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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論596」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第18号(2005.5.25発行)「M&A、再び顕在化(成長する明治スポーツプラザ、参入する大和ハウス工業」1~※名称等は当時、一部文章省略

株式会社明治スポーツプラザが東京ガススポーツ株式会社の全株式を譲受することが決まった。
また大和ハウス工業が日本体育施設運営株式会社(NAS)の全株式(新株予約権を含む)を譲受することになった。
潜在的に進められてきたM&Aの動きが、再び顕在化してきた。

明治スポーツプラザ、成長へ大きな一歩
明治スポーツプラザと東京ガススポーツが一つになる。
株式を譲受する明治スポーツプラザは資本金9千万円、売上高13.5億円(平成15年度)、従業員数49人、運営施設4施設(直営)と、譲渡する東京ガススポーツの資本金1億円、売上高17.8億円、従業員数78人、運営施設5施設(直営3、受託2)と比べ、全てにおいてやや小さい。
だが事業会社の規模の大小はM&Aには関係ない。
問題は資源の「選択と集中」を進める親会社が投資先としてフィットネスクラブ事業をどう見るかだ。
親会社の考えるドメイン(事業領域)にフィットネスビジネスが含まれる場合は買収となり、含まれない場合は売却となる。

東京ガススポーツの親会社である東京ガスはエネルギーとその周辺事業領域に経営資源を集中的に投入したいと考えており、フィットネスビジネスをドメインには含めないと判断した。
一方、明治スポーツの親会社である明治製菓は、食薬兼業の強みを活かし、ヘルスケア領域での事業拡大・強化を目指したいと考えており、フィットネスビジネスをコア事業の1つとして位置付けているため、今回の株式譲受となった。
このM&Aにより明治スポーツプラザは一挙に売上規模30億円を超す業界の中堅企業となる。同社I社長は「新規店の計画も数店あり、今後さらに成長のスピードを速めて2年以内に50億円を超える売上規模になることを目指す」という。

東京ガススポーツは公共スポーツ施設の運営受託の実績・ノウハウもあり、また店舗も明治スポーツプラザの旗艦店がある川崎に近すぎず、遠すぎずのエリアに集中してあるため、明治スポーツプラザとしては十分なM&Aシナジーを得られると予想される。
明治スポーツプラザのI社長は業界・業種によく精通しているため、同社の今後の成長が楽しみである。

~ここまで~

最近のホットな業界ニュースとして、東急スポーツオアシス社の株式40%を、ルネサンス社が取得することとなり、業界大手同士の資本提携が実現しました。

これまでフィットネス業界では大きな景気変動に伴って、何度かM&Aによる再編が起こりましたが、パンデミックから3年経ち、その動きが活発化する最初の出来事と後から振り返ることになりそうです。

記事にある明治スポーツプラザは、その後2007年にフォレスタクリエーションが運営していた「スポーツスクエア」も買収しましたが、今度は逆に2013年に明治が、保有する全株をセントラルスポーツへ譲渡し、明治グループからセントラルスポーツのグループ会社となりました。

一時は親会社の考えるドメイン(事業領域)に含まれていたとしても、そうならなくなった場合、切り離されてしまう恐れが常にあるところが、子会社系業界企業の脆弱性の一つと言えます。

お読みいただきありがとうございました。

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