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4月10日(水):「心理的安全性」と「キャリア安全性」の両立へ

昨日は日経新聞のコラム「NEO-COMPANY モードチェンジ」における「ホワイト企業はモーレツに敗北 働きがい高めプラチナへ」と題した記事のことを取り上げました。

こちらは「働きやすさ」だけに傾倒していく空気の危うさを問うたもので、「働きやすさ」と「働きがい」の両立を図っていくことが今後の課題だと示唆しています。

前述の記事では働きやすさは高いが、働きがいは低い企業を「ホワイト」、逆に働きやすさは低いが、働きがいは高い企業を「モーレツ」、両方とも低い企業を「ブラック」、そして働きやすさに働きがいも加わった「プラチナ」企業に分類して簡易的に業績を比較していましたが、「働きやすさ」と「働きがい」が大事になってくるのは業績だけではありません。

この点は良い人材の定着にとっても同じことがいえます。

昨年11月に出版された書籍「なぜ『若手を育てる』のは今、こんなに難しいのか “ゆるい職場”時代の人材育成の科学」(著者:古屋星斗)の帯には、「きつくても、ゆるくても、辞める。褒めても不十分・・・では、どうする?」との文言が掲載されています。

本書では単に働きやすさだけを形式的に整えた「ゆるい職場」では、若手が辞めていってしまう現状とそこにある問題点に触れていました。

こうした状況への処方箋に挙げられていたのが「心理的安全性」と「キャリア安全性」であり、換言すれば「働きやすさ」と「働きがい」ということになるでしょう。

書籍内では若手を対象にしたアンケート調査の結果が数多く掲載されていましたが、そのなかのひとつに心理的安全性と在職意向を確認したものがありました。

心理的安全性が「上位」「中位」「下位」の3区分で、在職意向は「すぐにでも退職したい」「2~3年は働き続けたい」「5年以上は働き続けたい」の3つです。

この結果は見事なまでに相関していて、心理的安全性が低いグループでは「すぐにでも退職したい」が39.5%、「2~3年は働き続けたい」が26.3%と、3年ほどでの退職意向が65.8%に達しています。

これを見ても明らかなように心理的安全性が欠如した職場環境では長く働きたいと思う人は少数ですから、これ自体はもはや必須なものだといえます。

ただ、心理的安全性は担保されていても「ゆるい職場」に不満で退職を考える層もいて、そうした人に必要なのがもう一方の「キャリア安全性」です。

同書ではキャリア安全性について「その職場で働き続けた場合に、自分のキャリア選択権を保持し続けられるという認識」と定義されています。

こちらのキャリア安全性でも、その「上位」「中位」「下位」の3区分と、「すぐにでも退職したい」「2~3年は働き続けたい」「5年以上は働き続けたい」という在職意向をヒアリングした結果が出ていましたが、これもまたキャリア安全性の実感と在職意向は同様な相関を示していました。

その意味で人材定着に向けても「働きやすさ≒心理的安全性」と「働きがい≒キャリア安全性」の両立が大事になるだろと思います。

明日はキャリア安全性についての補足をする予定です。

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