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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論725」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第28号(2007.1.25発行)「2010年までにフィットネスクラブ会員1億2千万名突破を実現するために」1~※名称等は当時、一部文章省略

1.アカウンティング(財務会計)の基礎~知っておくべき指標

IHRSAでは、2010年までに全世界のフィットネスクラブの会員を1億2千万人にするという業界目標を設定している。
この数字は当初設定した1億人という目標を上方修正した非常に高いハードルではあるが、この数字に込められた我々の思いは、最初に目標を設定した時と変わらない。
我々は世界の出来るだけ多くの人々が健康的なライフスタイルを送り、人生を謳歌することを願っているのである。
しかしながら、この目標を達成するのは簡単なことではない。
クラブの経営者の方々にはビジネスの基本を今一度おさらいしていただき、会員獲得・維持のスキルに磨きをかけ、既存の需要と新規の需要の双方にバランスよく応えながら力強い成長を続けていっていただきたい。

その一助として、本稿では、代表的な財務会計の用語と、それらが実際のビジネスで持つ意味について簡単にまとめることにした。
ここに挙げる用語や指標は、健全なクラブ経営のためには必須の知識であり、IHRSAの目標達成の可否も、こうした基本をクラブ経営者の皆さんがきちんと押さえているかどうかにかかっている。
クラブを開発し、資金を調達し、投資家を募り、業績をモニターし、結果を評価するというプロセスのそれぞれの段階で、こうした用語や指標が我々の道しるべとなるのである。

EBITDA
EBITDAとは、金利・税金・償却前利益を指し、売上高に対するEBITDAの比率を分析することで、個々のクラブの業績を以下のように分析できる。
・15~20% 合格点
・20~25% 良い
・25~30% 大変良い
・30%以上 非常に良い

EBITDAR
EBITDAからさらにRent(賃貸料)を差し引いたもの

流動比率
流動比率とは、クラブが固定資産を売却することなしに支払える能力がどの程度あるかを示す比率であり、以下の式により算出する。
・流動比率=流動資産÷流動負債

負債比率
負債比率は、良く知られた財務指標の一つで、負債額を自己資本で割って算出する。
独立系のクラブや、小さなローカルチェーンのクラブ企業は、地元の金融機関から融資を受けるケースが多いが、こうした場合、個人がその借入金を担保することが求められる。
新規にクラブを開発する場合には、この負債比率は通常65:35から75:25の範囲にある。
つまり、自己資本1ドルに対して、2~3ドルが融資されている。

~ここまで~

日本のフィットネス企業は、欧米に比べ、全体的に事業スケールが小さいため、上記のような財務指標をこと細かくモニタリングするビジネス習慣が弱いと言えます。

また、小売業などと違い、会費売上がほとんどを占めることで、日銭の売上を気にすることなく運営できてしまう事業構造も、そのような無頓着な経営感覚を助長してきたのかもしれません(支出も固定費中心で変動が比較的少ないこともある)。

ただ、今回のパンデミックで、これまで無かったレベルでの会費収入の大幅減や売上途絶を経験し、否が応でも流動資産の確保や負債額の健全性を意識したかと思います。
その意味で、この機会はプロフェッショナルな財務戦略を構築する上で、活かすべき教訓であると考えます。

お読みいただきありがとうございました。

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