見出し画像

10月30日(月):大豆ミートの行く末は

先般の日経新聞には味噌製造大手のマルコメなどの5社が東京都内で「日本大豆ミート協会」の設立記者会見を開いた旨の記事がありました。

同協会では大豆を原料にして味や食感を肉に近づけた食品の普及を担い、2022年に制定された大豆ミートの日本農林規格(JAS)の見直しなど、業界のルール作りも進める意向です。

昨今の健康志向の高まりや、人口増加にともなう世界的なたんぱく質不足への懸念、畜肉に比べて生産過程での環境負荷が低い大豆ミートは重要なたんぱく源として位置づけが高まりつつあります。

植物由来の「プラントベースフード」への関心は世界的に高まっており、日本能率協会の調査によれば、2019年度に15億円だった大豆ミートの国内市場規模は2025年度には40億円になる見通しです。

その一方で海外ではプラントベースフードの認知は広がっているものの、市場の伸びは必ずしも順風満帆とはいっていない様子です。

今週号の日経ビジネスには「環境に優しい肉のまずい現実」と題した記事があり、内容は米国での代替肉市場について触れたものです。

それによれば米国の小売店での販売額は2023年に1割近く減る見通しで、関連企業の株価はピーク時の25分の1に落ち込んでいる状況だといいます。

その根本的な要因は「味や食感が消費者の求める基準に達していない」との指摘です。

環境に良かったとしても「高くて美味しくないものを買い続けることはできない」というのは、確かにその通りだと思います。

環境負荷が低いという社会的な意義はありつつも、日々の消費に関してはそれだけでは支持が得られない、ということでしょう。

「正しさ」だけでは広がらず、食事における中核的価値である美味しさの欲求を満たしていくことが先決なのかもしれません。

日本で新たに立ち上がった「日本大豆ミート協会」や、今後の取り組みが上手く進んでいくかどうかは米国での先行事例を反面教師にして、日本では納得感のあるものをつくっていくことがポイントになりそうです。

宜しければサポートお願い致します!