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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論339」

みなさん こんにちは アバター近藤です。

「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。

「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第4号(2003.1.25発行)「測定」6~※名称等は当時、一部文章省略

商品研究:測定

5.姿勢測定

株式会社ザ・ビッグスポーツでは2003年4月、大阪くずはに「Shisei & Sports Club ビッグ・エスくずは」をオープン(移転新設)する。

ここでは、入会時に同社がオリジナルで開発した姿勢測定システムで姿勢のゆがみを測定し、姿勢を調整できる運動プログラムを提供していくことを計画している。

そのオープンに先立ち、現在既存のくずは店で測定及びカウンセリングサービスが始まっている。

同測定システムは、測定したい人の直立姿勢をデジタルカメラで前面、両側面、背面、天井から撮影し、コンピュータに取り込むと手軽に正中線が引けたり、両肩や腰の高さの違い、ゆがみの角度などが簡単に測定できるようになっている。

さらに、両足にかかる圧力の違いもコンピュータで出力されるようになっており、重心位置から分析した姿勢のゆがみやアンバランスもチャートで見られるようになっている。

同社ではこの測定結果をもとに中庸姿勢法という片山賢氏が提唱する理論に基づいて、現在または将来予測される体調の不具合を説明、その人に合わせた姿勢調整法をアドバイスしていく。

同姿勢法を用いると、その場で姿勢の不具合がかなり改善されることから、高い信頼をその場で得ることが可能になる。

また、クラブでは自身の状況に合わせて姿勢を調整できるグループプログラムを提供して、継続利用に繋げていく考えである。

新たにオープンするくずは店では測定やアドバイスは無料で行う代わりに、月会費を12,000円に設定し、質の高いサービスとプログラムを提供していくことを計画している。

姿勢測定システムでは、カナダでもバイオトニック社が「フィットプリント」という姿勢測定システムを開発しており、米国24アワーズや同グループのカルフォルニアフィットネスでも導入が進められている。

この測定システムもデジタルカメラで前面、側面、背面から撮影し、そのデータをコンピュータに取り込むと、自動的に正中線から乖離する角度などが計算され、それをデータセンターに送信すると、折り返し矯正すべきポイントが表示されたレポートが送られてくるようになっている。

各ゆがみの数値だけでなく、姿勢を正しく戻すためにストレッチするべき部位や筋力強化する部位も図で示され、さらにそれに適したストレッチ方法やトレーニング方法までもが絵で示されたレポートになっている。

同システムはこれまでリハビリの分野で主に利用されていたが、診断までをシステムが行ってくれるため、診断結果を用いてパーソナルトレーナーが自身の指導に上手く導けるようである。

カルフォルニア州にあるクラブでは、同システムを導入後、パーソナルトレーニングの売り上げが20%増えたという報告もある。

同システムは成人の姿勢測定の他、児童用、妊婦用、中高年女性用などがあり、身体の成長段階や変化・特徴に合わせた測定とアドバイスが出力されるようになっている。

~ここまで~

現在も運営されている同クラブのHPを拝見すると、これらのコンセプトは強調されておらず、通常のクラブとほぼ変わらない様子に見受けられますので、恐らく反応する顧客ボリュームが少なくて、止む無く方針転換されたようです。

当時も特徴的なコンセプトは新鮮に映ったものの、経営的に成り立つのだろうかと疑問に感じたことを覚えています。

ただ、今であれば、その思想も理解できるものがあり、共感できますが、一般の方が「姿勢=健康にとって大事なもの」という認識を得ることが難しく、共感されづらいコンセプトであることが苦戦の要因かと思います。

その点で言えば、入口としてはダイエットや運動不足などの一般的にニーズを確実に満たすサービスを用意する中で、スペシャリティーとして上記のコンセプトをも包含することが求められていると言えるでしょう。

本日もお読みいただきありがとうございました。


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