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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論726」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第28号(2007.1.25発行)「2010年までにフィットネスクラブ会員1億2千万名突破を実現するために」2~※名称等は当時、一部文章省略

1.アカウンティング(財務会計)の基礎~知っておくべき指標

「インタレスト・カバレッジ・レシオ」
この指標は、クラブが事業から生み出すことのできる利益、つまり営業利益と金利による収益が、支払利息をどの程度上回っているかを示しており、この比率が高いほど財務的に余裕があることを示している。

インタレスト・カバレッジ・レシオ=(営業利益+金融収益)÷支払利息

優良クラブや安定期に差し掛かっているクラブであれば、金融機関は1.5~2.0程度のインタレスト・カバレッジ・レシオの範囲内で融資してくれることであろう。

「フィクスト・チャージ・カバレッジ・レシオ」
これはインタレスト・カバレッジ・レシオの応用版であり、定期的なリース支払いの負担を背負っているクラブの財務指標として便利な数字である。
上の指標の分母と分子両方に、リース支払い額を足すことで算出される。

フィクスト・チャージ・カバレッジ・レシオ=(営業利益+金融収益+リース負担額)÷(支払利息+リース負担額)

「固定資産回転率」
この指標は、クラブがその固定資産(施設と設備)をどの程度、効率的に使って売上を達成したのかを示す。

固定資産回転率=売上÷当期平均固定資産額

「ROE」
これは株主が出資した資本がどれだけの利益を生み出しているかを示す指標である。

ROE=当期利益÷当期平均株主資本

近年、プライベートエクイティによるフィットネスクラブ業界への出資が増えてきているが、1995年から2000年にかけてのこうした投資のゴールは年率25%以上のリターンを得ることであった。
つまり、1995年にあるクラブ企業に10億の投資をしたとしたら、5年後の2000年には30億のリターンを得ることが期待されていたということである。
有限責任事業組合(LLP)の形を採ることの多い個人投資家による投資の場合は、期待リターンはこれよりも低く、税引き前年率ベースで12~16%程度である。

「固定資産利益率」
この指標は、当該期間の経常利益を、その期の平均固定資産額で割ったもので、クラブがどれだけの資産を使って、どれだけの利益を生み出したのかを示す。

固定資産利益率=当期利益÷当期平均固定資産

ROA(総資産利益率)もこれに似た指標で、こちらは固定資産だけでなく総資産の数字で算出をする。

~ここまで~

アバター近藤が良く知っているあるオーナー系企業は、自己資本に占める土地の割合が著しく高く、上記指標に当てはめると相当に効率の悪い経営をしていたことが分かります。

パンデミック前は、その企業の中のフィットネス部門が高い収益率を誇り、会社全体の非効率経営も見逃されていましたが、総合型クラブに逆回転が掛かり、状況が一変したことで、一気に経営不安が襲ってきているようです(固定資産はたんまりあるが、流動資産が少なく、資金繰りに苦労している状態)。

一般論として老舗のオーナー系企業には、資産や資本を眠らせたままの状態にしているケースはままあり、(後継者問題も含め)プロ経営者が入ることで、状況を改善させられる企業もかなりあるのではないかと推測されます。

お読みいただきありがとうございました。

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