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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論856」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第42号(2009.5.25発行)「CSは自分のために(商業アドバイザー・小柳剛照)」1~※名称等は当時、一部文章省略

世間では消費が冷え込んでいても、中には消費者が行列をつくる繁盛店があります。
業績低迷が当たり前のような時代でも、しっかりと業績を挙げている企業もあります。
衣料のユニクロ、家具のニトリ、それに開園26年目を迎えるTDR(東京ディズニーリゾート)などは、不況などまるで関係ないように、業績アップを果たしているものです。

もちろんそこには、ちゃんとした理由があります。
不況でも伸びている企業を見て感じるのは、商品力の素晴らしさと同時に、従業員の素晴らしさです。
消費者には「飽きる」という習性がありますから、品揃えの充実だけでは、知らず知らずのうちに満足度が低下する恐れがあります。
でも、従業員の接客力の充実は、何度利用しても、いつも同じように心地よいものです。

企業にとって商品力は大切。
でも、それ以上に大切なのは従業員と言えそうです。
それがCS(顧客満足)の要なのでしょう。
ただ、CSというと、「お客さまのために、とことん尽くすこと」と考えがちですが、そうではなく、自分自身の納得のため、という発想もありそうです。

従業員視点がCSの基本

「株式会社ホンダオクリオ新神奈川」(現社名:Honda Cars中央神奈川)は、ホンダクリオ系列で何年も連続して、顧客満足度で全国ナンバーワンを達成してきました。
そして2004年には、名だたる大企業でもなかなか受賞できない「日本経営品質賞」を受賞。
CSレベルの高さが、全国的に評価されたものです。

「株式会社ホンダオクリオ新神奈川」は、1969年に、A社長が社員3名で設立した「ホンダセンター湘南」という小さな会社からスタート。
かつて、自動車産業はクレームが多く、その対応に追われることが、常に頭痛の種でした。
そこでA社長は、「まずは徹底してお客さまの声を聞いてみよう」と決心しました。

アンケート調査をとことん実施して、お客さまのホンネの声を収集。
そうするうち、実はお客さまは弱い立場であり、クレームも元々は理不尽なものではない、と思えるようになりました。
そういう視点に立てた時、「CSはお客さまのためではなく、自分のためである」という信念が生まれたのでした。
そこから、従来の自動車会社にはない販売スタイルが次々生まれました。

~ここまで~

いつもの通り、具体例は次回に譲るとしまして、トレーナーによるフィットネス指導・サービスを主たる商品としている当社は、お客さまの「飽きる」という習性とも対峙していく必要があると記事を見て、改めて思いました。

トレーナーが定着することにより、指導レベルが向上していくことは、肌感覚で実感できていて、頼もしいことではありますが、運営期間を重なれば重ねるほど、「飽きる」という要素も確かに醸成されていくだろうことは推測できます。

実際に、当社直営小型クラブは、同業他社に比べ低退会率ではあるものの、独自の統計データを毎月、追っていく中で、在籍数年のベテラン会員様がパラパラとお辞めになる様子も見受けられるようになりました。

長期間継続されている会員様は、成果が出ている方も多いわけですから、新規で入会された方よりも、その幅が漸減していくのは自然とも言えます(ダイエットで例えると、初めの減少率は成果が出れば、大きいといったことです)。

ただ、それを「成果が出たことによる卒業」と安易に受け入れてしまっては、緩やかに抜け続ける流れは断ち切れません。
その意味で、「飽きさせない」工夫ということについて、運営年数を重ねたクラブほど考えていかねばならないと感じた次第です。

お読みいただきありがとうございました。


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