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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論313」

みなさん こんにちは アバター近藤です。

「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。

「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第2号(2002.9.25発行)「インストラクターの時代」4~※名称等は当時、一部文章省略

2.インストラクターの時代

ではインストラクターの本質的な役割とは何だろうか。

最も重要なインストラクターの本来業務とは、顧客が達成したい目的を、快適かつ安全なエクササイズやトレーニング、カウンセリングなどといった手段によって叶えるお手伝いをすることとは言えないだろうか。

ここで言うお手伝いには具体的な手段の提供とともに、そこへの自然な誘導といったことも含まれる。

つまり、インストラクターには、その顧客はどんな方なのか、その顧客の目的は何なのかといったことを把握した上で、最適な達成手段を案じて、それを上手く提案、誘導していく能力が求められることになる。

顧客の目的はいくつかに集約できるが、その達成手段はまちまちである。

というより、顧客自体は、どんな達成手段が適切か気付いていない場合の方が多い。

だから、インストラクターは一人ひとりに対して「気付き」を与えた上で、導いていくことが必要になる。

個人または少数の方々に高い価値を提供し続けるには、相応の対価をいただく必要がある。

対価を得られる手段となると、まずは顧客の強い達成欲求があるものに限られよう。

例えば、それは肥満の方のダイエットであったり、バレエに憧れている方にそれを習って舞台デビューを飾っていただくことであったり、定期健診で「イエローカード」を貰った方に対する症状改善の処方であったりする。

数年前まではこうした顧客の一つひとつの高いニーズに、きめ細かく対応する商品・サービスがないとは言えないまでも少なかった。

今はそうしたニーズをある程度、捉える商品・サービスが整えられつつある。

即ち、先の例に対応するものを挙げれば、「有料ダイエットスクール」であったり、「バレエ教室」であったり、「パーソナルトレーニング」であったりするわけだ。

こうした手段を本部のサポートを受けながら、最前線のインストラクターが徐々に提供できるようになってきている。

自分の持ち味が正々堂々と発揮でき、しかもやったらやっただけ報酬が得られるため、やりがいが出る。

顧客も喜んでお金を払う。

クラブも定着率向上、付帯収入増、場合によってはインストラクターの人件費負担減といったメリットまで得られる。

つまり、インストラクターだけでなく、顧客にとってもクラブにとっても好ましい「三方一両得」の状況が生まれようとしているのだ。

この状況を育てて米国の優良クラブのようにパーソナルトレーニングや有料プログラムを始めとした付帯収入比率を売上全体のおよそ3割、あるいは売上高でおよそ1億円といったレベルまで高めていけるかどうかは、私たちクラブの当事者らにかかっている。

そのポイントについては後述することにして、次には、今見える未来、つまり今少しずつ開発、提案、提供されつつある商品・サービスの「芽」にどんなものがあるのかをみることにしたい。

~ここまで~

パンデミック前まで、欠陥として表出されなかった上記の流れは、現在であれば、ハッキリと指摘することが出来ます。

もちろん内容自体は何ら問題なく、その通りと言えますが、そこに抜け落ちていたものがあったから、現在多くのクラブがいまだ2019年以前の状態に戻れないと言えます。

それは端的に言うと、上記の考えを、普通に通っている会員様に対して提供できる仕組みを構築してこなかった点にあります。

つまり、お金を余分に支払っていただければ、その解を提供しますというスタンスが実は「三方よし」ではなかったということですね。

顧客は1万円前後の会費を支払って、個別に抱える問題解決をしたい訳ですから、そこを疎かにしてしまっては、元も子もないということです。

この本質的な問題について、当時の経営環境では許されたかもしれませんが、ニューノーマル時代には存続を脅かすほど思考の転換が求められる重要なイシューと言えるでしょう。

本日もお読みいただきありがとうございました。


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