法を研究することが大切です。
こうなると、できるのかと不安になるのが、「イベント後戦略の実践」です。
戦略というと大それたもののイメージがありますが、そうではありません。
イベントの後、どのように興味を維持してもらうのか、再認識してもらえるのか、が主な考え方になります。
いくつか挙げるとすると、
購入してくれた人にポイントカードを発行したり、
ショップカードを渡したり、
SNS登録ができるようにQRコードをキッチンカーに貼っておいたり、
と言ったものです。
もちろんこれだけではありません。
次回出店する場所が決まっているなら、その時に使える商品券を載せたチラシを袋に一緒に入れるのも良いでしょう。
また、定着しているなら、普段はどこにキッチンカーがいるのかを明らかにしておくことも重要です。
販売時にあれもこれもと動きを入れてしまうと、忘れてしまったり、思わぬミスを招いたりすることもあります。
商品を渡す時ににショップカードを一緒に渡すなら、商品を置く場所や、商品を入れる袋やパックのすぐそばに置いておくなど、工夫が必要です。
自分がいかに楽に、簡単に、確実に、次へ繋げていけるのか、そして、その時にどんな風にアプローチをかければ顧客がより楽に、簡単に、スムーズに再購入に辿り着けるのかを考えることが重要です。
楽をすることはダメなことではありません。
効率の悪いやり方を「こだわり」と称して変えないのはマイナスでしかありません。
販売前の準備は入念に行い、販売時の負担はできる限り減らすことが大切です。
そして、最後がデータ収集です。
データ収集は、先ほど販売時の戦略を変える時にお伝えしたことも入っています。戦略を変えてどんな風に変化が起きたのか。これもまたデータ収集の一つです。
そして、これに加えてすべきなのが、イベント出店時にしか得られない情報の収集です。
イベントがどんな状態だったのか、位置によって人の流れにどんな差があったのか、人々は何を買っていたのか、人気キッチンカーは何をしていたのかなど、イベントに出店しなければわからなかった情報をできる限り収集しておくことが大切です。
その場でノートなどにメモを取ることができれば取り、難しいならイベントが終わった後にすぐメモし、自宅などできちんとノートなどに整理することが大切です。
売上と、一日の支出を計算したり、目標金額に達したかどうかなど、分析に使用します。
この時、その時の気持ちを一緒に記入しておくと、後々見返した時に感情が蘇ってきてモチベーションに繋がったり、コンテンツ作成時のヒントになったりもするのでオススメです。
結果の良し悪しに関わらず、「次の戦略に活かすこと」が大切です。
売上が良かったなら、それはなぜ良かったのか、
売上が悪かったなら、何が良くなかったのか、次どのように改善すればいいのか、
このように、結果を分析して、戦略を練ることが必要です。
この時にポイントなのは、「仮説を立てること」です。
例えば、目の前でちょっと焼きそばを持ち上げるようにして演出したことが売上アップに繋がったと考えられるので、次回からも実施していこう。
ただ、パックに入れた状態で置いておくと、冷えた印象を与えてしまうだけでなく、温め直す手間も増えてしまうので、次回からは注文を受けてからパックに入れよう。
と言った具合に、仮説を立て、検証し、分析して次に活かすことが大切です。
サービスデザインの分野でも、何度も仮説・検証は重要で、プロトタイプを作成し、何度も何度も検証します。
こうしたイテレーションの考え方が大切です。
イベント後
ここですべきなのは、「イベント中に収集したデータで戦略を練る」です。
イベント中に収集したデータを使い、何が良くて何が悪かったのかを分析し、次にどのような戦略を立てるのかに思考を転換させるのが大切です。
損益分岐点と比較した時に売上はどうか、
イベント前と後での印象にギャップはあったか(案外人が少なかった、など)、
どんな戦略をとった時に顧客はどれくらい影響を受けていたのか、
など、情報をノートなどにまとめ、じっくり考えることが大切です。
戦略を練り、次に活かしていくことで、さらに情報の質が高まります。
もちろん、この時も販売中のみならず、顧客行動全体を広く見て戦略を練ることが必要です。
さて、ここまで、イベントの前、中、後で具体的な戦略をお伝えしてきました。
しかし、今お話ししたこともまた、戦略の練り方によってはほんの一部でもあります。
これをやっていれば万事OKというやり方はありません。状況に合わせ、あなたのキッチンカーに合わせて、顧客があなたとどのように出会い、何を感じ、何によって購買意欲をかきたてられ、どのように購入し、どのような話をするのか。
顧客がサービスに関わる全体のストーリーを立てるように考えることが大切なのです。
自分の戦略を立てる
さて、ついに自分の戦略を立てようと考える段階まできました。
ここで活きてくるのが、顧客の行動です。
顧客がどんな動きをするのか、3ステージごとにすべきこともお伝えしました。
あとは、これらの情報を使ってどのように戦略を立てるのか、という段階に入ります。
何を提供しているのか、
何が得意なのか、
どんなことをしたいのか、
自分自身のやりたいことと、顧客の行動から求めるニーズ、そして、それぞれのステージで何をしていくのか。
自分のキッチンカーに顧客はどのように出会い、どのように誘導され、何によって購入を決定し、どんな話をするのか。一つ一つに顧客にはきっかけとなる事象が必要です。
イベント前にどんな準備をするのか、イベント中にどんな戦略を実践するのか、どのように次に繋げるのか、イベント後にどんな反応を期待するのか。
キッチカーフェスやイベント出店で販売に焦点を当てていた頃とは、明らかに全体像が掴めるようになったのではないでしょうか。
顧客へのアプローチのタイミングややり方を考える時に忘れてはいけないのが、顧客への伝え方です。
顧客にあなたのキッチンカーの情報がより早く、正確に分かりやすく伝わっているのかが鍵になります。
そして、これが人気キッチンカーがやっている戦略でもあるのです。
クレープを売っているのか、フライドポテトを売っているのかなどがわかるのはもちろん、「爆盛り専門クレープ」と言った、特色がわかり自分のメリットがスムーズに理解できると、そのまま購買に至る可能性はぐんと高まります。
逆に「何でもあるキッチンカー」と言っていては、顧客は何が得られるのかがわからず、離脱してしまうことにつながります。
顧客へのアプローチのタイミングが良かったとしても、何が得られるのかがしっかり伝わらなければ、顧客は簡単に離脱してしまうのです。
これを防ぎ、顧客に一貫したメッセージを届け続けるのが、「ブランディング」です。
ブランディングは、自身が一貫したやり方でできるようにするだけではなく、顧客に対して何を得られるのかを端的に、明確に伝えるのです。
爆盛り専門クレープのキッチンカーというブランディングをしたら、その時点で自身のすべきことは定まります。と、同時に、たくさん食べたい顧客へとメッセージを届け、顧客獲得につながるのです。
キッチンカー事業はこのようにして、1か所ではなく複数の視点から見て戦略を立てることが必要です。
逆にいうと、ブランディングができていないと、できているキッチンカーに簡単に顧客を奪われてしまうことにも繋がります。
ブランディングがきっちりできて、何度も接点を作り、キッチンカーの知名度が上がってきます。
これが顧客をあなたのファンへと育てていくことでもあり、こうすることで、実店舗での飲食店ビジネスを加速させることにも繋がるのです。
売上や、その後の展開にも大きな影響を与えるブランディング、それだけではなく、キッチンカー製作から、マーケティング、マネジメントなど、キッチンカー事業全体に関わり、フォローしています。
初回相談は無料で時間の制限もありませんので、是非お気軽にご相談くださいね。