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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論868」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第43号(2009.7.25発行)「ロマンとそろばん(商業アドバイザー・小柳剛照)」2~※名称等は当時、一部文章省略

そば好きに愛される店

お客さまに愛される店は、苦境に陥ったときも、お客さまが手を差し伸べて救ってくれたのです。

この経験から、K氏は二つのことを学びました。
一つは、「原価や経費を考えない経営は失敗する」ということです。
飲食店の場合、食材の原価率はおよそ30~35%が目安。
そういう原価率や店舗運営の経費、そして返済金を考えない経営は、遅かれ早かれ破綻するものでしょう。

もう一つ学んだのは、「店は多くの人に助けられている」ということです。
そばを作る農家、一生懸命働く従業員、そして、店を訪れてくれお客さま。
それらの人たちがいなければ、どんなにそば打ちの腕が良くても、繁盛店になることはありません。
K氏はそれ以来、地域のため、人のための経営を、信念を持って貫くようになりました。

遺影にもそばを

桐屋には、県外からも訪れるリピーターも多くいます。
以前、県外から家族連れのお客さまたちが来店された時のことです。
従業員は、注文を受ける時、お客さまが持参した写真を、そっとテーブルの上に立てているのに気付きました。
やがてそばがテーブルに運ばれてきました。
その時、従業員はその写真の前にも、そばの器を並べました。
「よろしければ、お写真の方にもどうぞ」と言って。

後日、そのご家族から桐屋宛に、手紙が届きました。
写真の老人は、桐屋のそばの大ファンであり、桐屋のそばを楽しみにしながら他界したため、遺影を持って訪れたとのこと。
今回の気配りに、心から感激したという、感謝の手紙でした。

経営には原価やコストを考える「そろばん」感覚は欠かせません。
同時に、どのような経営を目指すかという「ロマン」も必要です。
ロマンとそろばん。
どちらも揃っていることが必要でしょう。

ただし、どちらが先かと言えば、ロマンが先。
桐屋の従業員は、K氏のロマンを理解していたから、接客の途中で、自分の判断で、そばを遺影に出す、というサービスを思いついたのでしょう。
ロマンを経営者と従業員が共有し、それをそろばんでバックアップすること。
それが強い経営のカギなのかもしれません。

~ここまで~

当社クラブは、個店単位で週次会議時に、PL(損益計算書)の進捗を追って運営しており、その点で言えば、業界企業の中でもシビアに「そろばん」をはじいている企業の一つと自己評価できます。

ただ、それが数値一辺倒かという言うと、そうではなく、定量(数字)の前にある定性(会員様との関係性)を先に考え、その結果としての「そろばん」があるという点で、今回、紹介された桐屋に深く共感するものがあります。

前職時代以前は、業界の中でも特に大型化したクラブの運営に携わっていたため、1クラブ数千名の会員様に対して、どうしても定性的に捉えることが難しかったことも同時に思い出します。

善し悪しの判断はともかく、「ロマンとそろばん」は、事業方針とも密接に関係することを理解しておく必要がありそうです。                                                                                                                                                                                                                                                                                                             

お読みいただきありがとうございました。

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