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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論850」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第42号(2009.5.25発行)「不況に強いクラブになるために」1~※名称等は当時、一部文章省略

景気後退局面でのクラブ経営

昨年12月1日、全米経済研究所は、ついに米経済が2007年12月から景気後退局面に入ったと正式に宣言した。
現在、米国及び世界各国において、この状況の長期化が危ぶまれている。

フィットネスクラブ業界は、これまで比較的不景気の影響を受けにくいとされてきた。
フィットネス愛好者にとって、フィットネスは生活の一部であり、景気が悪化しても真っ先にフィットネス関連支出を抑えることはない、と見なされていたからである。

カナダのトロントとモントリオールでハイエンドのクラブ企業、ケンブリッジ・グループ(420坪から2200坪までのクラブ4店舗)を経営するクライブ・コールドウェル氏は、こうした見方は、少なくとも同氏のクラブの場合には当てはまるようだとコメントする。
「カナダでは不景気の影響をまともに受けているクラブもありますが、我々のクラブの2008年度の業績は良好でした。2009年に入ってからも、昨年を上回る実績を上げ、業績目標を達成しています。退会者数、新規入会者数とも問題視すべき傾向は見られません」と同氏は語る。

テキサス州ダラスでハイエンドのクラブ、テロス・フィットネス・センター(1700坪、会員2650名)を共同経営するブレント・ダーデン氏も、不況の影響は限定的だとする。
「我々のクラブは昨年夏、ダラス商工会議所より、ビジネス・オブ・ジ・イヤー賞を受けました。良い業績を上げたことも受賞の一因です。昨年の第3四半期の我々のEBITDA(利払税引償却前利益)は一昨年の同期を26%上回りました。昨年10月11月になって初めて、売上が頭打ちとなり、退会数が上昇傾向となりました。今年は、会費収入については昨年と同水準と予想していますが、パーソナルトレーニングをはじめとする付帯収入については上昇すると期待しています。とはいっても、伸び率は2桁には達しないでしょうが」と同氏は語る。

昨年12月に発表されたIHRSA第2四半期業績指標(インダストリー・インサイツ社による、米国の17のクラブ企業の経営状況調査結果をまとめたもの)によれば、調査対象クラブ企業の売上は、前年同期と比べて平均14%上昇(2007年第2四半期の平均売上1680万ドルから1910万ドルへと上昇)、会費収入も平均で12.6%上昇(1160万ドルから1310万ドルへと上昇)している。
IHRSAのリサーチ担当シニアマネジャーのケイティー・ロラウアー氏は「この数字は、景気の後退局面にあっても、フィットネスクラブ業界が着実に業績を上げる底力を持っていることを示しています」と語る。

しかしながら、こうした局面にあっては、ビジネスの内容を詳細に吟味し、きめ細かいプランニングを行っていくことが重要である。
ダラスでクラブインダストリー・コンサルティングを経営するステファン・サレット氏は「たとえ現在、ビジネスが好調であっても、この機会を捉えて賃料の値下げ交渉を成功させれば、利益率を向上させることができます。またこの時期だからこそ実現可能なプログラムもあることでしょう。景気が回復した時のことまで想定しつつ、綿密なプランを立て、実行に移していけば、他社が事業縮小している間も、成長への布石を打つことが可能なのです」と語る。

~ここまで~

日本のフィットネスクラブ業界も、これまで比較的不景気の影響を受けにくい事業とされてきました。

それは事業構造上、月間平均退会率が3%から4%に悪化することはあっても、一気に20%、30%へと上昇することはなく、売上の変動幅が他の業種に比べて少ないからです(入会者数もオープン時を除いて、一気に増えることはなく、増減とも変動幅が少ない)。

これらの傾向が崩れたのが、先般のパンデミックによるマイナスインパクトであり、一気に20~40%程度、会員数が減少してしまったことに対し、パンデミックが収まっても、早期に回復できないのは、上記の事業構造も一因です。

ただ、他の業種に比べて回復スピードが遅いのは、単に事業構造の問題だけではなく、記事にもある好調な時に何をすべきかといった点で、積極的な課題解決や自己変革を実行してこなかったからだと言えます。
パンデミック4年目の今年、他業種で過去最高益を出している企業のニュースが増えていく中、何となくうまくやってこれたという中途半端な成功体験がいまだ足かせになっていることが考えられます。

お読みいただきありがとうございました。

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