「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論826」
皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第38号(2008.9.25発行)「フィットネスクラブ入会低調により収益減、現状打破に工夫と努力」4~※名称等は当時、一部文章省略
損益分岐点は下降、BEP会員数はおよそ3名弱か
店舗面積別の損益分岐点会員数と月間会費単価の推移をみると、人件費や原油の上昇などのコストアップ要因がありながらも、全3群ともにおおむね損益分岐点(BEP)を下げてきていることが読み取れる(※ただし、延床面積500坪未満のクラブ群は、小規模業態に平均値を下方に下げられているので、データの読み取りに注意を要する)。
大雑把にBEP会員数を算出するとすれば坪あたり3名程度となろう。
月間会費単価は3群とも7000円代でそれほど変わりはない。
入会増と退会減、施設のコストアップと老朽化への対策、人的資源の拡充が課題
事業所の認識する問題点、つまりクラブマネージャーの悩みの深いところは、「非常に深刻だ」から「全く問題ない」まで5段階で回答を求めた際、16項目中、最も「深刻な問題」と認識された、唯一4点台のスコアとなった「新入会員の減少」であった。
次いで「施設管理コストの上昇」(3.73)、「退会者の増加」(3.71)であった。
企業トップに調査した結果は、これとは異なり、「従業員確保」、「従業員教育」、「施設の老朽化」の順であった。
運営課題と経営課題の違いからくる結果だろう。
だが、事業所の認識する問題点としても、このうち従業員絡みの課題は上位に挙げられていたため、人的資源に関わる問題は運営・経営の両方にとって重大な問題、あるいはこの業に特有の構造的な問題と捉えることができそうだ。
入会低調による収益減を打開し、再成長へと向かうための地歩固め
以上、FIA「フィットネス産業基礎データ資料2007」を概観してみたが、入会者の減少による収益減という現実を認識するとともに、それをどうにか打開しようとするクラブ、企業の努力の跡が見てとれる。
損益分岐点を下げる努力とともにレギュラー会員の会費を落として入会者数を増やし、デイタイム会員などの会費は高めて、会費単価を少しでも上げようとしている。
さらに付帯収入も高める努力をして何とか客単価を引き上げ、売上高を高めようとしている姿が見てとれる。
また、新しい需要を掘り起こそうと小規模あるいはプールレスの中規模の新規業態に取り組んでいる様子も伺える。
地歩を固め、再成長に期そうとしているのである。
~ここまで~
運営課題の上位「新入会員の減少」、「施設管理コストの上昇」は、パンデミック以降の多くの既存クラブで同様に、上位に挙げられることと思われます。
一方で、近年の24Hジムや昨年からのチョコザップ進出は、人件費も含めた「施設管理コスト」を最低限に留めることで、利益を捻出するビジネスモデルであり、その点で現在は活況かつ優位に展開されているといえます。
ただ、いずれにしても、クラブ数が今後も増え続ける環境にあるため、「新入会員の減少」の課題は永遠のテーマであることには変わりありません。
お読みいただきありがとうございました。
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