「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論506」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第13号(2004.7.25発行)「商圏を深耕する(商業アドバイザー小柳剛照)」1~※名称等は当時、一部文章省略

景気は緩やかな上向き、という報道をよく目にします。
しかしそれを実感として捉えられている企業は、まだまだ少ないでしょう。
好調なのは、大手の自動車メーカーや、ブームのデジタル家電関連でのこと。
やはり一般の企業は、景気回復などという神頼みではなく、厳しい経営環境を生き抜く自助努力がどうしても必要なようです。

しかしそうはいっても、何をしたらうまくいくのか、先行きが見えない時代。
いろんなことに手を伸ばし、その結果、企業のコンセプトが曖昧にになり、意に反して業績ダウンに陥るケースも見られます。
新しいことに挑戦する精神は大切ですが、東と西には同時に進めません。
自分の目標を定めることは、何かを失う覚悟があるかということと、裏腹の関係であることを認識しておく必要がありそうです。

快進撃の旅館

会津若松市芦牧温泉を代表する旅館「大川荘」は、バブル期の過剰投資が重荷となり、このほど産業再生機構の支援決定を受けました。
団体旅行が減少し、グループ、家族、個人客が主流になったことが響いたとようです。
そしてその支援を依頼されたのは、福島県石川町の旅館「八幡屋(やはたや)」。
母畑(ぼはた)温泉という、全国的には知名度の低い温泉地にある旅館です。
しかここは、不況をものともせず快進撃を続ける旅館。
その知恵と力が、大川荘立て直しに活用されることになりました。

この二つの旅館を比べて見ましょう。
大川荘は部屋数136室、収容定員700名。
八幡屋は部屋数145室、収容定員800名と、規模はほぼ同じ。
しかしロケーションはどうでしょう。
大川荘は観光地会津にあり、近くには江戸の宿場の風情を残す大内宿までも、車でわずかな距離。
また旅館からは深い渓谷と川の清流も望める、絶好のロケーションです。
一方、八幡屋のある母畑温泉は、近くに観光ポイントらしきものはなく、交通アクセスも不便。
立地で考えれば、圧倒的に不利なのが八幡屋です。
しかし、その宿泊客は年間19万人、売上は37億円に上ります(2002年実績)。

では八幡屋の好調の理由は何でしょうか。
大きな要因の一つは、団体客への特化でした。
他の旅館、温泉地が時流に合わせ、家族、グループ、個人客の取り込みに照準を合わせる中で、八幡屋はあくまでも、団体客に喜ばれる旅館を目指したのでした。
減少したとはいっても、団体での旅行はまだまだあります。
そこで、個人客には敬遠されることを覚悟の上で、団体客へのサービスに力を入れる。
バブルは崩壊しても、方針がぶれることなく、団体客向けの設備投資は惜しまない。
その方策が、見事に成功したものでした。

~ここまで~

不況期の厳しい経営環境を乗り越える一つの方策は、広げることではなく、絞ることという指摘はとても合点がいくものです。

多くの業界企業が、パンデミック下において、24時間化やオンラインレッスン導入、バーチャルレッスン導入など守備範囲を広げる一方で、既存の人的サービスを削るという方策を実施しました。

当社は同時期に上記のような広がりを作ることはせず、既存会員様への指導や接客を深耕するという方策を選択し、結果として全店、黒字回復しております。

他の業界企業を見ても、業績回復を果たしたクラブは、自社の理念や強みを改めて検証し、その部分に磨きをかけたところが多いように感じます。

やはり厳しい時こそ、原点に帰ることが重要なことを記事は示唆していると思います。

本日もお読みいただきありがとうございました。

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