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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論428」

みなさん こんにちは アバター近藤です。

「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。

「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第7号(2003.9.25発行)「業態の研究」22~※名称等は当時、一部文章省略

Ⅲ業態の分析

(5)パブリック系のフィットネスクラブ(ワンコイン型時間制コンビニエンスクラブ)

前出のポジショニングマップの第4象限には、一般的なフィットネスクラブと同様か、それ以上にフィットネス初心者に適応する施設アイテム・サービスを提供しながらも、料金システムに工夫をこらして低料金で参加できる業態をとるクラブ群がプロットされている。

誤解を恐れずに言えば、これらのクラブはソフィスティケートされた公共施設のようである。

これからフィットネスを始めようとする誰に対しても優しい受け入れ態勢を取っている。

商いのスケールは大手チェーン他が展開する業態のそれほど大きくないが、小さいながらも「個性」を発揮して成功裡に事業を行っている会社が多い。

ここでは「15分100円のフィットネスクラブ」として知られる「ジョイフィット」に代表されるワンコイン型時間制コンビニエンスクラブをモデルにその業態について探ってみる。

事業スキーム

地方中核都市のロードサイドにある延床面積300~400坪程度の空き地商業店舗(駐車場150~200台付帯)ー家電量販店やパチンコ店、ファミリーレストランなどーを低コストでジム・スタジオ型のクラブに改装し、「15分100円」という利用料で使えること(ジョイ会員)を地域に広くアピールし、フィットネス初心者の参加意欲を刺激して集客。

入会時及び入会後に3,000~4,000円程度の月会費の会員種別(フィット会員)への移行を勧め、安定的な売上を確保した上で、ローコストマネジメントを徹底し、一定の収益を確保していくのが基本的な事業スキームである。

ジョイ会員とフィット会員の利用者数割合は約8:2であるが、売上高割合は逆転し、およそ2:8となる。

事情収支構造は通常月商1,000万円に対し、毎月700~800万円の経常支出で回していくというものである。

出店基準

出店立地は周辺の居住人口が15万人以上の地方中核都市・ロードサイド(生活道路沿い)の駐車場付き空き商業店舗を狙う。

できる限り有利な賃貸借条件で契約し出店する。

限界家賃は5,000円/坪/月まで。

売上構成比率では15%程度に止めることが大事となる。

売上高に応じた変動家賃にできればベスト。

リスクを大きく軽減できる。

~ここまで~

ジョイフィット系のクラブは、その後、時間制を無くし、月会費制に移行しているのが実際のところです。

それは記事の利用者数割合と売上高割合の逆転現象から理解することができます。

パンデミック以降、未利用者・低利用者が大量離脱し、回復がままならない業界全体の傾向にも通じますが、実はヘビーユーザーではなく、未利用者・低利用者の月会費によって利益が支えられている事業構造であるからです。

つまり、低利用者とも言える、時間制会員に対して、利用時間相応の料金で提供することは利益原資を逸失していることであり、そのことが事業リスクに繋がったと考えられます。

そして最近では24Hジムでも時間課金制をとるクラブがあり、同じ道を辿る可能性があると思われます。

ただ、本来はこの未利用者・低利用者に頼った収益構造への考え方自体を変えない限り、ユーザーオリエンテッドなクラブは創出できませんので、早くそのようなクラブが主体となることを業界人として願わずにはいられません。

本日もお読みいただきありがとうございました。


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