見出し画像

「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論728」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第28号(2007.1.25発行)「2010年までにフィットネスクラブ会員1億2千万名突破を実現するために」4~※名称等は当時、一部文章省略

2.いかに会員を獲得し維持するか

退会者を減らすための9つのヒント
以上のような要因を踏まえた上で、退会率を減らすにはどうすればよいのか?
まず個々のクラブが3年間で5%退会率を引き下げるという数値目標を立て、その達成に邁進することが重要だと思われる。
その目標達成のためのヒントを以下に列挙していきたい。

1.近年、大都市圏のクラブが退会率の引き下げに成功している。
IHRSAが追跡調査している200の多目的フィットネスクラブの年間平均退会率は過去2年で38%から34%へと低下している。

2.トレンドリーダー的な存在である多くのクラブが、シンプルで費用対効果の高い定着策や手法を導入していおり、退会率35%以下を達成している。
これらの仕組みや手法は、新規入会促進や会員による紹介の促進、パーソナルトレーニングなどの付帯収入の増加にも大きく貢献している。
このような成功例を見ると、定着手法自体は既に確立されつつあり、あとはその実践のみであるということが明らかである。
すなわち会員定着は、未開拓の荒野ではなく、やるべきことを実践するだけのことなのである。

3.近年、50歳以上の会員が増えている。
この層は、クラブにとって最も定着率の高い層でもある。
すなわち、この層の会員が増えることで、自動的にクラブ全体の定着率が押し上げられることが期待される。

4.過去の定着プログラムの多くは、クラブの利用頻度が落ちてきている会員に対してクラブの利用を促進する、というような事後フォロー的なものであった。
今日業界の焦点は、入会後の最初の90日間にどうやってクラブの利用をライフスタイルに組み込んでもらうか、という点に移っている。

5.近年、多くのクラブが、スタッフや経営層の賞与を、会員定着への貢献度合いと連動させるようになってきている。

6.多くの業界コンサルタントたちが、高い退会率をカバーするために強引な売り込みを行う様なビジネスのあり方に警鐘を鳴らしている。
それを受けて、セールス主導型のクラブでも、会員定着に目を向けるようになってきている。

7.既存会員を維持するコストは新規会員の獲得コストの何分の一かで済む。
この事実をもとに、多くのクラブが会員の定着プログラムにより多くの予算を割くようになってきている。

8.近年、クラブは様々な付帯収入を得るようになり、会員単価を如何に最大化するか、ということにフォーカスするようになってきている。
会費以外の付帯サービスの利用が多い会員ほど在籍期間も長い、という事実もある。
同様に、売上に対して付帯収入が占める割合が高いクラブほど、会員定着率が高いことも明らかになってきた。

9.パーソナルトレーニングのマーケットがここまで大きくなるとは誰も予想できなかった。
パーソナルトレーニングのビジネスに成功しているクラブは一様に会員定着率が高い。
しかし、これは考えてみれば当たり前のことである。
前述した通り、クラブの会員はクラブを利用すればするほどそこに価値を見出す。
会員にとって、クラブの価値とはいくらお金を払っているかではなく、どれだけクラブを利用しているかにかかっている。
定期的にクラブに通い、パーソナルトレーニングを通じてスタッフのアドバイスや応援を受けているような人々は、クラブにとって最も忠誠度が高く、沢山の出費をしてくれる重要なお客様なのである。

~ここまで~

当社小型クラブの年間平均退会率は1~2%で推移していて、まさに定着志向型クラブであり、上記記載のかなりの部分が当てはまっています。

いまだ多くのクラブは、4にある「利用頻度が落ちてきている会員に対してクラブの利用を促進する事後フォロー」という段階に留まっており(それすらやっていないクラブも多いが)、当社クラブでもその段階に陥ってしまった会員様に復帰を促すことが容易でないことは十分理解しております。

従って、早めにその兆候を察知して、その段階に至る前に適切なフォローをすることになりますが、やはり個別の利用状況の推移を追うことが基本です。
その点で、スクール制は把握しやすく、だからこその利用システムとも言えますが、大型総合クラブにおいては、今こそAIやDXを使って、フォローする仕組みを構築すべきだと思います。
これらの技術は、会員定着に優先使用すべきであり、単なるコスト削減の手段ではないと捉え直す必要が該当企業にはあると考えます。

お読みいただきありがとうございました。

宜しければサポートお願い致します!