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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論426」

みなさん こんにちは アバター近藤です。

「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。

「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第7号(2003.9.25発行)「業態の研究」20~※名称等は当時、一部文章省略

Ⅲ業態の分析

(4)エクスペリエンス系のフィットネスクラブ(経験価値のある専門店型クラブ)

「高品質なジム・スタジオ型クラブ」

事業スキーム

事業の基本スキームは、初期投資は少々かかるが都心のターミナルに経験価値のあるジム・スタジオ型のクラブ(延床面積300~400坪)を作り、主に20~40代の女性にターゲットし、その顧客層にフィットした高品質なプログラム・サービスを揃え、メインとなる会員種別ーレギュラー会員9,000円、フィットネス&ダンス会員15,000円ー他で2,000~2,500名を集客、3億円前後の売上高/年を確保し、2.5億円前後の経常支出で回すというものである。

マーケティング的には、まずレギュラー会員として入会していただき、ダンスインストラクターらのフォローにより、フィットネス&ダンス会員へのアップセルを促したり、ジムトレーナーの適切な対応によりパーソナルトレーニングなどをクロスセルしていく方法をとる。

出店基準

フィットネスクラブの場合、どの業態でも立地が極めて重要となるが、特にこのタイプの場合はそれが言える。

これはある特定層のお客様が一定数フィットネスを自身のライフスタイルの中に取り入れるのに「立地」が特に重要な要素となるからである。

「好立地」に出店できることが、この業態におけるサステナビリティ(持続可能性)を担保することになる。

裏を返していうと、2等地や駅から5分を超えて歩く場所、通うのにストレスを感じる場所にあってはこの業態は成立しない。

強みの源泉

「ワークアウトワールド」を経営・運営するワークアウトワールド・ジャパンは他社に先行してこの業態の確立に果敢に取り組んでいるが、同社のM社長は次の2点で絶対的な差別的優位性を持たせたいと考えている。

①本物のハードとソフト

プールはないが、標準的なクラブを凌駕する優れたトレーナー、充実したジム、ターゲットにフィットした多様なスタジオプログラムを備えること。

特に会員構成比で60%超を占める女性向けのプログラムは各年代別にキラーコンテンツを用意。

20代に対してはダンス系プログラム、30代に対してはジムでのパーソナルトレーニング、40代に対してはピラティスを提供している。

②スタッフと空間づくりで「ワクワク感」を演出すること

サービスマインドとトレーニングの知識・技術を備えたプロフェッショナルなスタッフと20~30代の女性が共感するカジュアルリッチな内装デザインでワクワク・ドキドキする「エクスペリエンス」を提供すること。

ポップな「WOW’D」のロゴは、米国の同ブランドのクラブとライセンス契約している。

~ここまで~

記事当時、ジム・スタジオ型クラブの成立可能性自体に対して懐疑的な見方も多かった業界の中で、果敢にチャレンジしたことは歴史的評価に値するとアバター近藤は考えます。

ただ、この事業スキームと出店基準を見ただけで事業難易度の高さを感じることができます。

それは、家賃の高い好立地(損益分岐点会員数が上がる)がサステナビリティ(持続可能性)を担保する条件である一方、統計的に退会率が高い若年層をターゲットとしている点です。

つまり回転が速いにも関わらず、高い集客数を維持しなければならないというジレンマを元々、抱えていることにおいて、ハードルが高い事業モデルであったと言えるでしょう。

本日もお読みいただきありがとうございました。


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