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2月4日(日):書籍「諦めないオーナー」 パ・リーグ3連覇につながる変革

本日は週末なのでスポーツに関連した話を少しばかり。

先週の日経ビジネスでは「新刊から」のコーナーで書籍「諦めないオーナー プロ野球改革挑戦記(宮内義彦著)」を取り上げたインタビュー記事の最終回でした。

近年のオリックスはパ・リーグ3連覇を果たしたのはもちろん、WBCで優勝した日本代表にも多くの選手が選出されるなど、日本球界内でのプレゼンスは大きく高まっています。

現在に至る背景として即戦力の大型補強に依存することをやめ、時間がかかったとしても将来有望な選手をじっくり育てることを優先して考える方針への転換があげられていました。

それによって球界を代表するような選手が生え抜きから次々と生まれるようになり、持続性のある好循環のチーム作りができているといいます。

チーム数が限られていて最下位でも降格なし、自由な移籍市場もない現状の日本のプロ野球の枠組みを考えれば、チーム内での育成を充実させるのがもっとも理に適っていると思います。

私は自分が長年サッカーをやってきて、見るスポーツもサッカーが中心ですが、欧米やJリーグだと、やはりこうはいきません。

試合に勝てずにチームの順位が低迷すれば、下位のカテゴリーへ降格を余儀なくされ、降格をすればスポンサーの撤退、良い選手の流出、観客動員数の低下など、負のスパイラルに陥る懸念があります。

そのため育成を充実させながらも、目の前の試合でも着実に結果を出すことの両立が不可欠になってくる難しさは段違いです。

だから結果が出なければ監督がわずか5試合程度で更迭になってしまうこともあるシビアさにもつながっています。

でも日本のプロ野球の場合は前述したように降格も選手の流出もないから、育成に重きをおいたシーズンを過ごすことだって可能です。

事実、オリックスでも2015年から2020年までの6シーズンはすべてBクラスで、そのうち3回が最下位という時期がありながらも、そこで腰を据えて取り組んだからこそ、3連覇につながる基盤ができたのだと思います。

もちろん、どのチームもスカウティングと育成を行っているわけですが、信念をもってそこのクオリティを引き上げていけるかどうかが違いを分けているのかもしれません。

また、それをあわせてオーナーの姿勢と野球への理解も大事なのだと思います。

誌面ではオーナーが自身を振り返って以下のように述懐をしている箇所がありました。

「野球のことを考えるとき、ついつい『親会社から見た野球』を考えてしまう。野球に関心があったとしても、『親会社のビジネスにどう利用しようか』という方向に頭が行ってしまい、『野球ビジネス』として捉えない。野球そのものを何とかしようとは考えない。私はずっとそうでした。それでも、あるときから『これはやっぱり違うな』と思うようになった。野球そのものを考えなければいけないとなるまでに、相当長い時間がかかっていましたね。この考えにたどり着けたことは、私にとっての大きな財産です。一人のオーナーとして自身のチームだけをどうするのかを考えるのではなく、プロ野球全体、ひいては野球界を応援してくださる層をどのように拡大していくかが最大の課題ではないか。そう思えるようになったからです。」

前半部分はかつての経験からオーナーが陥ってしまう考え方を率直に吐露すると同時に、そこからの転換としてのあるべき姿が示されています。

このように考えるオーナーであれば、そのチームの経営と現場の歯車もかみ合っていきやすいでしょうね。

また野球界全体のファンをどう拡大していくのかは傍目にみても課題なのだと思います。

前回のWBCで日本が優勝をした結果が物語っているように、選手個々が持つポテンシャルは世界でも指折りです。

まだ世界のトップに立ったことがないサッカーからすれば、これは限りなくスゴイことでしょう。

そんな特大のポテンシャルを秘めていながらも、国内で野球人口が減ったり、ファンが増えていかない現実があるのだとすれば、それは野球界の枠組みに問題があると捉えるのが自然です。

同じプロスポーツ機構でもサッカーやバスケで段階的に変革が進んでいるのに対して、野球では硬直したままに映るので、これから野球界も可能性が広がる方向に変革が進んでいけば良いと思っています。

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