「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論423」
みなさん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第7号(2003.9.25発行)「業態の研究」17~※名称等は当時、一部文章省略
Ⅲ業態の分析
(3)トレーニング(ソリューション)系のフィットネスクラブ~ハンズオンでソリューションを提供できるクラブ
強みの源泉
この業態の強みは、一般的なクラブと異なるターゲットに絞り込みを効かせて、その顧客が満足する高い価値を、低コストで提供する仕組みにあるだろう。
マイケル・E・ポーターのいうところの「差別化集中」戦略をとっているのである。
ただポーターも指摘している通り、「差別化集中」以外の要素もできる限り一般的なクラブと近接するレベルまで整えていかなければならない。
それができていることが強みの一つとなっている。
例えば賃料のコントロールや後述するパーソナルトレーナーの活用にそれが伺える。
同業態のクラブが一般的なクラブと違った差別的優位性を備えられることの背景にある次に示す要素が上手く重層して同クラブの魅力や強みとなっているのである。
①大型のジム
一般的なクラブが備えない150~250坪という広いジムを備えている。
ここには充実したフリーウェイトに加えて、ビルダー垂涎のマシンが数多く置かれている。
レイアウトも実に巧みでトレーニングするメンバーのモチベーションが自然に高められるように効果的にマシンが並べられている。
例えばミラーに向かって並べられた複数台のスクワットラック。
これを利用するメンバーたちはミラーに映る他のメンバーの挙上姿勢やウェイトの総重量をチラリと見て刺激を受けるようになっている。
ゴールドジムは「シリアスフィットネス」や「リゾルトフォーエブリバディ」をキャッチフレーズとして掲げているが、ジム内にはまさに各々のメンバーが真剣にトレーニングして成果を出そうとする空気が流れている。
この業態の一番の魅力はこうしたメンバーが作り出す「緊張感」かもしれない。
ジムが広いということは、メンバーのその日のトレーニングスケジュールにボトルネックを作らないというメリットも生む。
一般的なクラブでは、トレーニングが中断されストレスが溜まることもあろうが、この業態のクラブならばその心配はない。
例えばメンバーが「今日は40分。上半身だけ」と決めたら、その通り、快適にトレーニングができるわけである。
②プロフェッショナルなスタッフ
特に有能なパーソナルトレーナーを多く配置している。
これはプロフェッショナルが多く集まる仕組みにしているからだ。
ゴールドジムではパーソナルトレーナーとクラブとの契約条件として一般的なクラブのような歩合制を採っていない。
トレーナーは登録料を月あたり1万円だけ払えばよいだけにしている。
つまり「やったらやっただ分だけ自分の報酬になる仕組み」(T社長)にしているのだ。
だからいいトレーナーが集まるわけである。
クラブ側のメリットはそれだけではなく、優れたパーソナルトレーナーが社員スタッフの代わりに新規入会者の指導をしてくれたり、さらに自店のサプリメントを勧めてくれたりすることもある。
③ブランド
やはり「ブランド」の力は大きい。
「ゴールドジム」のブランドは同クラブがターゲットしている顧客層に鋭く訴求する。
専門特化した業態のため「標準的なクラブ」に入会している既存のクラブ会員がもう1つのクラブ(セカンドクラブ)として入会することも多い。
~ここまで~
プロフェッショナルという言葉は誤解を生みやすいので、ここで言っている意味は、主に筋トレ指導ということで理解した方が良いと思われます。
プロフェッショナルとは本来、相手の望む状態を実現した結果、相応の対価を得られる能力があるということです。
従いまして、その範囲は広範に渡るため、この業態のクラブにフィットするスタッフが集まりやすい環境を整えたという意味合いだと思います。
もちろんビルダー等のシリアスユーザーを納得させるための自己啓発努力は素晴らしい一方、運動が苦手な方・嫌いな方に対して習慣化を促すプロフェッショナルな方が、遥かに難易度は高いのではないかとアバター近藤は考えております。
本日もお読みいただきありがとうございました。
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