「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論550」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第15号(2004.11.25発行)「スイミングクラブの成長戦略」23~※名称等は当時、一部文章省略

Ⅲ成長クラブの事例研究

事例研究7「綿密な資金計画とデータ分析、創造力と変化対応力で進化を続ける」(株式会社釧路スイミングクラブ「アクアトピア」)

こうして幾度もの経営危機を乗り越え、キャッシュにゆとりが生まれてくると、そこからは積極的な投資に回った。
第3セクターの施設との競合で優位が得られた平成10年頃からは毎年数千万円単位の再投資を行い、施設を段階的に拡張してきた。
平成12年には6億円を投じて総合施設を建設、平成16年の6月には「女性専用駐車場」として、1台分の駐車スペースを広めにとり、植木に間接照明を当てておしゃれに演出した駐車場も設けた。
現在までの総投資額は13億円にものぼる。

F氏は会社を成長させていく上で欠かせないこととして「慎重な資金計画」を挙げる。
「過大投資は金利負担を増大させ、結果的に積極的な再投資やソフト開発ができなくなります。常に経常収支とキャッシュフローを睨みながら、過度な負担が掛からない範囲で投資を繰り返すことが重要です。」
F氏の手帳には「減量プラン」というページがある。
ここには経営危機が訪れた時に削減できるコストが優先順位順に書かれている。
F氏は「経営環境に変化はつきもの。それに即座に対応できるように準備しておくことは経営者として非常に大事なことです」とも話している。

また、自ら変化し続けることの重要性も強調する。
冒頭にも書いたが、同クラブにはスパと呼ぶ温浴エリアもあれば、ピラティス用リフォーマーやサーキット用マシンライン、スピニングマシン、ストレッチマシンなど最新の設備が揃えられている。
F氏は毎年、米国を年2~3回訪れては新しいアイテムやプログラムのヒントを得て、それを次々に導入している。
グループプログラムに関しては「3人集まれば成功」と言い、自身でも積極的にプログラム開発してきている。
「アクア・ボール」に続き、今年3月のIHRSAで見つけた水中運動のツールを仕入れ、現在これを使ったプログラムを商品化するべく、名称やクラスの構成を考案中である。

F氏はもう一つ、小さな町でクラブを成長させていくために大切なこととして「地域の人とのネットワーク」を挙げる。
医療機関や学校、役所との交流である。
例えば同氏は地域の医師と知り合うたびに「患者を紹介しますから」と話す。
「小さな町では医師も(顧客となる)患者を必要としていますので、こちらから紹介しますよと話すだけで、信頼して貰えていい関係が作れるのです。」と言う。

今後の成長への課題については「いかに多品種・少量生産に対応していけるか。マーケティングの基本に立ち戻り、誰に対して何をどのように売るのかを明確にし、持っている資源の中でその強みを活かしていくことが重要だと思います。」と話している。

~ここまで~

前回触れた、現在の業界ブームは24Hジムということで、その特徴は差別化要素が少なく、低価格競争に陥る可能性大ということを示しました。
また、その中での多アイテム化は、記事の事例とは違い、逆に首を絞めかねないとも指摘しました。

そういった中での生き残り策として、最後の文面が参考になるのではないかとアバター近藤は考えます。
24Hジムの出店エリアは現在、総合型やジムスタ型クラブでは成立しづらい地方の町にもどんどん進出しており、そのような小商圏では地域社会との繋がりがより求められるからです。

これまで日本のフィットネス業界はどちらかと言えば、直接、マーケットと対話をすることが多かったですので(主に広告宣伝で集客する)、この辺りの意識転換が会社の大小、業態関わらず、今後ますます重要になってくると感じております。

お読みいただきありがとうございました。

※株式会社フィットネスビズは現在、社員募集中です。詳細はコチラ↓ 


宜しければサポートお願い致します!