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2月27日(日):多様化するSC

今週の日経MJでは「SC(ショッピングセンター)の針路」と題して、2回にわたってイオンやセブン&アイの新たな取り組みに触れていました。

イオンにしても、セブン&アイにしても、それぞれに共通しているのは従来の画一的な大型モールからの脱却で、個別のコンセプトをもった次世代型SCを推進している点です。

具体的にイオンモール岡山では卓球のTリーグの会場を担ってファンや住民を集め、地元の交流拠点の位置づけにしていたり、イオンモール新利府南館ではスポーツと融合した新たな体験型テナント等を誘致してのコト消費の強化、名古屋駅のイオンモールではオフィス併設型として企業を顧客にする、といった具合です。

セブン&アイも同様でセブンパーク天美ではオンライン配信できるスタジオやイベント用にライブハウス並みの音響や照明、大型ディスプレーを設置したり、エンタメ要素を数多く詰め込みながら、モール内で様々なイベントを実施しています。

こうした動きが加速する背景は国内のSC数が2018年の3,220ヶ所ピークにして3年連続で減少を続けている点で、その主たる理由はECの拡大ですね。

そのようなもともとの流れに加えて、今回の新型コロナが決定打になり、待ったなしの状況になったのだと思います。

現在の日本に先立って、いまから5年ほど前のアメリカでは大型モールのキーテナントである食品スーパーや百貨店がアマゾンなどのECに押されて立ち行かなくなって撤退し、それによる来館者の減少で他のテナントも連鎖的に撤退する状況が起きていました。

テナントの大半が撤退してゴースト化したモールを米国では「デッドモール」と呼んでいましたが、そうした米国小売業の状況というのは日本の小売業にとっての既に起こった未来のひとつでもあったはずです。

5年前の日本でいえば日経新聞では「アマゾン、国内1兆円超 小売り大手、半数減収」や日経MJの一面では「苦境の大型店 モノより物語」と題した記事が掲載されていましたからね。

あれから5年が経過をしてデッドモール化した米国のSCが対岸の火事ではなく国内でも現実感のあるものになり、次世代型SCの模索によってその原型が少しずつ出てきたのが現在の状況でしょうか。

今後は、より特色のあるSCが増えていくことにはなるでしょうから、どんなコンセプトのものが出てきて地域と融合していくのか、そこは楽しみにしたいと思います。


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