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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論848」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第42号(2009.5.25発行)「スタッフからの声掛けが会員定着に有効ー英レジャー・データベース・カンパニー調査報告」1~※名称等は当時、一部文章省略

2009年3月にサンフランシスコで行われたIHRSAコンベンション特別セッションにおいて、ポール・ベッドフォード氏(レジャー・データベース・カンパニー)が、イギリスで行われた会員定着に関する調査研究の結果について発表した。
この調査からは会員の年齢や性別、会費設定といった条件よりも、「スタッフが1回でも声を掛けること」が会員定着に大きく貢献することが分かり、クラブにおけるコミュニケーションの重要性が改めて浮き彫りとなった。

年齢、性別よりも「コミュニケーション」

今回の調査はイギリスで2006年から約1年間に渡り、大手チェーンから中小独立系を含む507クラブ、約30万人の会員を対象に行われたもので、会員定着に関する調査としては最大規模である。

まず、性別による退会率の調査では、男女間で退会率に大きな違いはなかった。
年齢別の調査では退会率と会員収入に違いが見られ、最も退会率の低い45歳以上と最も退会率の高い24歳以下のグループを比べると、前者の方が1人当たり年間58ドル高かった。

次に入会者向けサービスが会員定着にどのように影響するかを調査したところ、通常のオリエンテーション(60分)に3回の無料エクササイズレッスン(30分、20分、10分)を行ったグループ(A)は、通常のオリエンテーションのみのグループ(B)に比べて定着率が高いことが分かった。
月間平均退会率は、グループAが2.43%、グループBは7.76%で、これを会員1人当たりの年間会費収入に換算すると、100ドル以上の開きがあった。

なお、この無料セッションの内容は基本的なエクササイズの説明と指導のみで、3回のセッションは毎回異なるスタッフが担当した。
この調査からは会員の性別や年齢よりも、入会初期に受けたセッションの回数、すなわちスタッフとのコミュニケーションの頻度が会員定着に影響を与えていることが分かる。

~ここまで~

入会初期2ヶ月間の会員フォローの程度が会員定着に影響を及ぼすことは、日本のこれまでの各種データでも示されており、記事の規模感において同様の結果が出ていたことで、さらにその確度を確認することができます。

さらに日本人は、セルフモチベートしてエクササイズを習慣化できる比率は低いと経験則で強く感じておりますので、より一層、きめ細やかなフォローが本当は必要なのだと思います。

そう考えますと、業界全般でパンデミック以降に加速化したバーチャル化、オンライン化、無人化の流れは、その裏付けから完全に逆行する行為であり、会員定着度合いは明らかに下がることが容易に想像できることになります。

お読みいただきありがとうございました。

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